アライメントのズレが安全性に直結する理由と課題
見た目のズレではなく、負極が正極を覆えているかという物理的な条件が本質です。
オーバーハング不足でリチウムが析出する
電池セルでは、負極が正極より一回り大きく設計されます。この差がオーバーハングで、充電時にリチウムイオンを受け止める余裕になります。積層や捲回でズレが生じてオーバーハングが不足すると、正極の端部から出たリチウムが負極に受け止められず、金属リチウムとして析出します。析出が進むとセパレータを貫通し、内部短絡に至ります。安全性に直結するため、ズレは工程内で確実に止める必要があります。
積層と捲回でズレの出方が違う
Z-foldやラミネーションによる積層では、1枚ごとの搬送位置のばらつきが積み重なり、上下でズレの向きが変わります。一方、捲回によるゼリーロールでは、テンション変動や巻芯の振れが周回ごとの位置ずれとして現れ、外周に向かって蓄積します。同じ「アライメント不良」でも発生メカニズムが異なるため、測る場所とタイミングを工程に合わせて設計する必要があります。
電極1枚ずつを分離できないと管理にならない
積層セルの端面は、数十µmの電極とセパレータが交互に重なった構造です。全体の外形寸法だけを測っても、どの層がどれだけずれているかは分かりません。捲回でも同様に、周回ごとの位置を分離して見る必要があります。1枚ずつのプロファイルを取得できる分解能がなければ、オーバーハング量という指標そのものを定量できません。必要な分解能は、分離したい電極とセパレータの厚みから逆算して決まります。
積層・捲回のアライメントを測る4ステップ
工程ごとに測る対象が変わるため、切断位置・積層後・捲回後で測定を分けます。
積層前の電極切断位置
積層前に電極の切断位置を測定し、装置へフィードバックします。端部形状からエッジ位置を安定して検出できるため、ズレの原因を上流工程で抑えられます。
積層後の積層ズレ
積層後の端面プロファイルから、電極1枚ごとの端部位置を取得します。高いX軸分解能により、層を分離してズレ量を数値化できます。
捲回後の巻き乱れ
捲回後の端面を測定し、周回ごとの位置ずれを電極1枚ずつの形状として捉えます。テンション変動に起因する巻き乱れを検出できます。
オーバーハング量の判定と記録
正極端と負極端の位置差からオーバーハング量を算出し、規格外を判定出力で排出します。測定値はFTPサーバ機能で保存できます。
アライメント測定の方式比較
電極1枚ずつを分離できることを前提に、インラインの搬送速度で全数見られるか、上流へ返せるかが分かれ目になります。
| 管理項目/導入要件 | LJ-X8000シリーズ (3D断面プロファイル) |
2D画像センサ (濃淡・平面検査) |
X線検査装置 | 抜き取り+顕微鏡 |
|---|---|---|---|---|
| ①電極1枚ごとの端部位置 | ◎ 高X軸分解能で層を分離 | △ 端面の濃淡では分離しにくい | ◎ 内部まで分離できる | △ 分離できるが破壊・抜き取り |
| ②オーバーハング量の定量 | ◎ 正極端と負極端の位置差で算出 | △ 見え方に依存する | ◎ 定量できる | △ 定量できるが件数が限られる |
| ③積層ズレ(Z-fold・ラミネーション) | ◎ 端面プロファイルで層ごとに判定 | △ 全体のズレのみ | ◎ 判定できる | △ 全数は困難 |
| ④巻き乱れ(ゼリーロール) | ◎ 周回ごとの位置を形状で取得 | △ 外周のみ | ◎ 内部も見える | △ 全数は困難 |
| ⑤切断位置のフィードバック | ◎ 端部形状からエッジ位置を検査 | ○ エッジ検出は可能 | × 工程内では使いにくい | × フィードバックできない |
| タクトタイム | ◎ インラインの搬送速度に対応 | ◎ 高速 | △ 撮像・解析に時間がかかる | × オフライン |
| 設備コスト・設置性 | ◎ ライン上に組み込みやすい | ◎ 組み込みやすい | △ 大がかりで遮蔽が必要 | ○ 小規模 |
| 検査記録・トレーサビリティ | ◎ 測定値・画像を保存し出力 | ○ 画像の保存は可能 | ○ 画像の保存は可能 | × 手記録に依存 |
アライメント測定にLJ-X8000シリーズを選ぶ理由
LJ-X8000シリーズは高いX軸分解能で電極1枚ずつのプロファイルを分離できるため、オーバーハング量という指標をそのまま数値化できます。積層でも捲回でも同じ原理で端面を評価でき、切断位置のフィードバックまで同じ構成でつながります。X線のような遮蔽設備を必要とせず、インラインの搬送速度で全数検査を構成できます。
積層・捲回アライメント測定に対応する商品
電極1枚ずつの端部位置を分離して取得し、オーバーハング量を数値化するインラインプロファイル測定器です。
超高精細インラインプロファイル測定器
LJ-X8000シリーズ
3200 point/profileの超高精細測定で断面形状を細部まで表現し、積層した電極の端面を1枚ずつ分離して捉えます。エッジ位置・段差・幅といったプロファイル計測ツールを組み合わせることで、正極端と負極端の位置差=オーバーハング量を直接数値化できます。高さデータから生成する高さ画像は電極やセパレータの色・光沢に影響されないため、材質が切り替わる端面でも安定して検査できます。光沢のある箔からの多重反射・乱反射には迷光抑制機能が働き、正確な形状を表現します。全方向位置補正機能により対象物の位置ずれや傾きを自動で補正するため位置決めが不要で、自動ワーク検知機能と組み合わせればインラインでの全数測定・検査を実現します。判定出力によるNG品の排出と上流工程へのリアルタイムフィードバックに対応し、切断位置の補正まで含めた運用を構成できます。FTPサーバ機能により測定値・画像の保存にも対応します。
LJ-X8000シリーズの詳細資料を入手する
センサヘッドの仕様・計測ツール・システム構成をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。
積層・捲回工程での活用例
積層前の切断位置検査から積層ズレ、捲回後の巻き乱れ検査まで工程順に活用されています。
電極の切断位置検査
積層前の電極切断位置を装置へフィードバックします。端部形状からエッジ位置を安定して検出できるため、ズレの原因を上流工程で抑えられます。
電極の積層ズレ検査
積層後の積層ズレを高いX軸分解能で検査します。電極1枚ごとの端部位置を分離して捉えられるため、オーバーハング量の管理に直接つながります。
電極の巻き乱れ検査
捲回後の巻き乱れを、電極1枚ずつの形状測定として検査します。テンション変動や巻芯の振れによる周回ごとの位置ずれを検出できます。
電極の積層・捲回アライメント測定(LJ-X8000シリーズ)に関するよくあるご質問
- オーバーハング量とは何ですか?
- 負極が正極より外側にはみ出している量です。充電時のリチウムイオンを受け止める余裕にあたり、不足すると金属リチウムの析出と内部短絡のリスクにつながります。アライメント管理の中心となる指標です。
- 積層と捲回で測り方は変わりますか?
- 測る原理は同じですが、測る場所とタイミングが変わります。積層では1枚ごとの搬送位置の積み重ね、捲回では周回ごとの位置ずれとして現れるため、工程に合わせて測定点を設計します。
- 電極1枚ずつを分離して測れますか?
- 測れます。断面形状を3200 point/profileで取得するため、数十µmの電極とセパレータが重なった端面でも層ごとに分離して位置を数値化できます。必要な分解能は対象の厚みによって変わるため、電極とセパレータの仕様をお伺いしてヘッドをご提案します。
- X線検査との使い分けはどう考えますか?
- X線は内部まで見られる反面、撮像・解析に時間がかかり遮蔽設備も必要です。本方式は端面の形状をインラインの搬送速度で全数取得できるため、工程内の常時監視に向きます。両者は役割が異なります。
- 測定結果を切断位置の補正に使えますか?
- 使えます。積層前の電極切断位置を測定して装置へフィードバックすることで、ズレの原因を上流工程で抑えられます。判定出力によるNG品の排出にも対応します。
- 電極とセパレータで色や光沢が違っても安定しますか?
- 安定します。高さデータで判定するため色や光沢の違いに左右されず、光沢のある箔で起きる多重反射・乱反射には迷光抑制機能が働きます。
電極のズレ、工程内で定量しませんか
積層・捲回それぞれの測定構成は、カタログまたはお問い合わせフォームからご確認いただけます。