ブレーキディスクの寸法管理が品質を左右する3つの理由
制動フィーリングの不具合は、ディスクのわずかな厚み変動と振れから生まれます。
DTVがブレーキジャダー・ペダル脈動を生む
DTV(Disc Thickness Variation)は、ディスク1周内の厚みの差です。厚い部分でパッドが強く押されるため制動トルクが周期的に変動し、ステアリングの振動(ジャダー)やブレーキペダルの脈動として運転者に伝わります。主に体感品質に現れる問題であるため、市場クレームになりやすく、原因の特定にも時間がかかります。製造段階で1周分の厚みを連続して測り、変動幅を管理することが対策になります。
面振れ(LRO)が偏摩耗を通じてDTVを拡大させる
面振れ(LRO:Lateral Run Out)は、ディスクを回転させたときに摺動面が回転軸方向へ振れる量です。面振れが大きいディスクは、非制動時でもパッドと局所的に接触し、その部分だけが摩耗します。摩耗が進むほど厚みの差が広がり、出荷時は基準内だったDTVが使用とともに悪化します。
規制対応でコーティングディスクの検査需要が増える
欧州のEuro 7ではブレーキ粉塵が規制対象になり、摩耗を抑えるコーティングディスクの採用が広がっています。コーティング層があるディスクは表面の反射条件が母材と異なり、従来の測定条件のままでは値が安定しません。摩耗量そのものを管理する要求も強まるため、表面状態が変わっても安定して測れる非接触の測定方式が必要になります。
DTV・面振れをインラインで測る4工程
回転させながら1周分を連続測定し、厚み変動と面振れを同じデータから切り分けます。
表裏2ヘッドの設置
ディスクを挟むように表裏へセンサヘッドを対向配置します。1台のコントローラで複数ヘッドを同期させるため、表裏の測定タイミングがそろいます。
回転させながら連続測定
ディスクを回転させ、1周分の変位を連続取得します。最速392 kHzの超高速サンプリングにより、回転する対象物でも変位の取りこぼしを抑えます。
厚みと面振れの切り分け
表裏2ヘッドの差分から厚みを求め、その1周内の変動幅をDTVとして評価します。片側ヘッドの変位からは面振れを算出します。同じ測定データから、DTVと面振れを分けて評価できます。
判定と記録
1周内の厚みの最大差(DTV)と面振れ量を判定し、規格外を選別します。データストレージ機能で測定値を保存し、ロット単位の傾向管理に使えます。
ブレーキディスク測定の方式比較
測定項目に加え、回転させながら測る・表面状態が変わる・全数で測るという実装条件でも、方式の差が出ます。
| 測定項目/導入要件 | LK-G5000シリーズ (非接触・レーザ三角測距方式) |
接触式ダイヤルゲージ (1点ずつの当て測り) |
マイクロメータ (数点の抜き取り) |
三次元測定機 (オフライン) |
|---|---|---|---|---|
| ①DTV(1周内の厚み変動) | ◎ 表裏2ヘッド差分で連続取得 | △ 数点の比較にとどまる | △ 測定点が限られる | ○ 測れるがオフライン |
| ②面振れ(LRO) | ◎ 片側ヘッドの変位から回転中に連続取得 | ○ 測れるが低速に限られる | × 測れない | ○ 測れるが工数が大きい |
| ③摩耗量・残厚の管理 | ○ 同じ構成で厚みを継続測定 | △ 接触痕が残る | ○ 測れるが全数は困難 | △ 頻度を上げられない |
| 高速回転中の測定 | ◎ 最速392 kHzで追従 | × 接触子が追従できない | × 回転中は当てられない | × 静止させる必要がある |
| コーティング面・粗面への対応 | ◎ 光量自動制御で反射条件の変化に追従 | ○ 反射の影響は受けない | ○ 反射の影響は受けない | △ 対象により条件出しが必要 |
| インライン全数検査 | ◎ 搬送・回転させながら全数対応 | × ライン停止が前提 | × 抜き取りが前提 | × オフラインが前提 |
| 検査記録・トレーサビリティ | ○ 測定値を保存し出力 | × 読み取り値を手記録 | × 抜き取り分のみ手記録 | ○ 記録は残るが件数が限られる |
ブレーキディスク測定にLK-G5000シリーズを選ぶ理由
LK-G5000シリーズは最速392 kHzの超高速サンプリングで、回転するディスクの変位を取りこぼしにくく捉えます。表裏2ヘッドを1台のコントローラで同期させられるため、差分演算で求めた厚みの1周内変動=DTVと、片側の変位による面振れを同じ測定から切り分けられます。光量自動制御によりコーティング面や粗面でも安定し、インラインでの全数管理を構成できます。
ブレーキディスクのDTV・振れ測定に対応する商品
回転する対象物の変位を高速サンプリングで捉え、2ヘッド差分で厚み変動まで管理できるレーザ変位計です。
超高速・高精度レーザ変位計
LK-G5000シリーズ
三角測距方式を採用した超高速・高精度レーザ変位計です。最速392 kHzの超高速サンプリングにより、回転・移動する対象物の変位を安定して捉えられます。サンプリングが速いほど一定時間内の平均化回数を確保できるため、測定結果のばらつきも抑えられます。対象物の表面状態や基準距離に応じて選べる20種類以上のセンサヘッドを用意し、粗面測定/微細測定タイプと透明/鏡面測定タイプから、対象に適したタイプを選択できます。
光量自動制御機能 ABLE II(Active Balanced Laser Control Engine Version II)により、コーティングの有無や表面粗さで反射条件が変わっても測定値が安定します。複数ヘッドを同期させて制御でき、演算機能を使えば、表裏に対向配置したヘッドの測定値から厚みを直接出力できます。相互干渉防止機能により、複数ヘッドを近接設置しても影響を受けにくくなります。測定値はデータストレージ機能で保存でき、判定出力と組み合わせてインラインでの全数検査を構成できます。
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センサヘッドの種類・仕様・システム構成をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。
ブレーキ部品の測定活用例
ディスクロータの振れ測定から摺動面の粗さ評価、ブレーキパッドの外観検査まで活用されています。
ディスクロータの振れ測定
回転するディスクロータの面振れを非接触で測定します。高速サンプリングにより回転中でも変位の取りこぼしを抑え、インラインでの全数検査に使えます。
ブレーキディスクの表面粗さ測定
ディスク摺動面の面粗さ(Sa・Sz)を白色干渉3D変位計で面一括測定します。パッドの当たりを左右する表面状態を数値化でき、摩耗やコーティングの評価に使えます(WI-5000シリーズ)。
ブレーキパッドの打痕検査
ブレーキパッド表面の打痕を3D形状で検査します。色や模様の影響を受けにくく、高さの変化で捉えるため、摩擦材の外観検査に適します(LJ-X8000シリーズ)。
ブレーキディスクのDTV・振れ測定(LK-G5000シリーズ)に関するよくあるご質問
- DTVとは何ですか?
- DTV(Disc Thickness Variation)はディスク1周内の厚みの差です。厚みが変動すると制動トルクが周期的に変わり、ブレーキジャダーやペダル脈動の原因になります。1周分を連続測定して変動幅で管理します。
- 面振れ(LRO)とは何ですか?DTVとはどう違いますか?
- 面振れ(LRO:Lateral Run Out)は、ディスクを回転させたときに摺動面が回転軸方向へ振れる量で、現場では横振れとも呼ばれます。DTVが1周内の「厚みの差」であるのに対し、面振れは「面の位置そのもののずれ」です。面振れが大きいと非制動時でもパッドが局所的に接触して偏摩耗が進み、出荷時は基準内だったDTVが使用とともに悪化します。
- DTVはどうやって測るのですか?
- ディスクを挟むように表裏へセンサヘッドを対向配置し、回転させながら連続測定します。表裏の変位から厚みを求め、1周内の最大差がDTVです。同じデータの片側成分から面振れも算出できます。
- 高速で回転させたままでも測れますか?
- 測れます。最速392 kHzの超高速サンプリングにより、回転する対象物でも変位を取りこぼしにくくなります。サンプリングが速いほど1周あたりに取得できる点数を確保でき、一定時間内の平均化回数も増やせるため、測定結果の安定にもつながります。なお、必要なサンプリング周波数は、ディスクの回転数と1周で評価したい点数から決まります。
- コーティングディスクや粗い鋳鉄面でも安定しますか?
- 安定して測定できます。コーティングの有無や表面粗さで反射条件が変わっても、光量自動制御機能 ABLE Ⅱ が受光量を自動で最適化します。あわせて、対象物の表面状態や基準距離に応じて、粗面測定/微細測定タイプと透明/鏡面測定タイプのセンサヘッドを選択できます。鋳鉄のような粗面には粗面測定タイプが適します。
- 摩耗量の管理にも使えますか?
- 使えます。同じ2ヘッド構成で残厚を継続測定できるため、摩耗の進行を数値で追えます。ブレーキ粉塵規制に伴う摩耗管理やコーティングディスクの評価にも展開できます。
DTVと面振れを、インラインで押さえませんか
測定構成やヘッドの選び方は、カタログまたはお問い合わせフォームからご確認いただけます。