CCD(画素)と画像処理の基礎

画像処理は、対象物を2次元の面でとらえることができるという特長を持っています。それにより、目視検査や目視チェックに代わる自動検査に広く活用されるようになってきました。こちらでは、画像処理の基本となるCCD(画素)と画像処理の基礎知識について解説します。

撮像素子CCDについて

デジタルカメラは、従来のフィルム式カメラ(アナログ式)の構造とほとんど同じです。違うのは、デジタルカメラではフィルムのかわりにCCDと呼ばれる撮像素子があることで、ここで画像がデジタル情報として取り込まれます。CCDはアナログ式カメラでいえば、フィルムに相当するものですが、ではどのようにして画像をデジタル信号に変換しているのでしょうか。

撮像素子CCDについて

CCDはCharge Coupled Device(電荷結合素子)を略したもので、画像を電気信号に変換して取り出す半導体の素子です。大きさは縦横1センチメートル程度で、碁盤の目のような格子状に並んだ小さな画素(ピクセル)からできています。
風景などをカメラで写すとき、被写体からの光がレンズを通ってCCD上に像を結びます。CCDのひとつの画素に光が当たると、光の強さに応じた電荷が生じます。その電荷の大きさを電気信号として取り出すことで各画素の光の強さ(濃度値)が得られます。

撮像素子CCDについて

つまり、ひとつひとつの画素が光の強さを検出できるセンサ(フォトダイオード)であり、 200万画素CCD とは200 万個のフォトダイオードの集合体なのです。

ある決まった場所の、決まった大きさの物の有るか無いかであれば、光電センサ1つで検出可能です。しかし、ライン上で場所が決まらない場合、ワークの大きさが複数種類ある場合、有る無しでなく大きさを検出する用途、寸法を測定する用途、外観検査をする用途などになると、センサ1つでは検出不可能です。 ここで、数十万~数百万個のセンサの集合体であるCCDを使うことで検出できる用途が大きく広がり、上記の4大用途をはじめとする多くの用途で役立つ機器となります。

画素データの画像処理への活用方法

ここまででCCDの各画素が光の強さを検出して数値化し、その数十万~数百万データの集合体を使って様々な画像処理が可能になることはご理解いただけましたでしょうか?
今回の講座での最後は、各画素は光の強さをどんなデータとしてコントローラに伝えて、コントローラはそのデータをどのように処理しているのかを簡単に説明します。

各画素のデータ(最も汎用的な白黒カメラを例に説明します)

明るさの256段階のイメージ

画像センサの多くは各画素が光の強さによって伝えるデータを256段階(8ビット)としています。基本は白黒処理なので、黒(黒の中でも真っ黒)を数値『0』として、白(白の中でも真っ白)を数値『255』として、各画素が受けた光の強さを数値に変換します。つまり、CCDの全ての画素は0(真っ黒)から255(真っ白)の内、どれかの数値をもっていることになります。例えば、白と黒が完全に半分ずつ混ぜられた灰色なら『127』と数値化されることになります。

画像は256階調データの集合体

CCDで撮像された画像データは、CCDを構成する画素データの集まりであり、画素データは256階調の濃淡データで表されます。

生画像 2500画素で表現した場合 目の部分を拡大して256諧調データで表現

上の画像のように画像データは1画素毎に0~255階調のどれかの数値として表されます。
画像処理とはこの1画素毎の数値データを以下の例のように様々な演算式で計算することで、画像上の特徴箇所を見つける処理のことです。

例1)傷/欠陥検査

例1)傷/欠陥検査

計測枠内をセグメントという小単位(数画素角)に分けて、小単位内の平均濃度データ(0~255)を求めた上で、この数値を周囲と比較します。
比較の結果、一定以上の数値変化があった箇所を傷/欠陥と検出します。

4画素角のセグメントで平均値を求めて、周囲と比較します。
右では赤いセグメントで傷を検出します。

CCDの基礎と画像処理 まとめ

CCDとは数十万~数百万のセンサの集合体。
そのCCDを使うことで1つのセンサでは検査が難しい用途に活用できる。
画像処理センサとは撮像素子CCDの各画素の256階調濃度データを使用して、
面積=画素数、位置=濃度変化点、傷=濃度変化量などを検出する機器のことです。
情報量を多くするための高画素化、ラインで使うための高速化により様々な用途に活用できます。

次のテーマは「レンズ選定の基礎」です。画像処理は画素濃度データの変化を計算により検出する処理なので、明瞭な画像を映すことが安定検出に必要です。そのポイントとなる「レンズ」の活用方法について説明いたします。

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