静電気のメカニズム

原子レベルで見た静電気発生のメカニズム

地球上の自然な状態の中で、何か物質が存在すれば必ず静電気が発生すると考えられています。この場合、物質は同じであっても、異なったものでも、また個体に限らず液体や気体いづれの形状でも発生しています。

例えば、雷は雲の中の水蒸気が氷結した粒子が摩擦することで発生する静電気です。また、気体や液体がパイプやホースの中を勢いよく流れた場合も静電気を発生し、これが原因でタンク内洗浄中の爆発事故につながったり、生産工程で生産能率を低下させるような障害、半導体デバイスの破壊など、静電気による障害は、あらゆる業種におよびます。

では、この静電気はどのような原因で発生するのでしょうか?
図は、原子レベルで見た静電気発生のメカニズムです。

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接触帯電

すべての物質は、原子と原子の組み合わせです。その原子には、マイナスの電子とプラスの陽子で構成された原子が含まれます。

通常は、マイナスの電子とプラスの陽子の数が同じで、電気的に中性の安定状態(0V)が保たれています。
接触帯電とは、2つの物体が接近し、接触することによって、物質をプラスまたはマイナスに帯電を起こす現象のことです。つまり、接触することによりそれぞれの原子にある電子が移動を始め、片方の物質から電子(-)が飛び出しプラスに帯電し、飛び出した電子は接触しているもう片方の物質に飛び込みマイナスに帯電することになります。これが、静電気の発生です。このとき、電子の結びつきが弱い方から強い方へ電子が移動し、下図のような接触界面で電荷の分離が起こります。

この電子移動のメカニズムについては絶対的な定義はなく、プラスマイナスのどちらに帯電するかは接触する2つの物体の電子エネルギー的な優位性によると考えられます。目安としては、後述の帯電列表を参考にします。

接触時に発生した電荷の接触界面様子

このように、2つの物体が接触するときには、必ず電荷の分離が起こり、静電気が発生します。

接触帯電で発生する電荷量は、摩擦による帯電に比べると微量ではあるのですが、現実としてこの接触帯電現象が原因で、静電気障害が起こる場合があります。

例えば、射出によるプラスティック成形時に金型に密着した製品が強く帯電し、金型から離れる瞬間に静電気放電が起こります。このように、形成された製品が静電気放電を起こすと、表面に放電の跡を見ることができます。

これは、静電気放電が起こったとき、そこに空気中のほこりが付着したためにできるものです。この接触帯電から摩擦帯電や剥離帯電など、大きな静電気放電に発展することになります。

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人体に感じることのできる静電気

人体は少量の静電気容量として機能するため、接地(アース)をしていない状態で動き回るなどの動作により帯電してしまいます。実際の作業現場では、人が座ったり立ったりという椅子との接触、剥離や、種々の作業のため移動することにより、帯電する機会は非常に多くなります。

人体が帯電すると電荷は体内に滞留し、帯電した作業者が不用意に敏感な半導体などの電子部品に接触することで、静電気破壊を起こしたり、人体と帯電体の接触による静電気放電で発生するノイズが原因で、コンピュータの装置類が誤作動を起こすケースにつながります。

下表は帯電量の大きさを目安として、人体に帯電したときの帯電量とその電撃について示したものです。
この図によると、「チクリとした痛みを感じる」レベルで帯電電位は3kVです。

暗闇で青白い光が見える状態だと、10kV以上になります。静電気は、普段もさまざまな場面で発生していますが、1kVだとほとんど感じることはありません。製造現場では、この1kVに満たない静電気が問題となり、作業者がまったく感じることがなく、静電気障害による不良品や工程でのトラブルの誘因となっています。

人体の帯電電位と電撃の強さ

人体の
電撃電位
[KV]
電撃の強さ
1.0 まったく感じない
2.0 指の外側に感じるが痛まない
3.0 針で刺された感じを受け、チクリと痛む
5.0 手のひらから前腕で痛む
6.0 指が強く痛み、後腕が重く感じる
7.0 指、手のひらに強い痛みとしびれを感じる
8.0 手のひらから前腕まで、しびれた感じを受ける
9.0 手首が強く痛み、手がしびれた感じを受ける
10.0 手全体に痛みと電気が流れた感じを受ける
11.0 指が強くしびれ、手全体に強い電撃を感じる
12.0 手全体に強打された感じを受ける

「静電気安全指針」産業安全研究所編

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