測定値が安定しない

トラブル内容

微量な粉末を電子天秤で測定するとき、風防を閉じているにもかかわらず、測定値が安定しなかったり、再現性がなかったりする。

風防付き電子天秤のイメージ

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静電気の発生と帯電

帯電しているものは、被測定物(粉末など)のほかに、電子天秤に付属している風防、電子天秤を操作している作業者である。被測定物は容器から取り出すときに摩擦帯電が起きる。電子天秤の付属している風防は金属製であれば帯電しないが中が見えない。したがって風防はガラス製やアクリルなど透明なプラスチック製である。ガラスやプラスチックは絶縁体なので風防の開閉や清掃作業で帯電する。

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測定値が変化する静電気現象

帯電した風防と計量皿にクーロン力が働き測定値が変化する。風防の帯電の状況は徐々に変化するので測定値も徐々に変化する。帯電した作業者が近づいた場合も同様のことが起きる。帯電した作業者と計量皿の間にクーロン力が働き測定値が変化する。作業者はゼロ点調整の操作を行うなどの動作をしているので、計量皿に働くクーロン力は変化する。
計量皿に働く力について概算する。平行平板電極に電荷を与えると電極にはお互いに引きあう力が働く。与えた電荷をσ [C/m2]とすると、引き合おうとする力f[N/m2]は式(5-19)で表わされる。

(5-19)

図5-143に示す電子天秤を考える。電子天秤の計量皿はφ 100mmで風防に囲まれており、高さd=100mmのところに天井があるとする。この天井が10-8C/m2で帯電しているとする。式(5-19)と計量皿の面積より計量皿にはたらく力は4.4×10-8N/m2である。重量に換算すると4.5μg分である。この計算ではモデル化しやすいため天井とのクーロン力を求めた。しかし現実には天井だけでなく側面の風防が帯電していることによるクーロン力の影響が大きい。計量皿に働く力は数10μg分の影響があると考えられる。

図 5-143 風防付き電子天秤の例

風防の天井の電位V は式(5-20)で表わされる。

(5-20)

クーロン力を計算した例では天井の電位V は110Vである。この程度の帯電でも1mg以下の精度で測定を行う場合には無視できない誤差となる。作業者が帯電している場合にはもっと大きな電荷が帯電している可能性もあり、測定に影響するクーロン力はさらに大きくなる。
帯電した作業者と計量皿との間に風防があっても電気力線を遮ることは出来ないので、クーロン力が働き電子天秤の値は変化する。図5-144に作業者と計量皿を模擬した電極と、その電極の間に風防に見立てた板がある場合(a)と無い場合(b)を示した。作業者と計量皿の距離に相当する電極間隔dと比較して風防の厚さtは無視できるので(a)と(b)の電極に働く力f aとfbは同じである。

図 5-144 帯電した測定者と計量皿との間に働く力のイメージ図

図 5-145 計量皿

計量皿に載せた被測定物が帯電している場合は、計量皿の直径Rに対し、被測定物の高さh が非常に小さい場合は、被測定物の帯電の影響は無視できるほど小さい。むしろ被測定物が帯電しているために、計量皿にくっつく等の別の静電気トラブルを考えなくてはならない。

薬包紙が計量皿より大きい場合

計量皿をはみ出すような薬包紙を使用する場合は、薬包紙の帯電の影響による影響が表われる。計量皿からはみ出した帯電している薬包紙と電子天秤の本体に引き合う力が働き測定値に誤差が生まれる。

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除電方法

被測定物は粉末であることが多いので、イオン搬送には電界搬送の除電器を用いる。また、除電器による電界が計量皿に影響しないように除電器の配置を考えなくてはならない。
接地と電界遮蔽(シールド)が最も効果が高い。作業者は、帯電しないようにリストストラップを装着する。被測定物はアルミ箔などの金属箔で包んで電界遮蔽を行う。金属製のビーカーなど背の高い容器に入れても効果がある。

被測定物の電界遮蔽

風防も帯電しない材質である金属にすればよいが中が見えなくなる。多少の視認性は犠牲になるが、目開きが数mm程度の金網を接地に接続して、風防に貼り付けるのも効果がある。

風防の帯電を金網で対策

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対策例

電子天秤の測定値のばらつきは測定するときの工夫で、除電器なしでも対策できる。ただし、作業効率を考えると除電器を使わざるを得ないときもある。除電器を使用する場合は、イオン搬送には電界搬送のスポットタイプ除電器を用いる。エアを使用する場合は、測定を開始したときにエアを止める。微量測定をするときは粉末を扱うことが多い。そのため薬包紙から粉末が付着してはなれなかったり、容器から移し変えるときに飛び散ったりする静電気トラブルが多い。粉末を扱う場合など風の影響が問題となる除電には、イオン搬送を電界搬送するバータイプ除電器を用いる。また作業者はリストストラップを必ず接地する。

バータイプ除電器を使用した対策例

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