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キーエンスを知る:開発最前線 BT-500
BT-500 シリーズ バックストーリー 技術者が明かす開発秘話
アドバンステクノロジー
驚くべき、そして、愛すべき「世界初」。

向かうところ、敵無し。笑顔アリ


完成した商品を初めて営業マンに紹介する社内デモで、爆笑が起きることも珍しいだろう。BT-500は、あらゆる面で顧客の既成概念を打ち破った画期的な商品だ。 バーコードのデータを読み取るハンディターミナルは「世界最小」。そのルックスは、携帯電話と見紛うほどに、小さく、軽く、スタイリッシュ。しかも、これまで解読できなかったバーコードさえも読み取れる。その実力は、まさに世界最強と言っていい。
BT-500を初めて紹介する営業マンにも顧客の表情にも、高性能への驚きと同時に、必ず笑顔が現れた。その笑顔の秘密とは!?

コンセプトは「世界最小・最軽量」

初めから、世界最小を狙っていた。目標は、携帯電話サイズのバーコードハンディターミナルだ。小さくても使いやすいように、画面の大きさやキー配列も考えよう。長時間連続して使用できるように、省電力化も目指したい。
あらゆる素材、電子部品が検討されあらゆる回路が試された。小さくても丈夫なボディを作れる素材は、コストがかかる。常識的に考えられる回路では、省電力化は実現できない。これまでにない回路が、いくつも設計された。薄く小さなボディに納まるよう、部品の配置にも苦労した。ハードで厳しい部分をソフトで補うシステムも考えた。
試行錯誤を繰り返しながら、大きさ、性能、コスト、それぞれのバランスを調整しながら、ハードウエアの最適化が進められた。

営業との連携プレーが生んだ、デコードアルゴリズム

世の中には、読めないバーコードが多々ある。印字状態が悪いもの、汚れたもの。ビニール越しの値札…。それらがすべて読み取れるなら、ユーザーストレスは大きく解消できるだろう。
「読めなくて当たり前」を「読み取れる高性能」へ。まず、営業マンが読めないバーコードを顧客から集めた。直販体制を取っている強みだ。大至急大量に集められた山のようなバーコードを一つひとつ調べていく。気の遠くなるような作業だった。そして、「読めない理由」にある傾向が見えてきた。これだ。さまざまなケースを、その傾向に従って最適化した。
新しいデコードアルゴリズムはこうして生まれた。営業と開発のチームワークが実を結んだ。

ユーザビリティを追求した、もう一つの要素

草間が任されたのは、ハンディターミナルのプログラムや情報管理を行うパソコンのソフト開発だった。バーコードのユーザーは、FAはもちろん流通の分野にも多い。「一日でも早く使いたい」という声もよく聞く。そうだ。技術的に詳しくない人でも簡単に操作できるものを創ろう。
アプリケーションが簡単に作れるソフトを考えた。イメージは、プログラムを組むのではなく、ウィンドウズの一般的なソフトを扱うのと同じ感覚。しかし、画面上のアプリケーションが実際に機能するかは、実際に現場に持ち込んで試さなければわからない。その手間を減らすために、パソコン上でシミュレーションできるように工夫した。それが、思わぬ反響を呼んだ。

誰もが、目を疑った瞬間


シミュレーターとして、画面上にハンディターミナルを作った。色も形も徹底して実物を真似た。プログラムした内容を、シミュレーターの画面で確認できる。バーコードの読み取り状況も再現できる。実物でできることは、全て何もかも、パソコン上でできるのだ。
それは、エラーをシミュレーションした時だった。画面上のハンディターミナルのセンサがバーコードを探す。しかし、目指す場所にバーコードがない。約5秒間。見つからない。次の瞬間、シミュレーターはパソコンの画面の中でブルブルと震えだしNGを知らせた。
「何もここまでやらなくても…」と呆れられました。でも、シミュレーターに実物と違う動きがあると、ユーザーは混乱する。それでは、シミュレーションの意味がない。
LEDの明るさも、ブザーの音色も音量も、全て実物と同じ反応だ。このシミュレーションを行うためには、また別の膨大なプログラムが必要だった。営業マンや顧客を笑わせた陰には、驚くほどの苦労があった。それでも、草間はこだわりを形にした。

開発者の幸福

次々と世界初が創られたプロジェクトの中で、もしかしたらそれは、地味な仕事だったかもしれない。しかし草間は、最後までこだわり、期待以上を実現した。「どこまでやるのか。その判断も含めて、仕事を任されていました。つまり、あれこれ口を挟まれずに、自由に開発できる環境だったんです。だから、がんがん進められた。やればやるだけ商品が良くなり面白くなっていく。最後まで、仕事に夢中でした」。
BT-500は、精度・機能が凄いだけの商品ではない。ユーザーに対する優しさが、その高性能を支えている。そして、使いやすさを追求するために、苦労を買って出た開発者にも、笑顔があった。草間は思う。開発は、幸福な仕事だ。
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