研究・開発現場レポート - ハイスループットを実践されている研究室のインタビュー

第13回 - 人工臓器研究の最前線

梅津 光生 氏

早稲田大学(TWIns)
先端生命医科学センター長
理工学術院総合機械工学科教授
大学院生命理工学専攻主任
工学博士 医学博士
梅津 光生 氏

学内外から広く研究リソースを結集させることが重要

 人工臓器に関して幅広いテーマで研究を展開する梅津氏の研究室では、従来の発想を超えた取り組みが次々に始まっている。「学内にとどまらず、学外を含めて幅広い研究リソースを結集することで、真の生命医療系研究を進めていきたい」と抱負を語る梅津氏。次世代の医工連携を見据えて、研究者の育成や新学問領域の創出をめざすとともに、大学、病院、企業の産学連携を押し進めていく考えだ。

 また、岩﨑氏はこれからの取り組みについて次のように語っている。「次々と開発・改良される人工臓器の早期実用化のためには、流れの特性と耐久性、そして血液適合性について、実際のヒトでの使用環境に近い実験装置での厳密な検証が欠かせません。それぞれの性能を調べる実験装置を目的ごとに開発していまして、今後は例えば耐久性と血液適合性といった複合的な性能の長期間使用後を予測できるシミュレータへと発展させていきたいと考えています。いかにヒトに近いシミュレータにしていくかが課題です」

研究室にて実験に取り組む准教授の岩﨑清隆氏(右から二人目)と大学院生。若い研究員が先端医療への貢献をめざして研究に熱心に取り組んでいる。

研究室にて実験に取り組む准教授の岩﨑清隆氏(右から二人目)と大学院生。若い研究員が先端医療への貢献をめざして研究に熱心に取り組んでいる。


 日本唯一といえる医理工の学際研究として活動を展開しているTWIns。2010年度からは医学、理工学の両分野にまたがる、日本初の共同大学院がスタートする予定だ。それだけにこれからの先進医療をリードする研究機関として期待は大きい。そして、梅津氏の研究室が取り組む人工臓器の研究開発も世界の注目を集めている。研究成果を着々と挙げている中で、医療のあり方に大きなインパクトをもたらしていくことになるだろう。

早稲田大学(TWIns) 先端生命医科学センター長梅津光生氏

早稲田大学(TWIns) 先端生命医科学センター長梅津光生氏



(2009年12月現在)

<豆知識> 「人工臓器」

 病気やけがで機能を失った臓器の代わりをする医療機器。近年、工学技術や再生医学に基づく人工臓器の開発が盛んに行われている。中でも、人工心臓の開発が各国で盛んに行われている。技術の進歩につれて体内に埋め込む人工臓器の小型化・軽量化が進んでおり、臨床段階での実用化に大きく近づいている。

プロフィール

梅津 光生 氏
早稲田大学(TWIns) 先端生命医科学センター長
理工学術院総合機械工学科教授
大学院生命理工学専攻主任
工学博士 医学博士
1979年、早稲田大学理工学研究科(博士)修了。厚生省・国立循環器病センター研究所スタッフを経て、1988年にオーストラリア人工心臓初代プロジェクトリーダー。1992年、早稲田大学理工学教授およびシドニー・ニューサウスエールズ大学生体医工学センター客員教授を併任。2008年より現職。専門は生体医工学および人工臓器、再生医療工学。これまでに「チェコ国・人工臓器貢献賞」「国際バイオメディカルエンジニアリング学会栄誉賞」など受賞多数。

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