基本構造と原理

顕微鏡の基本的な構造と原理からついてご説明します。

顕微鏡の基本的な構造と原理

一般的に生物顕微鏡は、主に対物レンズと接眼レンズ、鏡筒、ステージ、反射鏡で構成されています。ステージの上にセットされた観察対象物は、対物レンズを通じて拡大されます。ピントが合った状態で、接眼レンズをのぞくと拡大された像を観ることができます。

構造が似た装置といえば、遠くのものを観察する望遠鏡があります。望遠鏡は星など遠くにある物体の光を対物レンズで受けて、屈折した光を接眼レンズで焦点に合うように調整することで観察が可能になります。一方、顕微鏡の原理は観察の対象物に光を当てて、その透過光や反射光を対物レンズおよび接眼レンズによって拡大することで観察する仕組みです。

顕微鏡の原理

(図 生物顕微鏡で拡大観察ができる原理)

顕微鏡の性能

生物顕微鏡は倍率の異なる対物レンズを備えていて、高倍率を用いることでより微細なものを観察することができます。倍率(M)は対物レンズと接眼レンズのそれぞれの倍率を掛け合わせたもので表します。

もっとも、顕微鏡の性能は倍率だけで決まるものではありません。顕微鏡で重要な性能が「分解能(解像度)」です。分解能は二つの光点を分離して識別できる能力を指し、二点間が分離して見える最も短い距離で示されます。微細なものを観る上で倍率は重要ですが、それとともに分解能も微細なものを“クリアに”観る上で重要な性能といえます。ちなみに、光学顕微鏡の場合、可視光線の波長(400~800 nm)が影響するため、分解能は約100~200nmが理論上の限界となります。それ以上の分解能を必要とする場合、電子顕微鏡の利用を検討します。

また、対物レンズの性能を決める基準として「開口数(N.A.)」が挙げられます。この値が大きいほど、分解能および明るさが優れていることになります。顕微鏡を選定する際にしては、観察対象物に基づいて倍率と分解能、そしてレンズの開口数を基準とする必要があります。

そのほか、レンズは完全な形状とすることが難しいことから、像の形のゆがみやぼけ、光のにじみといった現象を引き起こす恐れがあります。これは「収差」と呼ばれるもので、収差を補正したレンズほど性能が高いとされています。

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