文字サイズ

ひずみ測定のノウハウ

ひずみゲージには用途や測定対象物に合わせて数多くの種類があります。正しい選び方やゲージ法の選択のしかた、正確に測定するための留意点について考えたいと思います。

ひずみゲージ選びのポイント

測定対象物の材質にあったひずみゲージを選ぶ

測定対象物の材質に合ったひずみゲージを選んで、測定対象物の温度変化(熱膨張)の影響をキャンセルしましょう。

測定対象物の材質にあったひずみゲージを選ぶ

一般的な鋼材は、1℃の温度変化で、長さが1m当たり11μm(つまり11μST)も変化します。

この見かけのひずみεtempは測定対象物の線膨張係数をβ、ひずみゲージの線膨張係数をβG、ひずみゲージ抵抗の温度係数αG、ゲージ率Kとしたとき、以下の式で示されます。

εtemp=(β-βG)+αG/K

線膨張係数の例
  • 鋼材11.7×10-6/℃
  • SUS30416.2×10-6/℃
  • アルミ合金23.4×10-6/℃

そこで、見かけのひずみεtempが「0」になるように測定対象物の材質の線膨張係数が補正されたゲージを選択します。一般的なひずみゲージでは、形式の末尾に「11」や「16」などと、線膨張係数の整数部が記載されています。

計測目的に合った長さ・幅のひずみゲージを選ぶ

パルプや丸棒など細い測定対象物の場合は、幅の狭いひずみゲージを用いるなど、測定対象物の材質や、計測目的に合った長さ・幅のひずみゲージを選びましょう。

計測目的に合った長さ・幅のひずみゲージを選ぶ
計測目的別ゲージ長の例
  • 衝撃など高速の現象やR面、応力が集中する面の場合0.2~1㎜
  • 金属・プラスチックを計測する場合2~10㎜程度
  • 木材・複合材料を計測する場合10~20㎜程度
  • コンクリートを計測する場合30㎜以上(砂利粒径の3倍以上)

設置環境、配線長など条件に合ったひずみゲージを選ぶ

一般的な箔ゲージはアドバンス合金と呼ばれ、銅とニッケル(Cu54%,Ni46%)の合金で数μmの厚みです。ベースになる部分はポリエステルやポリイミドが用いられています。したがって防水性や耐高温性が求められる場合には専用のものを用いましょう。

詳しくはこちら▼

計測目的に合わせた「ブリッジ回路」の組みかた

ひずみ測定時の基本」でご紹介した通り、ひずみ計測にブリッジ回路は必須です。ブリッジ回路は、ひずみ計測の目的に合わせて、さまざまな結線法があります。これを「ゲージ法」と呼びます。

ゲージ法名称 解説 ブリッジ
回路図
出力 キーエンス
ひずみ計測器
NR-ST04
への配線
1軸の引張/圧縮

1ゲージ法2線式

1ゲージ法2線式

最も一般的な接続法です。

ブリッジ回路図 Eo=ε キーエンスひずみ計測器 NR-ST04への配線

1ゲージ法3線式

1ゲージ法3線式

リード線の温度影響を受けません。

ブリッジ回路図 Eo=ε キーエンスひずみ計測器 NR-ST04への配線

2ゲージ法隣辺

2ゲージ法隣辺

1つのゲージを同じ物質に貼り付け参照します。温度変化によって発生した見かけひずみを参照用のゲージで測定しキャンセルします。

ブリッジ回路図 Eo=ε キーエンスひずみ計測器 NR-ST04への配線
曲げ応力

2ゲージ法隣辺

2ゲージ法隣辺

ひずみゲージを表と裏に貼ります。引張、圧縮ひずみの影響を受けず曲げひずみのみの測定が可能です。

Eo=2ε キーエンスひずみ計測器 NR-ST04への配線

スケーリングを行い値を1/2してください。

ねじり

2ゲージ法隣辺

2ゲージ法隣辺

回転方向のひずみを測定する場合は2つのひずみゲージが90度に交差するように作られたゲージを用います。

Eo=2ε キーエンスひずみ計測器 NR-ST04への配線

スケーリングを行い値を1/2してください。

計測目的に合わせた「ブリッジ回路」の組みかた

詳しくはこちら▼

高精度に測定するためのポイント

ひずみゲージの貼付状態をチェックする

ひずみ測定時の基本」でご紹介した貼り付けの「前処理」はきちっと行いましたか?接着剤をしっかり滴下しましたか?以下のチェックをして、正しくひずみゲージが貼り付けられているか確認しましょう。

ひずみゲージの貼付状態をチェックする

接着剤のはみ出し量は適正か
均等にはみ出しているか確認します。はみ出していない方向は、しっかり貼り付いていない可能性が高くなります。

接着面にゴミや気泡がないか
ゴミや気泡を巻き込んだまま接着すると、測定誤差の要因となります。

断線していないか
ひずみゲージのリード線は非常に細く、接着時に力がかかって断線することがあります。テスターでひずみゲージの2線間の抵抗を測り、120Ωであれば正常です。

ひずみゲージのゲージ率を補正する

ひずみゲージのゲージ率は2.00を基準に作られていますが、実際には1.9~2.2程度ばらつきがあります。ひずみレコーダのゲージ率は2.00固定なので、ゲージ率が0.1異なると約5%の誤差になります。そこで、ひずみゲージの箱に記載されているゲージ率Kを用い、レコーダのスケーリング機能を用いた補正が必要になります。

ひずみゲージのゲージ率を補正する
  • ε0:真のひずみ
  • ε:測定したひずみ

ε0=ε×2.00/K

■補正例
ゲージ率2.09のひずみゲージを用いた場合

ε0=ε×2.00/K=ε×2.00/2.09=0.957×ε

角度誤差を補正する

角度誤差を補正する

ひずみの方向とひずみゲージの方向が5°ずれると約1%の誤差が発生します。けがき線と貼り付け方向がずれた場合、ポアソン比(ν)を用いスケーリングして補正します。

  • ε0:真のひずみ
  • ε:測定したひずみ
  • ν:ポアソン比
  • θ:角度(°)

ε=ε0{(1-ν)+(1+ν)cos2θ)}/2

一般的にポアソン比は0.3程度なので

ε=ε0(0.7+1.3cos2θ)/2

ε0=2ε/(0.7+1.3cos2θ)

参考)ポアソン比が0.3の場合の角度による感度誤差

1° 0.03% / 2° 0.16% / 3° 0.36% / 4° 0.64% / 5° 1.00%

配線長の影響を補正する

配線長の影響を補正する

リード線を延長した場合、リード線の配線抵抗の影響を受けます。細い線で20m延長すると約7%の誤差が発生します。配線長が長い場合は以下の式を用いスケーリングして補正します。

  • ε0:真のひずみ
  • ε:測定したひずみ
  • γ:リード線の抵抗値(往復分)

ε0=ε(1+γ/R)

■参考
リード線の公称断面積と1m当たりの抵抗値(往復)の関係

0.08㎜2→0.44Ω

0.18㎜2→0.2Ω

0.3㎜2→0.117Ω

0.5㎜2→0.07Ω

0.75㎜2→0.047Ω

温度の影響を補正する

温度変化がある環境下で高精度な測定を行う場合は、自己温度補償型のひずみゲージを用いるか、あるいは2ゲージ法を用いて温度補償を行なう必要があります。配線が長い場合は3線式で配線するほうが精度良く計測できます。

詳しくはこちら▼

INDEX目次に戻る

無料でダウンロード ご相談・お問い合わせはこちらから