変位センサのスペックシートの読み方

分解能は精度ではない

4つの指標を条件ごとに読み分ける

分解能・繰り返し精度・直線性・精度は、それぞれ測定条件の異なる別の指標です。数値だけを横に並べても比較にならない理由と、読み分けの考え方を整理します。

スペックシートを読み違えると起きる3つのこと

数値そのものより、その数値がどんな条件で測られたかが選定の分かれ目になります。

分解能を精度と読んで選定を誤る

分解能は、変化を識別できる最小の量です。表示や出力の刻みが細かいことと、その刻みの単位で実際に変化を読み取れることは別の話で、真の値にどれだけ近いかはさらに別の話になります。分解能の数字だけで選ぶと、実際の測定では直線性や温度ドリフトの影響で、期待した管理幅に収まらないことがあります。求めたい管理幅に対して、どの指標が効くのかを先に決めてからカタログを見ることが、選定の出発点になります。

測定条件が違う数値を横並びに比べてしまう

繰り返し精度は、同じ条件で繰り返し測ったときのばらつきです。ただし平均回数をいくつに設定したか、σで表しているのか±の全幅で表しているのか、どの測定距離での値なのかによって数字は変わります。条件の記載が異なるカタログ同士を数値だけで比べると、実力と逆の結論になりかねません。条件を合わせて読むことが前提になります。

現場の条件が仕様の前提から外れる

カタログの値は、標準的な対象物・設置距離・温度条件で測ったものです。実際の現場では、対象物の表面が粗い、鏡面である、傾いている、周囲温度が変動するといった条件が加わります。とくに温度ドリフトは、長時間の連続測定で徐々に測定値のずれとして現れます。仕様値をそのまま現場の保証値と考えず、条件差をどう埋めるかまで含めて検討する必要があります。

スペックシートを読む4つのステップ

指標の意味を押さえたうえで、条件をそろえてから比べます。

STEP①
01

管理したい値を先に決める

ばらつきを抑えたいのか、絶対値の正しさが要るのかを先に決めます。前者なら繰り返し精度、後者なら直線性と精度が効く指標になります。

STEP②
02

±% of F.S. の基準値を確認する

直線性は「±◯% of F.S.」で表されます。F.S.=フルスケールは測定範囲の全幅を指すため、同じ%でもF.S.が大きいほど誤差の実寸は大きくなります。

STEP③
03

繰り返し精度の測定条件を読む

平均回数、σ表記か全幅か、どの測定距離での値かを確認します。条件が書かれていない数値は、そのままでは他社値と比較できません。

STEP④
04

現場条件との差を埋める

対象物の表面状態、傾き、周囲温度の変動を確認します。条件が仕様の前提と異なる場合は、ヘッドの選択や設置方法で差を埋めます。

4つの指標の違いを整理する

何を表す指標か、何に効くか、どの条件で変わるかを分けて理解します。

観点 分解能 繰り返し精度 直線性 精度(確度)
何を表すか 変化を識別できる最小の量 同じ条件で繰り返したときのばらつき 基準直線からのずれ 真の値に対する総合的な近さ
効いてくる場面 微小な変化を検出したいとき 良否のばらつき管理をしたいとき 絶対値で寸法を管理したいとき 他の測定器と値を突き合わせるとき
表記の例 µm・nm 単位の値 ±値、またはσ表記 ±% of F.S. 個別に規定されることが多い
読むときの注意 細かい=正確ではない/表示の刻みと混同しない 平均回数とσ/全幅の別を確認 F.S.(=測定範囲の全幅)を確認 何を含む総合値かを確認
測定距離での変化 ヘッドと距離で変わる 距離により変わる 規定されるレンジ範囲を確認 条件により変わる
平均回数の影響 平均回数を増やすと読み取れる変化は小さくなる 平均回数で数値が変わる ほぼ影響しない 条件により変わる
対象物の表面状態の影響 受光量が減ると悪化する 受光量が減ると悪化する 対象により変わる 対象により変わる
温度変化の影響 短時間の変化には出にくい 短時間では出にくい 規定は一定温度。温度分は別項目 温度特性を含めて考える

数値を比べる前に条件をそろえる

分解能・繰り返し精度・直線性・精度は、測定条件が違えば同じ製品でも異なる数字になります。メーカーごとに前提とする平均回数や測定距離、対象物が異なるため、カタログの数値だけを単純比較しても実力の順序にはなりません。まず管理したい値を決め、次に条件をそろえ、最後に現場との差を埋める順で読むのが基本になります。

仕様を条件ごとに選べる商品

対象物の表面状態や設置距離に応じてセンサヘッドを選べるため、仕様と現場条件の差を設計段階で埋められます。

対象物・距離に応じて選べる20種類以上のヘッド

超高速・高精度レーザ変位計

LK-G5000シリーズ

信頼と実績の三角測距方式を採用した超高速・高精度レーザ変位計です。対象物の表面状態や設置距離に応じて選べるセンサヘッドを20種類以上用意しており、微細測定タイプ(スポットタイプ)、粗面測定タイプ(ワイドタイプ)、透明/鏡面測定タイプ(ミラータイプ)など、測定対象に合わせて選択できます。仕様上の数値は測定条件によって変わるため、対象物に適したヘッドを選ぶことが、カタログの性能を現場で引き出す近道になります。

最速392 kHzの超高速サンプリングは、移動・回転するワークの変位を確実に捉えるだけでなく、平均化によるばらつきの低減にも効きます。光量自動制御機能ABLE II により、対象物の反射条件が変わっても測定値が安定します。平均機能・フィルタ機能・オートゼロ機能・校正機能を備え、測定条件を明示したうえでの管理が可能です。相互干渉防止機能で複数ヘッドの近接設置にも対応し、測定値はデータストレージ機能で保存できるため、条件と結果を残した運用ができます。

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センサヘッドの種類・仕様・測定条件をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。

測定条件によって効く指標が変わる例

同じ仕様表でも、対象物と条件が変われば効いてくる指標と適したヘッドは変わります。

超音波溶着機の振動測定

高速で振動する対象を測るときは、サンプリング周期が足りなければ波形そのものを取りこぼします。分解能より先に、サンプリングと平均回数の条件を確認する場面です。

鏡面/透明体の測定

鏡面や透明体は反射の仕方が拡散反射と異なり、通常のヘッドでは受光量を確保できません。仕様値の前提となる対象物条件を満たすヘッド選定が先に来ます。

屋外・長距離での車高測定

長距離かつ屋外では、外光や温度変化の影響が測定値の変動として現れます。短時間のばらつきではなく、長時間の安定性を見る必要がある場面です。

精度・繰り返し精度・分解能の違いに関するよくあるご質問

分解能と精度はどう違いますか?
分解能は変化を識別できる最小の量、精度は真の値にどれだけ近いかを表します。分解能が細かくても、直線性や温度ドリフトの影響があれば真の値からは離れます。分解能は精度の保証ではありません。なお、表示器の「最小表示単位」は表示の刻みであって分解能とは別の項目です。刻みが細かくても、その単位で変化を読み取れるとはかぎりません。
繰り返し精度は何を表していますか?
同じ条件で繰り返し測定したときの測定値のばらつきです。ただし平均回数、σ表記か±の全幅か、どの測定距離での値かによって数字が変わるため、条件とセットで読む必要があります。当社のLK-G5000シリーズでは、当社標準対象物を基準距離にて平均回数16384回で測定した値を記載しています。
±% of F.S. の F.S. とは何ですか?
F.S.(フルスケール)は、そのヘッドの測定範囲の全幅を指します。たとえば測定範囲が20±3 mmのヘッドなら、F.S.は6 mmです。同じ±0.02% of F.S. でも、F.S.が大きいヘッドほど誤差の実寸は大きくなります。%だけを見るのではなく、そのヘッドのF.S.が何mmで規定されているかを併せて確認します。
メーカーが違う製品を数値だけで比較できますか?
できません。前提とする平均回数・測定距離・対象物の条件がメーカーごとに異なるためです。条件が明記されている項目でそろえて比較するか、実機で同じ条件を作って評価するのが確実です。
温度ドリフトはどの指標に含まれますか?
4つの指標のどれにも含まれません。多くのカタログでは「温度特性」という別項目で、○% of F.S./℃ のように規定されています。繰り返し精度のような短時間のばらつきには表れず、長時間の連続測定で測定値がゆっくり変化する形で現れるためです。長時間の管理をする場合は、この温度特性の値と現場の温度変動幅を掛け合わせて見込んでおく必要があります。
自分の用途ではどの指標を見ればよいですか?
良否のばらつきを抑えたいなら繰り返し精度、絶対値で寸法を管理したいなら直線性と精度、微小な変化を検出したいなら分解能が中心になります。管理したい値を先に決めてからカタログを読むのが近道です。

仕様の読み方でお困りではありませんか

対象物と管理したい値をお伺いすれば、条件に合うヘッドと仕様の考え方をご説明します。カタログまたはお問い合わせフォームからご相談ください。