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3Dプリンターの課題工作機械としての課題

用途が限定されている理由

旋盤やマシニングセンタのような加工機、鋳造、射出成型などと比べると、3Dプリンターはスピード、精度、強度、コスト、使える材料、要求される設計知識やスキルなどの面で課題があります。ここでは、3Dプリンターが抱える課題と今後の展望について掘り下げます。

① 造形スピード

一般的に、3Dプリンターは1cm造形するのに約1時間かかります。積層ピッチや造形方式によっても違いますが、10cm程度のものを作るのに10時間かかる計算になります。実際の生産現場では、造形スピードの遅さは大きなマイナス要素です。

② 精度

3Dプリンターは加熱しながら積層するものが多く、形状によってひずみが生じることがあります。切削加工なら0.01mmで仕上げられる精度が、3Dプリンターは0.1mm程度。キーエンスの3Dプリンターの積層ピッチは0.015mmでクラストップレベルですが、材料の樹脂が熱などで誤差を生むため、実際には実力値で±0.1mmです。積層ピッチが劣るプリンタなら、精度はさらに低くなります。

③ 強度

材料を1層ずつ積層していくので、積層界面が脆いという弱点があります。身近なところでは子ども用玩具のブロックをイメージするとわかりやすいかもしれません。上から押さえつける分には強いのですが、横から押すと簡単に壊れてしまいます。

④ コスト

機種にもよりますが、通常のABSペレットなどと比較すると、3Dプリンターの材料コストは100倍近くになります。しかも使った分だけ材料がいるので、製品が大きくなればなるほどコストがかさみます。簡単な形状でも、量産でコスト削減できるわけではありません。

⑤ 材料

近年は金属やゴムライクといった材料も登場しましたが、一般的には、ABSやPLAなどの樹脂が主流です。方式ごとに使える材料が決まっているので、完成品は、材料の特性に大きく左右されます。造形のスピード、精度、強度、コストといった要素も材料と密接に関わっているので、新素材の開発は大きな課題といえます。

⑥ 設計知識

3Dプリンターの造形には、3D CADのモデリングが必要です。最近では3Dスキャナから直接造形できるようになりましたが、スキャナのデータでは表面だけで内部が再現できません。構造まで造形できる良さを活かすには、3D CADを使いこなす知識が求められます。

量産品とのギャップ

ものづくりに携わる人にとって、0.01mmという精度はごく一般的なレベルで、旋盤やNC工作機械で満たすことができます。材料も金属樹脂、木材、プラスチック、さらにその金属の中からステンレス、チタン、さらにステンレスからSUS304やSUS305……と、自由に選べます。だからこそ強度や耐久性などの要求にも高いレベルで応えることができるのです。
また射出成型は、金型にコストや時間がかかりますが、いったん作れば1日に数百、数千もの製品が加工できます。その分、短納期で1個あたりのコストも下げられます。これも3Dプリンターにはない特徴です。

課題を理解して使うことが重要

試作を迅速に行なうために考案された3Dプリンターは、もともと精度、強度、早さ、コスト、材料、量産などを最優先したツールではありません。3Dプリンターが万能で、これさえあれば何でもできるという思いとのギャップが、すでにこの時点から生まれています。技術の進化を見極めながら、課題や性能を理解したうえで使うことが重要です。

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