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温度センサ

温度検出を行うサーモパイルの遠赤外線吸収膜を極限まで薄くし、熱電対を効率よく配置することで、すばやい応答性と確実な検出を実現した温度センサ。放射率の設定不要、検出距離に制限がないコンパクトなセンサヘッド、簡単操作で高性能なデジタル放射温度センサの紹介です。

温度センサ

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生産終了品

  • デジタル放射温度センサ FTシリーズは、幅広い検出温度と高い応答性、長い検出距離、さらに設置や設定時の使いやすさにこだわったデジタル放射温度センサです。温度検出を行うサーモパイル(熱電対列)の遠赤外線吸収膜を極限まで薄くし、熱電対を効率よく配置しました。これにより、吸収した熱をすばやく確実に検出することが可能になり、速いサーモパイルの応答を実現しました。また、高温タイプと中低温タイプがあり、可視光レーザーで検出範囲を目視することができるため、センサ設置時の位置合わせが簡単です。アンプは、検出体の現在温度を直接入力でき、物質固有の放射率を対象物に合わせて設定する手間がなくなります。

    レーザーポインターで検出範囲が一目瞭然

    2つのレーザポインタが検出範囲をはっきりと示しますので、センサの設置が簡単になります。
    ※クラス:FDA class1,JIS クラス1 ,IEC class1

    詳しくは、カタログ(PDF)をダウンロードしてご覧ください。

    最大3000mmまで測れる、多彩なバリエーション

    用途によっては、測定対象物とセンサに距離が必要な場合があります。
    さまざまな設置環境に対応できるよう、小スポットから長距離使用まで、多彩なヘッドバリエーションをご用意しております。

    詳しくは、カタログ(PDF)をダウンロードしてご覧ください。
    高温タイプ 0~1350℃ 超長距離 FT-H50K 中距離 FT-H40K 中低温タイプ 0~500℃ 超長距離 FT-H50 長距離 FT-H30 中距離 FT-H20 小スポット FT-H10
    FT シリーズ - デジタル放射温度センサ
  • TF4シリーズは、前面48×48mm、奥行き77mmのコンパクトなボディに、温度調節として必要な機能を多数盛り込んだ温度調節器です。1機種で熱電対・白金測温抵抗体の両方の入力が可能であるため、計測機器に合わせた在庫を持つ必要はありません。また、温度調節器にとって重要なPID機能としては、設定温度や外乱に自動的に対応できるセルフチューニングPID機能や、ヒータとクーラーを同時制御する加熱冷却制御機能を搭載しています。そのほか、ヒータ断線検知機能や、制御の開始/停止の時間が設定できるセルフタイマー機能など、さまざまな機能でお客様が使用するシーンに合わせた温度調節をサポートします。

    TF4 シリーズ - マルチ入力多機能温度調節器

生産終了品

温度センサとは、目的の部分の温度を測定することができる機器です。測定した温度を電気信号に変換し出力します。温度センサには、接触式と非接触式があります。接触式の温度センサには、サーミスタや熱電対、測温抵抗体などがあり、非接触式の温度センサには、放射温度センサと色温度センサがあります。
このうち、放射温度センサはセンサヘッドをコンパクトにすることができ、検出距離に制限がないため、設置する位置やスペースの制限が少ないというメリットがあります。

放射温度センサの原理

放射温度センサは、物体が放出する赤外線を以下の原理で検出し、温度を測定します。
1.物体から放射された赤外線をレンズで集光し、「サーモパイル」といわれる検出素子に照射する
2.物体が放出する赤外線を吸収したサーモパイルの温度が上昇すると、温度に応じた電気信号を発生する
3.サーモパイルが発生した電気信号を増幅し、放射率を補正して温度を表示する
サーモパイルは、複数の熱電対が多数直列に接続された構造になっており、中心部には熱電対の温接点、周辺に熱電対の冷接点を配置しています。赤外線はレンズで集光され温接点にのみ当り、温接点のみ加熱されます。そして、ゼーベック効果により温接点と冷接点との間に電圧差が生じ、温度測定が可能になります。

放射率とは:
放射率は、物体からの熱放射(赤外線)のしやすさを0~1で表したもので、最も多く放射する物体の放射率は1です。放射率が1の物体を「黒体」といい、赤外線を反射・透過してしまうもの(空気など)は「0」になります。一般の物体の放射率は0と1の間にあります。そして、同一物質でも表面が粗いと放射率は高くなります。

放射率の決め方:
放射率がわかっている場合は、物体の放射率が文献などに物理定数として記載されている数字をそのまま利用します。その放射率を測定したときの測定条件(物体の表面状態など)に注意して決定します。放射率がわからない場合は、物体の温度を実際に測定し、そのときの放射温度計の表示値を利用します。

キーエンスの放射温度センサ

放射温度センサで正しく温度を測定するには、物質固有の値である放射率を設定しなければなりません。しかし、放射率は、検出体の材質に応じて算出したり設定するといった、手間を要する難しい操作が必要です。
FTシリーズなら、このような手間や難しい操作は不要です。検出体の放射率がわかっている場合は、放射率の値をアンプに直接入力するだけです。また、放射率がわからない検出体であっても、オプションの黒体スプレーや黒体テープを検出体に貼り付けてFTシリーズで温度を測定するだけで、簡単に放射率を設定することが可能です。

温度センサのメリット1:温度を把握し、機器の異常を検知

温度センサで製造現場の機器の温度を把握することで、過大な負荷や電流、さらに機器の異常によって発生する、さまざまなトラブルを防ぐことができます。また、最適なタイミングで冷却装置を動作させるといったことも可能になります。

温度を測定することで、熱の影響による機器のトラブルを防ぐことができます。たとえば、製造現場の加工機のモーターの冷却装置が入/切する温度を上限値と下限値として温度センサで設定しておくことで、過大な負荷などが原因でモーターが加熱した場合に、適切なタイミングで冷却することができます。
また、温度センサを用いることで連続的に温度を把握することができるので、任意の温度に達したり冷却されていく過程がわかります。これにより、加工機が動作中であるにもかかわらずモーターの温度が正常に変化しない場合は、冷却装置が正常に動作していない、もしくは過大な負荷によりモーターが過熱しているといったトラブルを早期に確認・対応することができます。

温度センサのメリット2:最適な温度管理で、トラブル防止が可能

温度センサでワーク周辺の温度を測定すると、空調システムの異常などにより温度が上限または下限に達したことを検知したり、ワークにとって最適な温度管理が可能になるため、温度異常による不良品の発生などのトラブルを未然に防止することができます。

温度センサを用いることで、たとえば塗装工程の温度が異常に上昇/低下することで発生するトラブルを防ぐことができます。塗装工程の空調装置が入/切する温度を上限値と下限値として温度センサで設定しておくことで、適切なタイミングで加熱・冷却を行うことができます。
また、温度センサで連続的に温度を把握することで、任意の温度に達する過程がわかります。これにより、適切に加熱・冷却することが可能になり、塗料が乾燥に要する時間を正確に管理することができます。さらに、空調装置が動作中であるにもかかわらず温度が連続的に変化しないといったトラブルも、いち早く発見することができるため、不良品の流出を最低限に抑えることができます。

温度センサのメリット3:遠距離からピンポイントの温度を測定可能

放射温度センサは離れた位置からピンポイントの温度を測定することができるため、加工中の微細部品の温度を測定したり、加工工具や材料の温度異常を検知し、不良品の発生を未然に防ぐことができます。

放射温度センサを用いることで、たとえばはんだの温度が低下することで発生するトラブルを防ぐことができます。はんだの加熱装置の作動が必要となる温度を温度センサで設定しておくことで、適切なタイミングで加熱を行うことができます。
また、放射温度センサは離れた位置からピンポイントの温度を測定することができるため、ICのピンのはんだ付けなど、微細部分の温度も測定が可能で、加工部周辺の赤外線放射などによる影響を受けません。また、はんだ付け中の温度を連続的に測定しデータを蓄積することで、これまでは困難であった加工精度の管理が容易になり、品質の維持と向上を実現することができます。

温度センサの業界別導入事例

溶接業界:高周波誘導加熱での温度測定

高周波誘導加熱は、表皮効果や近接効果といわれる加熱現象を利用した加工法で、火炎で加熱するワークの温度を測定する必要があります。しかし、熱電対をはじめとする接触式の温度センサは高温により焼失してしまうため、測定することができません。このため、放射温度センサを用いるのですが、一般的な放射温度センサでは火炎から放射される赤外線エネルギーの影響で、正確に測温することができません。
デジタル放射温度センサ FTシリーズは、温度センサとして最も重要な安定性を極限まで高めるための回路とセンターフローティング構造を新開発。非接触式であるにもかかわらず、さまざまな状況下で安定した温度測定を実現します。また、外気温によって異なる余熱管理など、従来は熟練工が経験で行っていた作業の自動化にも貢献します。

金属加工業界:熱間鍛造品の温度測定

熱間鍛造中のワークの温度は、最も高い場合900℃にも達します。このため、接触式の温度センサは使用できません。また、ワークから6m以上離れた位置ですら、熱によりセンサが膨張し測定誤差が発生します。これらから、熱間鍛造中のワークの温度は、熱の影響を受けない遠距離からの測定が必要です。
デジタル放射温度センサ FTシリーズは、検出距離に制限がありません。そして、ワークの大きさや測定範囲の大きさに合わせたタイプをラインナップしています。この中から最適なタイプを設定することで、熱間鍛造中のワークの温度を熱の影響がない遠距離から正確に測定することができます。そして、これらの機能により従来は困難といわれてきた、高温中のワークの温度と形状の関係を解析する時間の短縮や、精度の向上を実現することができます。

樹脂成形:流し込み直前の材料の温度管理

この工程では、加熱後の材料が金型に入るまでに時間がかかるため、材料の温度がバラついて、成形不良が発生します。この不良を防止するためには、流し込み直前の材料の温度管理が必要です。しかし、温度計を設置する場所には制限がある場合が多く、クリーンな環境で使用できるケースも少ないため、レンズ汚れへの対策が必要です。
デジタル放射温度センサ FTシリーズは、サーモパイルを含めた検出部を筒状の構造物に格納し、センサヘッドの筐体と接触しないようフローティングさせました。このフローティング構造が作り出す空気層により、センサの周囲温度など外乱の影響をカットすることができます。同時に設置場所を選ばない小型なボディを実現。検出距離に制限がないため、クリーンな環境を選んで設置することが可能です。

Q.
対象物の放射率は、どのように設定しますか?
A.
同じ温度の物体であっても、物体の材質や表面状態によって物体から放射される赤外線の割合(放射率)は異なります。したがって、物体の温度を正確に求めるには、物体に応じた放射率の設定が必要です。
放射率の設定方法は、放射率がわかっている場合と放射率がわからない場合によって異なります。FTシリーズなら、放射率がわかっている場合は、その値をアンプに入力するだけです。放射率がわからない場合でも、検出体の現在温度をアンプに入力するだけで、放射率が自動設定できます。また、検出体の現在温度がわからない場合は、オプションの黒体スプレーや黒体テープを検出体に塗布または貼り付け、表面温度を検出し放射率を設定することができます。
Q.
金属ワークの安定検出は可能ですか?
A.
鉄やアルミなどの金属ワークは、反射率が高く放射率が低い性質を持っています。放射率が低いと、放射温度センサが対象物から受け取ることができる赤外線の量が少なくなるため、検出が不安定になる場合があります。また、ピカピカに磨かれた金属面は放射率が低いので、傾きによって放射率が低下することがあります。検出位置が変化した場合は、金属の表面温度自体が変化する可能性があります。
FTシリーズなら、検出体とセンサを垂直に取り付け、毎回同じ場所を測定することで安定検出が可能になります。また、近くに熱源(人・稼働中の装置・ヒーターなど)がある場合は、検出するワークに合わせた放射率を設定すると正確に測定できます。
Q.
蒸気や煙、オイルなどが舞う環境でも安定検出が可能ですか?
A.
放射温度センサは、目に見えるような蒸気や煙なども検出してしまうため、測定温度に誤差が発生する場合があります。
FTシリーズはセンサヘッドとワークの間をエアパージし、湯気や煙を除去することで安定検出を可能にしています。また、油が舞っている場合はセンサヘッドのレンズ面を定期掃除したり、センサヘッドを筒で囲み、『エアのパージ』でオイルの侵入を防いだりすることで、その影響を低減することができます。さらに、対象物からの輻射熱でセンサヘッドが高温になり、内部のサーモパイルの温度も高くなって検出が不正確になる場合は、センサヘッドをアルミ箔で包むことで内部温度の上昇を防止することができます。

温度センサには、接触式と非接触式があります。これらは、使用する環境や目的によって使い分けられます。正確で安定した測定を行うには、これらセンサの特徴を把握しておく必要があります。

接触式温度センサの特徴

接触式の温度センサは、対象物に直接測定子を接続し、電力や電気抵抗などの値の変化で温度を測定するセンサです。主な接触式温度センサには、以下の種類と特徴があります。

熱電対

2種類の金属導体の両端を電気的に接続して閉回路を作り、両端に温度差を与えると、熱起電力が発生するというゼーベック効果を利用した温度センサです。
温度の測定範囲が広い、応答速度が速い、小さな対象物の測定が可能、温度情報の処理や解析が容易などの特徴があり、他の温度センサに対して低価格であるため、広い分野で使用されています。ただし、線の延長には補償導線が必要です。

測温抵抗体

測温抵抗体は、温度が上昇すると金属の電気抵抗が増加するという特性を利用した温度センサです。代表的な測温抵抗体には白金測温抵抗体があり、一般に抵抗素線には高純度の白金が使用されています。
低温(常温域)での温度測定に向いており、安定度の高い高精度な測定が可能です。また、機械的衝撃や振動に強いという特徴があります。一方で、最高使用温度は約500℃と熱電対より低く、一般に他の温度センサに対して高価です。

サーミスタ

サーミスタは、温度の変化に伴って抵抗値が変化する半導体の抵抗の温度特性を利用した温度センサです。リード線抵抗による誤差が小さい、温度センサの中でも価格の割に感度が高いという特徴があります。反面、測定範囲が狭く、抵抗変化特性が非線形であるため、測定精度は高くありません。

非接触式温度センサの特徴

非接触式の温度センサは、対象物が放つ放射熱(赤外線)をとらえて温度を測定するセンサです。非接触式温度センサには、検出の原理により以下の2種類があり、それぞれ特徴があります。

放射温度センサ

放射熱の強さを測定することで温度を求めます。放射温度センサには、さらに全波長域での積分値から温度を求める「全放射温度センサ」、測定上有利な波長のみを利用し温度を求める「広帯域放射温度センサ」、単一波長の放射熱の強さから温度を求める「単色温度センサ」があります。
放射温度センサは、移動・回転する物体や、センサを接触させると表面温度が変化するような物体(小熱容量物体)の温度測定に有効です。一方で、対象物の内部や気体の温度は測定できません。また、対象物に合わせて放射率の設定が必要になります。しかし、近年ではこの設定を自動で行う放射温度センサも開発されています。

2色温度センサ

異なる2種類の波長での放射熱を測定し、それぞれの放射輝度の比から温度を求める温度センサです。
対象物が温度センサのスポット径より小さい場合の測定でも、誤差が少ないという特徴があります。一方で、粉塵や水蒸気が舞っている場所や、汚れた窓越しからの測定では、放射熱が錯乱されるため温度の値が安定しないというデメリットがあります。

工業用として使用される温度計について、その原理や選定方法をわかりやすく解説。計測精度を向上させる技術から温度レコーダについてまで、役立つ情報を紹介しています。