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キーエンスを知る:開発最前線 VT2
VT2 シリーズ バックストーリー:技術者が明かす開発秘話
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発売ぎりぎりまで、「良い商品」を求め続けたモチベーション。

開発コンセプトは、さらに進化したタッチパネル


前機種VT1では、美しさを極めた。表示色4096。しかし表示の美しさがゆえに、情報は多くなり、表示速度は遅くなる。この課題をクリアし、さらに進化したタッチパネルを開発すること。それが、VT2のコンセプトだった。
商品の目玉は、高速化を可能にするハードの開発と、ユーザビリティを向上させるソフトの開発。
プロジェクトが動き出した時、メンバー全員が抱いた思いは1つ。「良いものをつくろう」。「夢中になるあまり、時がたつのも忘れた」と横江が言う2年間が、スタートした。

キーエンス方式に新時代を拓く「V-EDGE」誕生する

ハードウエアを担当した横江の課題は、大きく2つ。1つはハード描画の実現だ。従来ソフトで対応していたオリジナルの描画方式を、ハードに置き換える。ICを起こして、描画速度を上げた。試行錯誤を繰り返して到達したのは、従来比15倍。この超高速の描画エンジンは「V-EDGE」と名づけられた。横江が開発したハードウエアは、その後、タッチパネル以外の商品にも広く活用されることになる。
もう1つの課題は、8つのラインナップの同時立ち上げ。開発の効率化を徹底した。1機種ずつ創っていては間に合わないから、システムを共通化させる。しかし、共通化の発想では、必ず、小型の商品に無理がくる。「スペース的に“これ入らないよ”ということばかりでした。それでも、何とか入れる。すると今度はノイズと発熱です。大きいサイズの方が当然高額なのですが、開発の苦労は、小さい方がかかっています(笑)」。

多くの人の手が入るたび、商品が、ブラッシュアップされていく

ソフトウエアを担当する島田は、創り込むほどに膨れ上がっていくスペックと格闘していた。良いものを創りたいというスタート時の漠然とした思いは、顧客の個別的なニーズを普遍化すること、そして誰もが使いやすいものにするという明確な目標に定まっていた。
「いつも意識していたのは、ユーザーの気持ちになることです。目指したのは、マニュアルを見なくても早く簡単に画面を作れることでしたから」。自分なりに工夫するだけではなく、たくさんの人の意見も取り入れた。チーム外のスタッフも手を借りることになり、その都度、新しい角度からユーザビリティの検討がなされた。島田は、商品がどんどん良いものになっていくのを日々実感していた。

言い合いになる。熱くなる。遠慮はしない
良いものを創りたいから

VT2の開発には、いつも、ディスカッションがあった。新しいデバイスが出た。この方法を試してはどうか。これはおかしい。使いにくい。「大事なことは、全員で決めました。熱くなることもありましたよ(笑)でも、みんなが納得するまで話し合うことが何より大切だった」。横江は、そう振り返る。
いよいよ完成に近づいたその時、ニュースが入った。既に採用を決めていた液晶デバイスよりも高性能の商品がリリースされる。チーム全員が集まった。全力で創ってきた新商品だ。液晶も最高のものを使いたい。だが、もうあまり時間はない。無理をすれば品質低下のリスクがある。どうしよう。「やっぱり、良いものを創ろう」。その一言が全てを決めた。バリエーションをさらに1タイプ追加することまで決まった。

たくさんのことを感じ、学んだ
それは、次の「いい商品へとつながっている」


全員で考え、全員で創った。最後には、全員がルーペでモニターを覗き込みながら描画の美しさを確認した。顧客からは「これを使ったら、他社製品は使えないよ」とまで言われた。「思っていた以上のものができた」。チーム全員がその手応えを感じた。横江は言う。「全員がユーザーになって考えた商品です。今まで以上に、ユーザーに近づいて開発できたと思います」。この経験は、「良い商品」を生み出すための、大きな糧となっている。
島田にも、つかみ取ったものがあった。「入社して、いきなり“これ、創って”と任されて。でも、画面上でソフトが動いた時は、素直に嬉しかった。この仕事を通じて“もう、どんなリクエストにも応えられる”と思えるようになりました」。島田は今、さらに大規模で難易度の高いソフトの開発に、メイン担当者として参画している。
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