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温度解析の改善

精度を決定する要因

計測器の精度を決める用語として、分解能と直線性があります。2つを合計して、「精度」または「確度」と呼びます。まず、この2つをご説明します。

分解能

分解能

入力信号を分解できる細かさ。計測器のA/D変換素子で決まっています。例えば、分解能が14bit、入力レンジが±5Vの場合、0.6mVが理論上の最小読み取り値になります。
±5V÷214(16384)≒0.6mV

直線性

直線性

図のグラフを見てください。横軸に入力電圧、縦軸に計測値をとります。理想直線に対して、実測値がどれだけ正確であるかを示すのが直線性です。(理想値マイナス実測値)の中で、最大ズレ量を入力レンジ範囲で割ったものを%表示します。実際の計測では環境(ノイズ、電位差など)による影響で、分解能と直線性から計算される精度を求められないことがあります。これらの影響を低減し、高精度計測するための技術に、次の2つがあります。

  • ・チャンネル間グランドの絶縁
  • ・ΔΣ(デルタシグマ)型A/D変換方式

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温度レコーダの性能

ここでは正確に温度を計測するために搭載された、温度レコーダの技術について説明します。

デルタシグマA/D変換

デルタシグマA/D変換方式は、従来から一般的に使用されているA/D変換方式(逐次変換方式やフラッシュ方式)よりも、高精度にA/D変換を行うために開発された、オーバーサンプリングと積分を組み合わせたA/D変換方式です。入力信号の再現性や商用電源周波数のノイズカットに非常に優れています。特に温度計測のような、サンプリング周期がゆっくりした計測に有効とされています。

【1】オーバーサンプリング

入力信号の周波数に比べて、高い周波数でサンプリング(A/D変換)を行うことを、オーバーサンプリングといいます。入力信号の再現性と分解能の向上が可能です。

オーバーサンプリング

分解能が0.1Vの回路に2.04Vを入力しても2.0Vか2.1Vなのか判別がつきません。これをオーバーサンプリングで12回サンプリングし、平均すると2.041Vとなり、入力値と同値になります。

【2】積分

ノイズの周波数は商用電源と同じ場合が多いため、一定時間の単純平均を行いノイズの影響を低減します。商用周波数と同じ積分時間(20ms:50Hz地域・16.7ms:60Hz地域)を設定して使用します。

積分

キーエンス NR-600 シリーズでは電源ON自動スタート機能を装備しています。ONに設定すると、電源投入時に自動的に収集を開始します。

チャンネルGND間絶縁

チャンネルGND 間絶縁

入力回路の各チャンネル間を高耐圧の半導体リレーで絶縁し、コモンモードノイズの影響を低減する技術です。前述のデルタシグマA/D変換方式と併用すると、コモンモードノイズとノーマルモードノイズの両方を遮断した、高精度な温度計測を実現できます。

また、入力回路の各チャンネル間が絶縁されていると、各信号GNDに電位差があっても計測が可能です。

また、入力回路の各チャンネル間が絶縁されていると、各信号GND に電位差があっても計測が可能です。

入力チャンネルのGND間が非絶縁の場合各信号元のGND間に電位差があるとGND間に電流が流れ、計測できません。

熱分布均一化構造

熱分布均一化構造

熱電対で温度を計測する際、測温点と温度レコーダの入力端子台の温度差を計測し、その結果に温度レコーダの入力端子台の温度を加算します。そのため、温度レコーダの入力端子台のチャンネル間温度ばらつきが誤差の要因となります。熱分布均一化構造とは、アクティブに加温制御を行って、チャンネル間温度のばらつきを抑える技術です。計測精度を約2倍向上させる効果があります。

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ノイズ対策

入力回路のGNDが絶縁されていないレコーダの場合、接地型の使用は注意が必要です。測定対象物と熱電対、GNDが回路を形成したノイズ成分が侵入してくる可能性があり、伝導ノイズと呼ばれます。また、熱電対のような導体は、一般的に「アンテナ効果」で周囲からのノイズを拾うことがあります。これを放射ノイズと呼び、接地型熱電対を貼り付けた先が大きな導体であれば同様の影響を及ぼします。放射ノイズと一口に言っても、その原因と大きさ・周波数は様々で、その都度原因追及と対策が必要ですが、一番多いのは商用電源ノイズです。

熱電対からの伝導ノイズを防ぐには

  • ・熱電対の先端をテープなどで絶縁してください。応答性は犠牲となりますが手軽な方法です。
  • ・チャンネル間絶縁のレコーダを使用してください。

電源からの放射ノイズを防ぐには

  • ・電源ラインと計測ラインを並行に配線しないようにしてください。
       特に動力線からは必ず離して配線してください。
  • ・影響を受けている信号線を電磁的にシールドしてください。

デルタシグマA/D変換イメージ

デルタシグマA/D変換イメージ

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