コラム2016年に3Dプリンタによる自動車が予約販売開始!その実力はいかほど?

急速に発展する3Dプリント技術。近年、主に利用されている分野は試作制作手段(プロトタイピング)としてだが、性能の向上や使用できる素材の多様化などにより、3Dプリントによって製品そのものを作成する「ダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM)」としての利用も広がりつつある。

そこで今回、アメリカ「ローカル・モーターズ(Local Motors)」によって発表された3Dプリントによる電気自動車「The toy-like LM3D Swim」を例に、その現状を探ってみる。

「SEMA SHOW2015」で公開された3Dプリンティングによる電気自動車「The toy-like LM3D Swim」

2016年予約販売開始予定の世界初3Dプリント自動車

2015年11月3日 米国ラスベガスで開催された「SEMA SHOW2015」にて公開された「The toy-like LM3D Swim」。その名の通り一見するとおもちゃのような外観ではあるが、あくまでも一般道を走る自動車として製造されている。

素材は炭素繊維を含むABSプラスチック樹脂を利用。さすがにモーターはメーカー製のものを取り寄せているが、外装を含む全体の約75%が3Dプリンタによって作成されている。

色や細かい形状などは、顧客の好みに合わせてデザインを変更することが可能。なおローカル・モーターズ社では、「Swim」以外のLM3Dシリーズとして高速走行が可能なスポーツカータイプも計画中とのことである。

安全基準や価格の面に課題

「SEMA」の会場においても、自動車業界における新たな波として大きな注目を集めていた「The toy-like LM3D Swim」。その値段は5万3000ドル(約640万円)とかなりお高め。ローカル・モーターズ社は「計画では2017年から出荷を開始し、オンデマンドベースで年間2,400台の製造を目指す」と発表しているが、現状では安全基準の検査についても対応中の段階で、実用性の面やビジネスとして成立するかなど、まだまだ未知数の部分も数多い。

3Dプリンタの技術は日進月歩で進化している。DDMによって自動車一台が丸ごと製造される。そんなSF映画のような世界も決して遠い未来ではない。ただ、それが一般に普及するレベルにまで達するには、もう少し時間が必要だろう。

参考
LOCAL MOTORS Blog
「Local Motors debuts LM3D, the world’s first 3D-printed car series」

Digital Made Magazin
「米Local Motors社、SEMAショーで3Dプリンタ車LM3D SWIMを公開、2016年から予約販売開始」

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