設置のポイント

除電器の能力を最大限引き出すためにまず注意しなければいけないのが、「除電器の設置場所」です。

除電器の設置場所

除電器周辺の金属体の影響

『帯電物がない場合』

『帯電物がない場合』

帯電物がない場合は、図のように、電極針周辺に金属体がある状況でイオンを発生させると、発生させているイオンと反対極性の電荷が金属体に流れます(静電誘導)。この静電誘導によって生じた電荷によって、電極針から発生しているイオンが金属体の方へ吸い寄せられてしまいます。

『帯電物がある場合』

『帯電物がある場合』

帯電物がある場合、図のように、帯電物が除電器の目の前にあり、帯電物の帯電量が大きいうちは発生するイオンを引き付ける力が強く、金属体の影響が少ない状況になりますが、帯電物が除電されるに従い、イオンを引き付ける力が弱くなり、逆に金属体が引き付ける力の方が強くなってしまい、ついには、帯電物にイオンが到着しないことになります。つまり、いくらイオンを発生させても除電しきれない状態になってしまいます。

除電対象物周辺の金属体の影響

除電器の周辺だけでなく、除電対象物の周辺に金属体があると、上手く除電できない場合があります。

『除電対象物の下にアース体がある場合』

『除電対象物の下にアース体がある場合』

図のように、シート材の背景に金属ローラがあると、金属ローラ内で「静電誘導」が起こり、金属ローラ表面に帯電物と逆極性の電荷が集まってきます。
そのため、金属ローラ付近ではシート材の表面の静電気が静電誘導によって集まってきた電荷と結合しているような状態(電気的に中和されているような状態)となり、除電器からイオンを供給しても結合(中和)せず、除電効果が得られなくなります。

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除電器の設置方法

狭い場所の除電タイプ

狭い場所の除電タイプ

「除電器の原理と種類」で見たように、除電器形状には除電範囲に応じていくつかの種類があります。本項目では、狭い場所での除電方法をご説明します。
狭い場所の除電にはスポットタイプの除電器が用いられます。

狭い場所の除電タイプ

スポットタイプには、「イオンチューブ搬送方式」と「ダイレクトイオン方式」の種類があります。
イオンチューブ搬送方式は、電極針で生成したイオンを樹脂やステンレス製のチューブで搬送する方式です。
チューブは市販品でも使用ができ、簡便であるため、市場では最も多い方式です。
しかし、チューブ内でイオンの再結合や、チューブ壁内へのイオンの付着などが発生し、チューブから飛び出るイオン量は少ないため、除電速度は高速化できません(図)。

狭い場所の除電タイプ

ダイレクトイオン方式は、チューブ形状の除電器先端に電極針を位置させ、生成イオンをダイレクトに放出します(図)。
イオンのロスを最小限に抑えられるため、除電速度が高速です。構造が複雑であるため、市場ではあまり多くありません。また、チューブ内に高圧線が配されているため、稼動部には適していません。
現在、キーエンス製のΦ10タイプが最も細径です。

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配線時の注意点

配線時の注意点

コロナ放電式除電器は、コロナ放電を自発的に発生させるため、高電圧を使用します。一般的に±3kV以上の電源を使用します。
除電器の構造として、イオン生成部(電極針)と高電圧電源部とが分離したタイプと本体内蔵タイプがあります。
それぞれの一般的な特長は以下の通りです。

電源タイプ別特徴

  サイズ 配線ケーブル 配線工数
内蔵式 大きい 低電圧 少ない
分離式 小さい 高電圧 多い

電源タイプ別特徴

分離タイプを使用する場合、高圧線の配線には注意が必要です。
高圧線にキズができたり、アース体に直付けを行うと、高圧線から周囲への放電が発生、火災などの事故につながる恐れがあります。
最近は、除電器本体に異常放電検知機能が付いているものがあります(機能安全)。
高圧電源内蔵タイプの場合、配線ケーブルを流れる電圧はDC24-36V程度であるため、通常の電気機器と同じ管理レベルで配線が可能です(本質安全)。

コラム

帯電状況のセンシングフィードバック1

近年、除電能力を向上する手法として、帯電物の帯電状況をセンサシングし、その情報を元に最適なイオンを生成する「センシングフィードバック」方式が確立されてきました。
センシングフィードバック方式には、センサの用い方により2種類あります。

  • 外部センサ方式
  • センサ内蔵方式

帯電状況のセンシングフィードバック1

外部センサ方式は除電器本体にリモート接続された電界計を除電対象物に対して一定距離に設置し、電界計の測定値を元に、除電器本体のプラスイオン・マイナスイオンの発生比率を変える方式です。
外部センサの取り付けが除電器本体取り付けに別途必要ですが、ピンポイントで測定できるため、測定箇所に限定すると高精度にフィードバックできる点が特長です。
但し、絶縁体ワークや移動体ワークの場合は注意が必要です。

帯電状況のセンシングフィードバック1

絶縁体ワークの場合、場所により帯電圧が異なります。大きさだけでなく、極性まで変わります(図)。
そのため、外部センサ方式により一箇所だけを最適化すると、他の場所は悪化する場合があります。
また、移動体ワークの場合、センシングした情報を元に生成されたイオンが対象物付近まで到達した時には、すでにワークは移動し帯電状況が異なっている、というセンシングとイオン生成間の時間差による誤フィードバックが問題となる事があります。

帯電状況のセンシングフィードバック1

コラム

帯電状況のセンシングフィードバック2

帯電状況のセンシングフィードバック2

センサ内蔵方式は、キーエンス製のみが採用している方式で、プラスイオンとマイナスイオンを生成する際のアース電流値から対象物の帯電状況を判断し、それに応じてプラスイオン・マイナスイオンの発生比率を変える方式です。検知範囲は、イオンの広がりとイコールになるため、ピンポイントでの検知はできません。また、検知精度は除電器の設置距離に依存するため、高精度検知には向いていません。
しかし、平均値で見るため絶縁体ワークでも全体として最適化された除電ができます。
また、センシング部とイオン生成部が同一箇所であるため、移動体ワークも最適な除電が可能です。

センサ方式別特長

  検知精度 検知範囲 絶縁体 移動体 導体
センサ内蔵 粗い 広い
外部センサ 高い 狭い

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