第1章 各国の製品安全規制について
北米
アメリカ合衆国
NRTL
NRTL (Nationally Recognized Testing Laboratories) は、OSHA(Occupational Safety and Health Administration) が認定した民間の試験機関のことで、製品の安全性に対する様々な試験を実施・認証をしています。UL (Underwriters Laboratories Inc.) やCSA(Canadian Standards Association) が代表的なNRTLで、15の試験機関がOSHAにより認定されています。
NRTLはそれぞれ独自の認証マークを持っており、製品が安全規格に適合している場合、製品上に認証マークを表示することを認めています。またNRTLは、認証試験後も定期工場検査により適合性が継続的に維持されていることを確認しています。
以下のホームページにてNRTLの詳細について確認することができます。
https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/index.html
アメリカ‐カナダ相互認証
アメリカとカナダにおいては、MRA (Mutual Recognition Agreement)を締結し、相互認証制度を維持しています。
CSAにてアメリカ向けに製品安全認証を受けた場合、UL規格に適合していることを意味するCSA-USマークを製品上に表示できることになり、アメリカ国内ではUL認証と同等に扱われることになります。
逆に、ULにてカナダ向けに製品安全認証を受けた場合、CSA規格に適合していることを意味するC-ULマークを製品上に表示できることになり、カナダ国内ではCSA認証と同等に扱われます。
この両方を兼ね備えた場合、認証マークの左右に「C」「US」を表記した認証マークとなります。
以下のホームページにてUL及びCSAの詳細について確認することができます。
- ULホームページ
- http://ul.com/
- CSAホームページ
- http://www.csagroup.org/us/en/home
NFPA70 (National Electrical Code: NEC)
NFPA70は、NFPA (National Fire Protection Associations:米国防火協会)が作成しているアメリカでの電気配線・電気設備設置規定で、National Electrical Code (NEC)と呼ばれています。電気使用により発生する危険性に対し、人及び財産への実効性ある保護を確立する目的で定められており、UL規格はNFPA70を基礎として作成されています。
NFPA70には、電力制限回路について規定があり、ここにClass2回路の定義があります。Class2回路は、電力制限により発火の観点から安全であると定義され、また、感電の危険性からも保護されていると定義されています。
この定義により、Class2回路に接続される機器(例:DC24V定格の製品など)は、火災及び感電の観点から安全であると認識されるため、必ずしもUL認証やCSA認証を必要としない場合があります。
以下のホームページにてNFPAの詳細について確認することができます。
UL規格
UL規格を作成しているのは民間の試験機関であるUL (Underwriters Laboratories Inc.)になります。UL規格は、アメリカ国家規格協会(American National Standard Institute: ANSI)により国家規格としての位置づけを与えられている場合が多いため、アメリカの製品安全規格の代表格として認知されています。
以下のホームページにてUL規格の詳細について確認することができます。
- ULホームページ
- http://ul.com/
CSA規格
CSA規格を作成しているのは民間の試験機関であるCSA (Canadian Standards Association)になります。CSA規格は、カナダ規格評議会(Standards Council of Canada: SCC)により国家規格としての位置づけを与えられているため、カナダの製品安全規格の代表格として認知されています。
カナダでは州法により、商用電源に接続される電気製品はCSA規格に適合した製品であることが要求されています。
以下のホームページにてCSA規格の詳細について確認することができます。
- CSAホームページ
- http://www.csagroup.org/us/en/home
CDRH
FDA (Food and Drug Administration)の一部局であるCDRH(Center for Devices and Radiological Health) という組織が、各種の放射線を発生させる電気製品や医療製品に対する規制の管理監督を担当しています。レーザ製品は、このCDRHにより管理される製品となります。
21CFR Part 1040.10には、レーザ製品に対する具体的な安全基準が規定されており、この基準を遵守していない製品に対しては、米国内での販売だけではなく、米国への輸入も禁じられています。
近年では、IEC60825-1との整合を図るため、CDRHが発出したLaser Notice No.56により、IEC60825-1の基準を利用しての適合性評価を実施することができます。
以下のホームページにてCDRHの詳細について確認することができます。
- CDRHホームページ
- http://www.fda.gov/Radiation-EmittingProducts/default.htm
FCC
通信、電信及び電波を管理する米国の連邦政府機関で、Federal Communications Commission(FCC: 連邦通信委員会)と呼ばれています。ラジオ、テレビ、衛星通信、無線通信など、米国内の各州間の通信や国際通信を規制する役目を果たしています。
FCCの規制対象には、無線機器のように意図的に電波を放射するもの(意図的放射機器)だけではなく、デジタル機器に代表されるように、機器の通常動作により意図せず電波(電磁波)を放射するもの(非意図的放射機器)も含まれています。
非意図的放射機器は47CFR Part 15 Subpart B、意図的放射機器は47CFR Part 15 Subpart Cにその技術基準等が規定されています。意図的放射機器の場合、製品上にFCC IDが表示されることになります。
以下のホームページにてFCCの詳細について確認することができます。
- FCCホームページ
- http://www.fcc.gov/
IC
Industry Canada (IC) がカナダにおける通信、電信及び電波を管理する連邦政府機関になります。FCCと同様、無線機器などの意図的放射機器はRSS (Radio Standard Specifications)、非意図的放射機器はICES (Interference-Causing Equipment Standard) にその技術基準等が規定されています。意図的放射機器の場合、製品上にIC認証番号が表示されることになります。
以下のホームページにてICの詳細について確認することができます。
- ICホームページ
- http://www.ic.gc.ca/eic/site/icgc.nsf/eng/home