高速ライン対応の画像検査の選び方

生産タクトを落とさずに検査するには

撮像・転送・処理・位置補正のどこが効いているか

タクトが速いラインでは、画像検査が律速になることがあります。原因は撮像だけとは限らず、画像の転送や処理、位置の補正が効いている場合もあります。どこで時間を使っているかを分けて考えるための整理です。

高速ラインで詰まりやすい3か所

検査そのものより、その前後で時間を使っていることが少なくありません。

画像の転送で待ちが出る

高い分解能で撮ろうとするほど、1枚あたりのデータ量が増えます。撮像そのものは一瞬でも、その画像をコントローラに送る時間が積み上がり、タクトに収まらなくなります。

ワークを止めないと撮れない

搬送中のまま撮るとブレて判定できないため、いったん止める工程を入れることになります。止める時間がそのままタクトに乗り、ライン全体の速度を決めてしまいます。

位置が毎回ずれて判定が安定しない

搬送されてくるワークの位置や向きは毎回わずかに変わります。位置を補正せずに固定の検査枠で見ていると、ずれた分だけ誤判定が出ます。

ボトルネックを切り分ける4ステップ

上から順に確認すると、どこに手を入れるべきかが見えてきます。

STEP①
01

1個あたりに使える時間を出す

ラインのタクトから、1個の検査に使える時間を計算します。撮像・転送・処理・出力をすべてこの中に収める必要があります。

STEP②
02

必要な分解能を決める

検出したい欠陥の大きさから、必要な画素数を決めます。分解能を上げるほど転送時間が延びるため、過剰にしないことが速度につながります。

STEP③
03

止めるか、動かしたまま撮るかを決める

ワークを止められるならその時間を、止められないなら動いたままブレずに撮れる条件を確認します。撮像のタイミングを装置の動きに合わせられるかも併せて見ます。

STEP④
04

位置の補正を検査の前に入れる

ワークの位置と向きを先に検出し、その結果に合わせて検査する場所を動かします。これを入れておくと、搬送のばらつきを機構側で抑え込まずに済みます。

速度に効く要素と、確認するポイント

同じ「高速対応」でも、効いている要素は異なります。

要素 速度への効き方 確認するポイント
カメラの画素数 分解能が上がるほど1枚のデータ量が増え、転送時間が延びる 検出したい欠陥の大きさから必要な画素数を決め、過剰にしない
画像の転送時間 撮像から処理開始までの待ち時間になる カメラごとの転送時間を確認する。高画素でも転送を速めた機種がある
シャッター方式 動いているワークを撮ったときのゆがみに影響する 移動体を撮るならグローバルシャッターのカメラを選ぶ
コントローラの処理能力 検査ツールの数と重さに応じて処理時間が変わる 接続するカメラ台数と検査項目に見合った処理能力かを確認する
撮像のタイミング 装置の動きと合わないと、待ち時間が生まれる 処理中でも次の撮像指示を受けられるか、複数回の撮像を1回の指示にまとめられるかを確認する
撮りためて後から処理 撮像と処理を並行させると、ワークを止める時間を短縮できる 連続して撮りためながら並列に処理できるかを確認する
位置の補正 補正がないと、位置を機構側でそろえる必要が出る 位置と向きを検出して検査枠を追従させられるかを確認する

分解能と速度はトレードオフになる

画素数を上げれば細かい欠陥を捉えられますが、そのぶん転送にも処理にも時間がかかります。まず検出したい欠陥の大きさから必要な分解能を決め、その条件でタクトに収まるかを確認する順番にすると、過剰な構成を避けられます。

高速ラインで検討される画像処理システム

分解能と速度の両方が求められる工程で候補になる構成です。

画像処理システム(グローバル・スタンダードモデル)

AI×ビジョンストレージ搭載 画像処理システム

VS-Gシリーズ

VS-Gシリーズは、従来比で最大13倍※という桁違いの処理速度を実現する高速プロセッサを搭載しています。新たに登場した高速化ユニットを増設することで、1台の限界を超えたさらなる高速化も可能になります。また、タスクごとに最適化された設計により抜群の安定性を実現し、メモリを大幅に増強したことでプログラムの自由度も向上しています。高速・高負荷な検査にも対応できる、圧倒的な処理性能を備えています。※ VS-L/S/C 500万画素・AI欠陥ツール使用時との比較

VS-Gシリーズの詳細資料を入手する

カメラごとの転送時間と撮像機能をまとめたカタログを無料でダウンロードできます。

速い搬送・止まらないワークでの検査例

止めずに撮る、位置に追従する、という条件での使い方です。

キャリアテープ内のIC有無・方向判別

賞味期限の印字検査

シュリンクフィルムの外観検査

高速ラインの画像検査に関するよくあるご質問

ラインを止めずに検査できますか?
搬送中のまま撮像して判定できます。ただし速度と必要な分解能の組み合わせによっては、撮像条件の確認が必要です。ラインの速度と検出したい欠陥の大きさをお伝えいただければ、実際の条件で確認できます。
高画素のカメラを使うと遅くなりませんか?
1枚あたりのデータ量が増えるため転送に時間がかかりますが、転送を高速化した機種があります。2100万画素モデルでは画像転送周波数1.1GHzにより画像転送時間57.6msを実現しています。必要な分解能とタクトの両方から機種を選びます。
動いているワークを撮るとゆがみませんか?
シャッターの方式によって、動いている対象のゆがみ方が変わります。移動体の検査にはグローバルシャッターを採用したカメラが適しています。6400万画素カメラはグローバルシャッターを採用しています。
ワークの位置が毎回ずれるのですが、機構でそろえる必要がありますか?
位置と向きを画像で検出し、その結果に合わせて検査する場所を動かせます。輪郭形状を使うサーチツールは、画像が不明瞭であったりコントラストが低い場合でも安定して位置を求められます。整列させる機構を追加せずに済む場合があります。
回転しているワークの全周を検査したいのですが間に合いますか?
撮像を連続で実行しながら、並行して画像処理を進める先行撮像があります。回転中は最速で撮りためておき、ワークを送る間にまとめて検査するため、回転速度を落とさずに全周を確認できます。
前後の工程とタイミングが合わない場合はどうなりますか?
現在実行中の画像処理とは非同期に撮像の指示を受けられます。前後で装置の動くタイミングが異なる場合でも、待ち時間を入れずに装置に合わせて撮像できます。

タクトに収まるか、実際の条件で確認しませんか

ラインの速度、検出したい欠陥の大きさ、ワークを止められるかどうかをお伝えください。実際の条件で構成をご提案します。カタログまたはお問い合わせフォームからご相談ください。