紙が整列しない

トラブル内容

スタッカーバンドラー(単にスタッカーともいう)は本や雑誌、カタログなどを作るときに印刷機で印刷された紙を積み重ねて結束する機械である。紙を重ねると、きれいに整わず乱れて重なる場合がある。これをそのまま結束すると紙が折れたり、丁合いがずれたりする。

スタッカーバンドラーでの不具合のイメージ

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静電気の発生と帯電

同じ材料どうしの帯電傾向は同じなので、紙どうしが接触した場合には静電気が発生しないように思える。しかし実際の紙には印刷されていたり、コーティングされていたりして表面と裏面はもとより一枚一枚も表面状態が異なる。したがって同じ紙どうしであっても搬送中に摩擦や剥離を繰り返すと帯電してトラブルの原因となる。帯電傾向が似たような材質どうしの接触なので図5-24のように場所によってプラスになったりマイナスになったりする。

図 5-24 紙の剥離帯電と摩擦帯電

図5-25の上図に示したとおり紙の表面抵抗率は相対湿度に大きく影響する。湿度が高い雰囲気では紙は吸湿して抵抗値が低下し、湿度が低い雰囲気では紙は乾燥して抵抗値が大きくなる。湿度が高いと紙の電気抵抗が低いため発生した静電気はすぐに拡散するので問題にならない。湿度が低いと紙の電気抵抗が高くなり、発生した静電気はすぐには拡散しないのでトラブルがおきる。一方で図5-25の下図に示したとおりPP(ポリプロピレン)フィルムの表面抵抗率は湿度の影響が小さいため、湿度が高い環境でも静電気トラブルが起きる可能性が高い。

図 5-25 紙( 左) とPP( 右) の表面抵抗率と温度、湿度の関係

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紙どうしの静電気現象

この事例の特徴は摩擦や剥離が同じ材質間で起きていることと、一部分が重なり合うことである。帯電傾向の近い材質を接触させると帯電列には従わず、部分的にプラスになったりマイナスになったりする。また一部分しか接触をしていないために、帯電しているところと帯電していないところができる。例えば図5-26のように紙が重なりあったところだけが帯電する場合もある。

図 5-26 紙が重なり合ったところで帯電しているモデル図

図5-27のように一部分が帯電しているために、紙を重ね合わせたとき、紙が飛び出す方向にクーロン力が働いて紙が飛び出す。

図 5-27 帯電した紙が飛び出すモデル図

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除電方法

水平搬送部は、図5-28のように紙が重なり合っているため除電が困難である。貼り付いて密着している部分にはイオンが入り込めず、また電荷は見かけ上ゼロになっておりイオンで中和することができない。

図 5-28 水平搬送部での除電イメージ

縦型スタッカーであれば、図5-29のように紙の移動方向が変わる場所に除電器をつけるのが効果的である。紙が向きを変えるとき密着している部分が離れて隙間ができるので、この部分を狙って除電を行う。イオン搬送方法は電界搬送でも気流搬送でもどちらでも良い。ただし隙間があいたとしても奥深い場合は気流搬送でイオンを深くまで押し込む必要がある。除電可能な時間と場所は限られているのでイオンの生成量が多い除電器、すなわち除電時間の短い除電器を選定する。

図 5-29 縦型スタッカーでの除電器の設置イメージ

横型スタッカーでは、図5-30に示したように、紙の排出部に取り付けるのが良い。この場合は搬送ローラーの近くに除電器を設置することになるのでイオンバランス性能が重要となる。

図 5-30 横型スタッカーでの除電器の設置イメージ

イオンバランスの悪い除電器をローラーの近くに設置すると、図5-31のように除電器が発生したイオンに誘導されてローラーの表面に誘導電荷が集まる。

図 5-31 イオンバランスの悪い除電器の例

紙表面とローラー間の静電容量Cは式(5-5)で表わされる。紙とローラーとの距離dは小さいので静電容量Cが大きくなる。

(5-5)

静電容量Cが大きいと小さな電圧Vでも大きな電荷Qを受け取る。

(5-6)

イオンバランスの悪い除電器を用いると、紙は大きな電荷を受け取って排出されることになる。

DCタイプでイオン搬送に電界を用いている除電器は、この事例には不向きである。DCタイプ除電器はプラスイオンを出す場所とマイナスイオンを出す場所が異なる。全体ではイオンバランスがよくても、場所で異なるために、図5-32のように紙がまだらに帯電してしまう。

図 5-32 DC タイプ除電器を使用して紙がまだらに帯電するイメージ

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対策例

ACタイプの除電器を用いて、動作周波数をできるだけ高く設定するのがよい。紙のサイズに合わせて、広範囲が除電できるバータイプ除電器を用いたり、名刺などの紙が小さい場合はスポットタイプを用いたりする。イオン搬送方法は電界搬送ではなく気流搬送にする。紙は帯電しやすく電荷量が大きいことが多い、気流搬送によってイオンの供給量を大きくする。また紙が重なってイオンが届かないところへ隙間を広げイオンを押し込むことができる。供給エア量は搬送トラブルが発生しない程度にできるだけ多くする。

縦型スタッカーのイメージ図

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