戦後の日本は高度経済成長期を迎え、
あらゆるものに設備投資をおこない、生産効率を高めていった。
これまで「手作業」でおこなっていたものを「機械」に任せ、
大量生産を可能にしたことで、高い経済成長を遂げることができたのだ。
さらには1990年代後半からはPCの普及により、オフィスワークをスピーディーに処理できる
時代へと移り変わり、私たちの業務は劇的に変わっていった。
そして現代では “次の革命” が起こり始めている。
オフィスワークをオートメーションする「RPA」の普及だ。
RPAとは「業務効率化」や「生産性向上」を目的とし、
人間が “PCでおこなう作業” を記憶し、ロボットが自動で代行してくれるソフトの総称だ。
“生産年齢人口” が減少していく日本においては、
政府も民間企業へ導入を推奨するほど、重要な役割を担うことが期待される。
“PC作業を代行” と聞くと、ソフトウェアやインターネットといった、
いわゆる「IT業界」で主に利用されるものと誤解されがちだが、そうではない。
どの企業にも発生する「オフィスワーク」に対してRPAが大活躍しているのだ。
「勤怠チェック」から「経費精算」「売上・日報集計」はたまた「競合調査」など、
あらゆる業界、あらゆるシーンでPCによる作業がおこなわれている。
たとえば「勤怠チェック」一つをとっても、
- 1. 専用サイトにログイン、必要なデータを出力する
- 2. 出力したデータを集計し、日ごとの名前を付けて特定のフォルダに保存
- 3. 勤怠に問題のある人を抽出し、個別にメールで連絡
など、細かく煩わしい作業に溢れていることがわかる。
もしもこれらをロボットによって自動化することができたら…
単純作業に割かれているリソースを、
「売上」や「経営効果」に直結するような “重要な業務” に割り当てることができる。
また人間と違って「24時間365日」稼働してくれるロボットであれば、
勤務時間に関係なく作業が進む。
そのため人間が寝ている時間も稼働させることができるため、
「朝出勤したらタスクがすでに完了している」といった時間の有効活用もできる。
属人性を回避できるため、担当者変更などの際に引き継ぎの手間がかからず、
根本的にヒューマンエラーを回避できるなど、良いこと尽くめだ。
このようにどんな業界であっても、
「RPA」を導入することで生産性が向上することは明白だ。
ロボットに作業を学習させ、決まったPC作業をおこなわせるのに必要なのは、
当然のことながら「これやっておいて」では通じず、「プログラミング言語」なのだ。
“簡単に設定・運用できる” と謳っている「RPAソフト」は数あれど、
“UI・UXがわかりやすい” 程度のことで、真の意味で簡単なわけではない。
最初の設定だけ業者に委託するケースもあるが、
「業務変更」や「仕様変更」のたびに、再設定が必要になる。
その都度業者に依頼をしていては、時間も費用もかかってしまう。
結局「手を動かしたほうが早い」と、
社内で「RPA」が根付かないケースが相次いでいるのが実情だった。
そんな中、誰もが簡単に設定・運用できてしまう、
知識・経験不要な “ナビ付きかんたんRPA”
が登場し、革命が起こっている。
それが「株式会社キーエンス(以下、キーエンス)」が開発した、
ナビ搭載 業務自動化RPA「RKシリーズ」だ。
「キーエンス」といえば、
「FA(ファクトリー・オートメーション)」用のセンサを中心とした機器をワンストップに
販売し、長年日本の “ものづくり” を支え続けてきたリーディングカンパニーだ。
「FA」によって工場内の効率化をサポートしてきた同社が、
ついに「RPA」を開発し、“デスクワーク改革” に乗り出している。
同社で「RPA」リリースに携わった担当者は、このように語る。
「限られた人材リソースの中で、
より売上を向上させていくには、業務の効率化・仕組み化が必要不可欠です。
そのため日々の単純作業から手離れすることを目指し、
当社でも早々に『RPA』を導入しました。
ただ当社は営業出身の社員が多く、
パソコンやプログラミングのスキルが高くないのが実情でした。
開発部門では扱えるものの、全社としては使いこなせていない状態で、
あまり『RPA』の恩恵を受けることができていませんでした。
むしろ仕様を変更したい場合や、ソフト自体のアップデートなど、
社内の別部署と連携する必要が発生してしまい、本末転倒な状況。
日本全国で同じような事態に陥っている企業が多いに違いないと感じ、
社内で独自開発することに決めたんです」
このように世間一般の「RPA」の難易度が高すぎるという問題を痛感し、
誰もが簡単に設定・運用できる「ナビ付きRPA」を開発したのだという。
そんなキーエンスの「ナビ付きRPA」は、
プログラミングの “知識がない社員でも扱える”
ことをコンセプトとしているだけあって、
驚くほど簡単に設定運用が可能だ。
なんとナビゲーション機能と画面録画機能を搭載しており、
実際のPC作業を記録する「ナビ」に沿って画面選択していくと、
それが自動的にプログラミング的な指示に変換される。
たとえば「勤怠チェック」を自動化したい場合、
それをおこなう際に生じる細かな作業は下記のように細分化できる。
- 1. 専用サイトを開き、専用のパスワードでログインする
- 2. 今日のデータを選択し、データを出力するためのボタンを押す
- 3. ダウンロードされたファイルを「表計算ソフト」で開く
- 4. 普段おこなっているようにファイルの行の削除、列の並び替え、フィルタリングをおこなう
- 5. 一定の水準を満たさない社員を抽出
- 6. 抽出した社員のアドレスを確認
- 7. そのアドレスに対して、決まった定型文章を一括送信
作業の大まかなフローを伝えるだけで、ナビに沿ってクリックしていけば、
それを反芻させるためのプログラムができあがる。
これまでの「RPA」であれば、
これらの作業をプログラミング的に指示していく必要があった。
ただキーエンス開発の「ナビ付きRPA」であれば、
細かな作業は気にせず、大まかな作業手順を伝えてあげるだけで良い。
「ブログサービス」や「CMS」の登場で、
「HTML」「CSS」の知識がなくても、
誰もがWEB上に文章を投稿できるようになったのと
同じように、キーエンス開発の「ナビ付きRPA」が
登場することで、誰もが「プログラミングの知識」なしに、「RPAを設定・運用」することが可能に
なったのだ。

