絶縁体に対する対策

導電化

絶縁体は電気を流すことができないので、絶縁体では接地による除電の効果はありません。
しかし、帯電する絶縁体材料を導電化することにより、その材料の一端を接地することで電荷の除去が容易にできるようになります。このように絶縁体を導電化する方法には、材料表面の導電化と材料に導電性の良い材料を含ませることで導電化する方法があります。

表面導電化

表面導電化は、材料表面のみを導電化することで、もとの材料の特性を損なうことなく帯電防止できるので、一般的な方法です。主に、静電気防止剤を使用します。
具体的には、除電が必要な高分子材料などの表面に電気誘導性の高い金属の薄い膜で被うことで、金属層の導電性によって電荷の漏洩を早める方法や、カーボンブラックや銀の粒子などの導電性材料を塗料に含ませた導電性塗料を塗布する方法、また、表面を親水化することで、表面吸着した水分により電荷漏洩を早める方法などがあります。デメリットとしては、洗浄や表面の劣化などにより防止効果が低くなることがあります。

体積的導電化

体積的導電化は、高分子材料にカーボン繊維などの導電性材料を混入することで、材料自体を導電化する方法です。
この方法は、高分子材料が確実に導電性になることから、接地により簡単に除電が可能になります。また、その効果は、表面を洗浄しても材料自体が導電化しているので、表面導電化に比べて永続性が良いといえます。
ただし、導電性物質を混入した場合、もとの材料特性が損なわれることや、導電性材料にカーボンブラックなどを用いた高分子材料は、黒色で不透明になるため用途が限られることになります。
主に、電子回路の基板や電子部品などクリティカルな製品を入れる保存袋などに多く用いられています。

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塗布型静電気防止剤の電荷抑制効果

塗布型静電気防止剤は、液体を材料表面を塗布し静電気をコントロールするものです。その機能は、表面の導電性を高めることで、電荷を周囲の環境に拡散させるというものですが、その電荷抑制効果には次のような考え方があります。

帯電防止剤の種類

塗布型静電気防止剤により、材料表面の導電性が高められた結果、電荷発生時の2つの材料間の電子交換をスムーズにする。つまり、2つの材料の電子バランスが中和され、摩擦電気の発生を抑えられ、材料表面の電荷は導電化により、大気中に拡散します。

塗布型静電気防止剤には、材料表面の+イオンと-イオンをバランスのとれた状態にする能力があると考えられます。これは、材料表面に発生した摩擦電荷を、イオンが中和したりイオン交換によって電荷を大気中に拡散するからです。

塗布型静電気防止剤により、材料表面を平滑にすることで、摩擦による電荷を抑えます。

【参考】帯電防止スプレーの原理

帯電防止スプレーの原理

簡易的な静電気対策として、帯電防止スプレーがあります。
図のように、帯電防止スプレーは、絶縁体の表面に界面活性剤の皮膜を作り、界面活性剤が空気中の水分を吸収することで電気が流れるようになります。つまり、帯電防止スプレーとは、絶縁体の表面に導電体の皮膜を作り電気が流れる仕組みを作るものです。
製造現場では、パーツフィーダーの横などに置かれており、部品が詰まったときなどに吹きかけて使用します。

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湿度管理

電荷の空気中への漏洩と湿度の関係

静電気防止の方法として、湿度管理(加湿)があります。これは、環境を一定の湿度に保つことにより、材料表面に水分を含ませて、表面導電性を高める方法です。逆に、空気が乾燥しているということは、電気を通しやすい水分が減ることなので、電気は移動しにくく、放電を起こす場合もあります。

夏より冬の方が静電気障害を起こしやすいのは、湿度が低い上暖房によりさらに乾燥が進むためです。このことが、製造現場で季節要因による不良品率を増加させる原因となっています。

湿度には、相対湿度と絶対湿度という言い方があり、一般的に使われる湿度とは相対湿度のことを指しています。
相対湿度とは、空気が結露せずに含むことのできる水蒸気を1として、これに対する実際の水蒸気量をパーセンテージで表したものです。相対湿度が35%を切ると、一般的に静電気が起きにくいとされる木綿や木などの天然素材にも、静電気が起きるといわれています。また、相対湿度が65%を超えると静電気は発生しにくくなり、発生したとしても自然に漏洩します。

右上図は電荷の空気中への漏洩と湿度の関係を表したものです。
高湿度の空気中では、帯電体表面の電荷密度が高い程、電荷は急速に大気中に放出され、表面電荷はある程度まで減衰します。それ以後は減衰速度は低下してしまい、多少の電荷は残りますが、湿度管理によって材料の帯電レベルを、障害の起こりにくいレベルまで下げて保つことが可能になります。
加湿の方法は、加湿器を使用するのが一般的です。他に、水蒸気を噴出したり、作業床面に水をまくなどがあります。ただし、作業者の不快感による作業能率の低下や結露、錆、カビを助長するなどの問題点があります。

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