FAカメラと民生・監視カメラの違い

検査に使うカメラは何が違うのか

見るためのカメラと、判定するためのカメラ

民生用のカメラも監視カメラも高い画素数をもちますが、生産ラインの検査にそのまま使えるとは限りません。人が見て判断するのか、機械が判定するのかで、カメラに求められる条件が変わります。その違いを整理しました。

検査に使うと決定的に効いてくる3点

写真としてきれいに写ることと、判定に使えることは別の話です。

撮るタイミングを外部から決められるか

検査は、ワークが所定の位置に来た瞬間に撮る必要があります。カメラ側の都合で撮影が始まる仕組みでは、対象が写っていない画像が混ざり、全数の検査になりません。

毎回同じ明るさ・同じ色で写るか

民生用のカメラは、人が見て自然に見えるように明るさや色を自動で調整します。判定に使う場合、この自動調整が働くと同じワークでも画像が変わり、しきい値が定まりません。

動いている対象がゆがまずに写るか

撮像素子の読み出し方式によっては、動いている対象が斜めにゆがんで写ります。寸法や位置を判定する場合、このゆがみがそのまま誤差になります。

FAカメラに求める条件を決める4ステップ

何を判定するかが決まれば、必要な条件も決まります。

STEP①
01

検出したい欠陥の大きさから分解能を出す

見たい範囲の広さと、検出したい欠陥の大きさから、必要な画素数を計算します。ここが検査で最初に決まる条件です。

STEP②
02

撮像のタイミングをどう与えるかを決める

ワークが所定の位置に来たことをどの信号で知るかを決めます。装置の動きに合わせて撮像の指示を出せる構成にします。

STEP③
03

対象が動いているかを確認する

止めて撮るのか、搬送中のまま撮るのかを確認します。動いたまま撮る場合は、ゆがみが出ない読み出し方式のカメラが必要です。

STEP④
04

設置場所の環境条件を確認する

粉じんや水しぶきがかかる場所か、振動があるか、カメラを斜めに付けざるを得ないかを確認します。環境に応じた仕様や補正の機能が必要になります。

検査用と、見るためのカメラの違い

同じカメラでも、判定に使うときに求められる条件が異なります。

観点 産業用(FAカメラ) 民生用・監視用
目的 判定結果を数値と信号で出す 人が見て判断する、記録する
撮像のタイミング 外部からの信号で、決まった瞬間に撮る 連続で録る、またはシャッターを押した時に撮る
明るさ・色の扱い 毎回同じ条件で撮り、同じワークが同じ画像になることを優先 見た目が自然になるよう自動で調整する
照明 判定の手がかりが出るよう、専用の照明を組み合わせる その場の明るさに合わせる
動く対象 ゆがみが出ない読み出し方式を選べる 読み出し方式は選べないことが多い
設置条件の補正 カメラの傾きやレンズの歪みを補正して寸法の誤差を抑える 補正の仕組みは前提にない
レンズ 視野と設置距離に合わせて交換できる 一体型で交換できないものが多い
外部との接続 判定結果をPLCやロボットへ出力する 映像やファイルとして記録する

画素数だけでは検査用かどうかは決まらない

民生用のカメラにも高い画素数のものがあります。検査で効いてくるのは、撮るタイミングを外から決められること、毎回同じ条件で撮れること、判定結果を装置へ出力できることです。分解能はそのうえで満たすべき条件のひとつと考えると、選定を間違えにくくなります。

検査用カメラを構成に組み込む

カメラ単体ではなく、照明とコントローラを含めて検査の構成にします。

画像処理システム(グローバル・スタンダードモデル)

AI×ビジョンストレージ搭載 画像処理システム

VS-Gシリーズ

VS-Gシリーズは、コントローラにカメラと照明を接続して使う画像処理システムです。カメラは31万画素から6400万画素まで24種類をそろえ、検査に必要な分解能と転送時間から選べます。6400万画素カメラは、移動体の検査に必要なグローバルシャッターを採用しており、動いている対象でもゆがみを抑えて撮像できます。撮像のタイミングは外部からの信号で与えられ、現在の処理と非同期に指示を受けることもできるため、装置の動きに合わせて撮像できます。カメラの傾きやレンズの歪みはキャリブレーションで補正でき、斜めに取り付けざるを得ない場合や、画面の中央と端で結果が変わる問題に対応します。明るさが安定しない条件では、シャッタースピードを変えて撮った複数枚を合成し、白とびや黒つぶれのない画像を生成するHDR撮像を使えます。判定結果はPLCやロボットへ出力できます。

VS-Gシリーズの詳細資料を入手する

カメラ24種類の画素数・転送時間と、撮像機能をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。

判定に使うからこそ必要になる条件

いずれも、写るだけでなく毎回同じ条件で撮れることが前提になります。

ECU上の防湿剤の有無検査

基板に塗られた防湿剤があるかを判定します。塗られた部分と基板の差はわずかなため、毎回同じ明るさで撮れることが前提になります(VS-Gシリーズ)。

燃料ポンプの2Dコード読み取り

部品に付けられた2次元コードを読み取ります。コードのセルを分解できる画素数と、読み取りに適した画作りが必要です(VS-Gシリーズ)。

インジェクタ品番の文字読み取り

部品に刻印された品番を読み取ります。刻印は濃淡の差が小さいため、照明の当て方とあわせて構成します(VS-Gシリーズ)。

FAカメラと民生・監視カメラの違いに関するよくあるご質問

手持ちの市販カメラを検査に流用できますか?
画像を撮ること自体はできますが、検査に使う場合は、ワークが所定の位置に来た瞬間に撮れること、毎回同じ明るさと色で撮れること、判定結果を装置へ出力できることが必要になります。これらが満たせないと、全数の判定を安定させることが難しくなります。
監視カメラのほうが画素数が高いのですが、そちらでは駄目ですか?
画素数は必要な条件のひとつですが、それだけでは決まりません。撮るタイミングを外部から与えられるか、自動調整で画像が変わらないか、動く対象がゆがまずに写るかが、判定の安定性を左右します。検査したい内容をお伝えいただければ、必要な条件を整理してご提案します。
グローバルシャッターとは何ですか?
撮像素子の全画素を同じタイミングで露光する読み出し方式です。画素を順に読み出す方式では、動いている対象が斜めにゆがんで写ることがあります。搬送中のワークを撮って寸法や位置を判定する場合は、この方式のカメラが適しています。
カメラを斜めに取り付けると寸法がずれませんか?
カメラの傾きやレンズの歪みを補正するキャリブレーション機能があります。設置スペースの都合で斜めに取り付ける場合や、画面の中央と端で測定結果が異なる場合に補正できます。
工場の照明が変わると判定も変わりますか?
周囲の明るさが変動する条件では、判定が不安定になることがあります。検査には専用の照明を組み合わせて、外乱の影響を抑えるのが基本です。あわせて、シャッタースピードを変えた複数枚を合成し、白とびや黒つぶれを抑えるHDR撮像も利用できます。
判定した結果はどのように装置へ渡せますか?
端子からの出力に加えて、PLCとの通信やロボットへの出力に対応しています。ロボットビジョンでは複数のメーカーのロボットと直結して通信できます。ご使用の装置構成に合わせてご案内します。

検査に必要な条件を、対象物から整理します

検査したい対象物、見たい範囲、検出したい欠陥の大きさ、ワークが動いているかどうかをお伝えください。必要なカメラの条件を整理してご提案します。カタログまたはお問い合わせフォームからご相談ください。