使い分けを決めずに進めると起きること
どちらか一方に寄せると、無理の出る項目が残ります。
過検出が減らない
傷として検出したいものと、許容したい汚れの見え方が近い場合、しきい値だけで分けようとすると、良品まで弾いてしまいます。基準を緩めれば今度は不良が通ります。
想定していなかった不良が通る
検出する条件を決めて組んだ検査では、そこに当てはまらない不良は素通りします。立ち上げ時に想定していなかった異物や欠けは、そのまま流出につながります。
判定の根拠を説明できない
寸法や位置を数値で管理したい工程で、良い・悪いの判定だけが返ってくると、記録としても改善の材料としても使えません。
使い分けを決める4ポイント
検査したい内容を分解すると、どちらを使うかは自然に決まります。
判定の結果に数値が要るかを確認する
寸法や位置を数値で記録したい、公差で管理したいという場合は、数値を返す処理が必要です。ここはルールベースの領域になります。
不良の見え方が決まっているかを確認する
検出したい不良の形や大きさが決まっていて、条件で表せるならルールベースで組めます。表しにくい場合にAIを検討します。
良品側のばらつきの大きさを確認する
良品のあいだでも表面の見え方が変わる場合、固定の条件では過検出が出ます。良品の範囲を学習させる方法が向きます。
想定外の不良を止める必要があるかを確認する
事前に集められない不良まで止めたい場合は、良品を学習させて違いを検出する方法を組み合わせます。
3つのアプローチの違い
同じ外観検査でも、何を基準に判定するかが異なります。
| 観点 | ルールベース | 不良品を学習するAI | 良品を学習するAI |
|---|---|---|---|
| 判定の基準 | あらかじめ決めた条件としきい値 | 学習させた不良と似ているか | 学習させた良品と違うか |
| 準備するもの | 検査したい条件の整理 | 検出したい不良の画像 | 良品の画像 |
| 得意なこと | 寸法・位置・有無・コードの読み取りを数値で扱う | 狙った不良だけを検出し、過検出を抑える | 事前に想定できない不良まで検出する |
| 苦手なこと | 良品のばらつきが大きいと過検出が出る | 学習していない種類の不良は検出しにくい | 良品の範囲を超えたものを広く拾うため、調整が要る |
| 判定根拠の扱い | 数値で示せる | 検出した箇所を示す | 検出した箇所を示す |
| 調整のしかた | パラメータを細かく調整できる | 学習させる画像を選び直す | 良品の画像を追加する |
| 向いている場面 | 寸法検査、位置決め、有無判別、文字やコードの読み取り | 許容したい汚れと止めたい傷が似ている外観検査 | 鋳肌や溶接など、良品でも見え方が変わる外観検査 |
どれか1つを選ぶものではない
実際の工程では、寸法はルールベースで数値を出し、外観はAIで判定する、というように組み合わせて使うことが多くなります。検査したい項目を分解して、項目ごとにどれを使うかを決めるのが現実的な進め方です。
AIとルールベースを1台で扱う商品
カメラ・照明・処理部が一体で、AIツールとルールベースのツールを同じ画面で使えます。
AI × 光学ズーム搭載ビジョンシステム
VSシリーズ
VSシリーズは、AIと光学ズームを搭載したスマートカメラです。不良を学習して狙った欠陥だけを検出するAI欠陥ツール、良品を学習して想定外の不良まで検出するAI検出ツール、品種の判別に特化したAI分類ツール、文字認識に特化したAI OCRツールを備えます。あわせて、寸法や角度の測定・位置決め・色検査・有無判別・傷・カウント・1Dコード・2Dコード・文字認識といったルールベースのツールも同じ画面で使えるため、検査項目ごとに適したツールを選んで組み合わせられます。光学ズームは1クリックで視野とピントを調整でき、凹凸を抽出するLumiTraxや、色差を見分けるマルチスペクトル照明といった特殊な撮像にも対応します。なお、一部のAIツールの使用には別途オプションが必要です。
VSシリーズの詳細資料を入手する
AIツールとルールベースのツール一覧、光学ズームと撮像方式をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。
アプローチが分かれる検査例
同じ外観検査でも、良品のばらつきの大きさで向く方法が変わります。
ダイカスト製品の外観検査
鋳造した部品の表面を検査します。良品でも表面の見え方が一定しないため、良品を学習して違いを見る方法が向きます(VSシリーズ)。
レーザ溶接の外観検査
溶接部の状態を検査します。スパッタ痕や穴など、発生のしかたが一定しない不良を対象にするため、学習による判定が効きます(VSシリーズ)。
コネクタ端子の位置・寸法検査
端子の位置と寸法を測定します。結果を数値で扱い、公差で管理したい検査のため、ルールベースのツールが向きます(VSシリーズ)。
AIとルールベースの使い分けに関するよくあるご質問
- AIを使えばルールベースは不要になりますか?
- 検査の内容によります。寸法や位置を数値で管理したい場合や、コードや文字を読み取る場合は、ルールベースのツールが適しています。実際には、項目ごとに適したツールを組み合わせて使うことが多くなります。
- AIを使うには不良品のサンプルが必要ですか?
- アプローチによって変わります。狙った不良だけを検出したい場合は、その不良の画像を学習させます。不良のサンプルが集まらない場合は、良品を学習させて違いを検出する方法を使えます。どちらが合うかは、集められる画像の状況からご相談ください。
- 過検出が多くて困っています。AIで改善できますか?
- 許容したい汚れと止めたい傷の見え方が近い場合、しきい値だけで分けるのは難しくなります。検出したい不良を学習させることで、似た欠陥だけを検出し、過検出を抑えられます。実際の画像で確認することをおすすめします。
- 想定していなかった不良も止められますか?
- 良品を学習させて、そこからの違いを検出する方法であれば、事前に想定していなかった不良にも反応します。想定外の異物や欠けを止めたい場合に適しています。
- AIを使うと判定の理由が分からなくなりませんか?
- 検出した箇所は画像上で示されます。ただし、寸法のように数値で根拠を残したい場合は、ルールベースのツールを使うほうが適しています。記録として何が必要かをふまえて選びます。
- 設定に専門の知識が必要ですか?
- AIツールもルールベースのツールも同じ画面で設定できます。学習は対象の画像を選んで登録する操作が中心です。実際の対象物をお預かりして、どのツールが合うかを確認したうえでご提案できます。
どちらが合うか、実際の画像で確かめませんか
検査したい対象物と、止めたい不良・許容したいばらつきをお伝えください。AIとルールベースのどちらが合うかを、実際の画像で確認してご提案します。カタログまたはお問い合わせフォームからご相談ください。