除電能力と評価・選定

除電能力

能力の高い除電器は、静止した帯電物を短時間で中和し、移動する帯電物に対しても帯電レベルを十分低下できる性能を持つものとされます。
具体的には、「除電速度」と「イオンバランス」の2点があり、除電速度が早くなおかつイオンバランスの良い除電器が、能力の高い除電器と言われています。

除電速度

除電速度

「除電速度」とは、帯電体表面に除電に必要なイオンを単位時間内にどの程度送り込めるかによって決まり、このイオン量を多くするためには、イオン生成能力(単位時間内のイオン生成量)が高いことが必要です。
図は、帯電している物体をどれくらいの速さで所定の電圧まで除電できるかを示してます。±1000V→±100Vのように、元の電圧から1/10の電圧になるまでの時間を測定するのが一般的です。この除電能力は、高電圧の印加の仕方によって様々な能力差があります。

イオンバランス

イオンバランス

「イオンバランス」とは、どれだけ0Vに近い状態まで除電できるかと、どれだけ0Vに近い状態を保持できるかを示すもので、生成した正負イオンの割合になります。つまり、帯電体表面の位置で正負イオンの数が等しければ、除電後の帯電体電荷をほぼ正確にゼロにすることが可能になります。
図で示すように、「0V」に近い程、イオンバランスが良い除電器となります。なお、イオンバランスは使用開始時に設備環境に応じて調整するのが一般的ですが、この生成する+イオンと-イオンの量は、静電気に敏感なデバイスの静電気対策に利用するため、デバイスに影響しないよう注意して調整する必要があります。
また、十分時間をかけて除電をしたにも関わらず電荷が残っている場合や、除電装置の前面に置いた帯電していない物体が帯電してしまう場合は、イオンバランスが取れていないことになります。除電器によってはイオンバランス調整機能がない除電器もあるので、確認が必要です。

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除電装置の評価方法

チャージプレートモニタの原理

EOS/ESD規格(米国)やRCJ規格等が除電器の性能測定を行う試験機器として、チャージプレートモニタを推奨しています。試験機器の構成は、下図のように、金属板は15cm×15cmとし、電気的接続のない試験器に取り付けた時の最小静電容量は15pF、導体板と試験回路を含む総静電容量は20pF±2pFとされています。

チャージプレートモニタの原理

除電時間の測定方法

除電時間の測定は、チャージプレートを帯電し、その帯電電位が10%に減衰するまでの時間を測定します。帯電電位の減衰時間は、静電容量を係数として静電気の減衰時間といえます。

Q[C]=C[f]×V[V]

静電容量Cが変化しなければ、静電気(電荷量)Qと帯電(電位)Vは比例します。つまり、チャージプレートで測定した減衰時間に、静電容量の違いを考慮すれば、静電気の減衰時間が分かります。

イオンバランスの測定法

イオンバランスの測定は、帯電していないチャージプレートに、除電器からイオンを供給した時の電位を測定します。チャージプレートがおかれた場所のプラス・マイナスイオン量が同じであれば電位は0Vを示します。プラス・マイナスイオン量に違いがあると、多いイオンの極性側にチャージプレートが帯電します。これは、帯電していない除電対象物に除電器を用いると、そのイオンバランス値分、逆に帯電させてしまう事を示しています。測定値は安定した数値になるのを待つため、除電器の運転5分後の電位を測定します。また、静電誘導の影響で値がゆらぐことがあります。このような場合は、中心値を読みとり、イオンバランス値とします。

注意事項

チャージプレートモニタを使用した測定は、チャージプレートの大きさ内での平均的な除電性能を示しています。チャージプレートの大きさは150mm角(6inch)と25mm角(1inch)のサイズが一般的です。チップ部品のように小さな部品に対する除電性能を求める際に、大きさが極端に違うチャージプレートで評価したのでは相関が少なくなります。

除電器の種類別評価方法

EOS/ESD規格、RCJ規格では、除電器の種類が用途別に分類されており、それぞれの種類によって評価方法が示されています。下図は、層流フード内イオン化装置(フード内の層流を利用しイオンを気流下方向に供給するもの)での評価方法です。

除電器の種類別評価方法

EOS/ESD規格やRCJ規格等でも除電器の性能評価は複数ポイントで行うことになっていますが、特にパルスDCやステディDCタイプのバータイプ除電器の場合、除電バーの長手方向での能力評価はイオンバランスを判断する上で非常に重要です。
特に近距離設置で使用する場合は、下図のように、長手方向でのイオンバランスが悪くなるので、除電条件に見合うかどうかを十分に評価する必要があります。

除電器の種類別評価方法

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除電器の選定方法

除電器を選定する手順は、以下の3段階を踏みます。

  1. 設置距離/範囲の決定
  2. 電圧印加方式の選択
  3. 除電器候補の選定

設置距離/範囲により、使用できる電圧印加方式が限定されます。その中で、使用すべき電圧印加方式を選択します。設置距離/範囲により制限される電圧印加方式の種類と理由を説明します。

近距離設置(300mm以下)での使用時

近距離設置の場合、場所による除電ムラの有無が電圧印加方式で異なります。1本の電極針からプラス・マイナス両方のイオンが発生できる電圧印加方式を選択します。

近距離設置(300mm以下)での使用時

近距離設置(300mm以下)での使用時

長距離設置(300mm以上)での使用時

長距離設置の場合、イオン到達距離が電圧印加方式で異なります。
正負イオンの再結合の頻度が低い電圧印加方式を選択します。

長距離設置(300mm以上)での使用時

長距離設置(300mm以上)での使用時

除電能力と電圧印加方式

除電器の能力(除電速度、イオンバランス)は、電極針への電圧の印加方法により違いがあります。
電極針への電圧の印加方法(電圧印加方式)にはDC、AC、パルスDC、パルスAC方式の4種があり、それぞれ除電能力に特長があります。

除電能力と電圧印加方式

除電能力と電圧印加方式

除電能力と電圧印加方式

除電能力と電圧印加方式

除電能力と電圧印加方式

ダブルDC・パルスDC方式の注意点

ダブルDC・パルスDC方式の場合、バータイプの除電器は使い方に注意しないといけません。

ダブルDC・パルスDC方式の注意点

上図のようにバータイプの除電器を使用する場合、バーの長手方向で見ると+イオン、あるいは-イオンしか発生しない領域が存在しますので、バー長手方向のイオンバランスが悪くなります。特に除電対象物との距離が近い場合は、除電条件に見合うかどうか気をつける必要があります。

ダブルDC・パルスDC方式の注意点

電圧印加方式別特長

項目 DC ダブルDC パルスDC AC 高周波AC パルスAC
放電の周波数 定常連続 定常連続 パルス
0.1~60Hz
50/60Hz ~70Hz パルス
0.1~60Hz
除電速度 近距離
遠距離
イオンバランス 近距離 ×
遠距離
項目 DC ダブルDC パルスDC
放電の周波数 定常連続 定常連続 パルス
0.1~60Hz
除電速度 近距離
遠距離
イオンバランス 近距離 ×
遠距離
項目 AC 高周波AC パルスAC
放電の周波数 50/60Hz ~70Hz パルス
0.1~60Hz
除電速度 近距離
遠距離
イオンバランス 近距離
遠距離

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