半導体では、CPUやメモリが代表的ですが、パワー半導体は、データを扱うのではなく電力を制御する半導体で、パワーデバイスと呼ばれています。ここでは、パワー半導体(パワーデバイス)のデジタルマイクロスコープでの観察・測定事例を紹介します。

パワー半導体(パワーデバイス)のデジタルマイクロスコープでの観察・測定

パワー半導体とは

パワー半導体の定義は明確ではありませんが、大きな電圧・電流を制御する半導体で、一般的には定格電流が1A以上のものをパワー半導体と呼んでいます。

パワー半導体の働き

インバーター:
直流を交流に変換。
  • A:インバーター
  • a:直流
  • b:交流
コンバーター:
交流を直流に変換。
  • A:コンバーター
  • a:交流
  • b:直流
周波数変換:
交流の周波数を変換。
  • A:周波数変換
  • a:交流
レギュレーター:
直流の電圧を変換。
  • A:レギュレーター
  • a:直流

パワー半導体の種類と特徴

パワーダイオード

働き:整流
スイッチングは行わず、一方向にのみ電流を流します。

パワートランジスタ

働き:スイッチングと増幅

サイリスタ
最も早く実用化され、高耐圧が特長です。
パワーMOS FET(金属酸化膜半導体電界効果型トランジスタ)
高速・高周波が特長です。200V程度までの低耐圧領域ではパワーMOS FETが一般的です。ノートPC/IT機器が代表的です。
IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)
高耐圧かつ高速・高周波が特長です。200V以上の中・高耐圧領域ではIGBTがよく使用されています。EV/ハイブリッド車/鉄道車両が代表的です。

デジタルマイクロスコープによるパワー半導体(パワーデバイス)の観察・測定事例

キーエンスの4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いたパワー半導体の観察・測定の最新事例を紹介します。

パワー半導体のプローブ痕の3D測定
1000x 同軸落射照明
IGBTのプローブ痕の3D測定
1000x 同軸落射照

パワー半導体の不具合箇所の観察

Optical Shadow Effectモードで凹凸を可視化することで、不具合部が付着なのか凹みなのかが瞬時に判断できます。

200x 同軸落射照明
Optical Shadow Effectモード(Color Map)画像

パワー半導体ウェハ原料の観察

リング除去機能を使用することで、表面のハレーションを無くすことができます。

100x リング照明 通常画像
リング除去画像

パワー半導体のモールド樹脂内のフィラー(充填剤)観察

HDR機能を使用することで、コントラストが向上し、フィラーの形状を正確に測定できます。

1000x 同軸落射照明+HDR
自動面積計測画像