外観検査のトレーサビリティ

あとから検査当時の画像を出せますか

良品も含めた全数の記録を残すために必要なこと

不具合の連絡を受けてから当時の検査画像を探しても、残っているのはNG品だけ、ということがあります。良品も含めて全数を残せているか、その記録がすぐに取り出せるかを、構築の観点から整理しました。

記録が残っていないと起きる3つのこと

検査そのものは動いていても、記録の側で困る場面があります。

出荷先からの問い合わせに答えられない

納入した製品について確認を求められたとき、検査当時の画像が残っていなければ、そのとき何を見て良品と判定したのかを示せません。説明のために工数をかけて調査することになります。

同じ不良が何度も出る

NGと判定したものだけを残していると、どこまでが良品として通っていたのかが分かりません。判定の境目にあった製品の情報が無いため、しきい値を見直す根拠がつくれません。

保存したはずの画像が抜けている

検査機とは別にパソコンやサーバで保存する構成では、通信の混雑や処理の競合、突然の電源断によって保存が抜けることがあります。抜けていること自体に気づきにくいのも問題です。

記録の仕組みを決める4ステップ

何をどれだけ、どこに残すかを先に決めます。

STEP①
01

何を残すかを決める

NGだけでよいのか、良品も含めた全数が必要かを決めます。あとから判定の境目を見直したい場合は、良品の画像も残しておく必要があります。

STEP②
02

どれだけの期間残すかを決める

製品の保証期間や、取引先から求められる期間に合わせて決めます。ここが決まると必要な保存容量が出ます。

STEP③
03

どうやって取り出すかを決める

日付で探すのか、製品のシリアル番号やロット番号で探すのかを決めます。検査の結果データと画像がひも付いていないと、あとから探し出せません。

STEP④
04

保存が抜けない構成にする

検査・圧縮・保存の処理が互いに影響しないか、通信の混雑を受けないか、電源が落ちたときにどうなるかを確認します。ここが構築でいちばん難しいところです。

記録の仕組みを比べる観点

同じ「画像を保存する」でも、構成によって確実性と使い勝手が変わります。

観点 確認しておきたいこと 満たせないと起きること
保存の範囲 良品も含めた全数を残せるか 判定の境目を見直す根拠がつくれない
保存の確実性 検査・圧縮・保存の処理が互いに影響しない設計か タクトが詰まったときに保存だけが抜ける
通信の影響 ネットワークの混雑の影響を受けずに保存できるか 他の機器の通信で画像の転送が妨げられる
電源断への備え 突然電源が落ちてもデータが壊れない構成か 停電や操作ミスで保存済みのデータまで失う
保存容量 必要な期間の画像が収まるか。画質を保ったまま容量を抑えられるか 容量が足りず、良品画像を残すのを諦めることになる
取り出しやすさ 日付やシリアル番号で絞り込んで探せるか 画像は残っていても、目的のものを探し出せない
機器の組み合わせ 検査機と保存側の相性を検討する必要があるか 選定と検証に時間がかかり、稼働後も切り分けが難しい
記録の活用 蓄積した画像を設定の見直しに使えるか 記録するだけで終わり、品質の改善につながらない

保存漏れは、気づかないことが最大の問題

画像の保存が抜けていても、検査そのものは動き続けます。問い合わせを受けて探した時点で初めて気づくため、そのときには手の打ちようがありません。保存が抜けない設計になっているかを、構築の段階で確認しておくことが重要です。

検査記録を前提に設計された画像処理システム

検査だけでなく、全数の画像保存を1台で成り立たせる構成です。

AI×ビジョンストレージ搭載 画像処理システム

AI×ビジョンストレージ搭載 画像処理システム

VS-Gシリーズ

VS-Gシリーズは、コントローラに専用のストレージを内蔵した画像処理システムです。画像の保存をパソコンやサーバに頼らず本体で完結できるため、機器どうしの相性や通信の混雑による保存漏れを避けられます。検査・圧縮・画像出力といった処理はそれぞれ専用のコアで動かす設計で、保存の処理が他の処理の影響を受けません。突然の電源断を想定した設計のため、工場の停電や操作ミスで電源が落ちた場合でもデータの損失を抑えられます。自社のサーバへ保存する場合も、通信のトラブルで出力に失敗したときはコントローラ側でバックアップとして保存します。画質を維持したまま100倍以上の容量削減を実現する圧縮方式により、容量の制約で諦めていた良品画像も含めた長期の保存ができます。保存した画像は検査日付やシリアル番号で絞り込んで探せるほか、時間帯別・日別の不良発生状況の確認や、設定の見直しにも使えます。

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記録が求められる工程での検査例

いずれも、判定の結果だけでなく当時の画像が問われる工程です。

鍛造部品の全面外観検査

部品の全面を検査します。出荷後に確認を求められることがあるため、良品も含めた画像を残しておくと説明の裏付けになります(VS-Gシリーズ)。

電子基板の外観検査

基板の実装状態を検査します。不具合の連絡を受けたときに、当該ロットの画像をすぐに取り出せる状態にしておきます(VS-Gシリーズ)。

冷凍ピザの具材不足検査

具材が不足していないかを検査します。食品では記録を求められる場面が多く、全数の画像を残せる構成が求められます(VS-Gシリーズ)。

外観検査のトレーサビリティに関するよくあるご質問

良品の画像まで残す必要がありますか?
あとから判定の境目を見直したい場合は必要になります。NG品だけを残していると、どこまでが良品として通っていたかが分からないため、しきい値を調整する根拠がつくれません。蓄積した画像は設定の見直しにも活用できます。
保存容量が足りるか心配です。
画質を維持したまま100倍以上の容量削減を実現する圧縮方式を搭載しています。従来の圧縮では確認したい傷や汚れが見えなくなることがありましたが、再検査したときの測定値がほとんど変わらない水準の画質を保ちます。必要な保存期間をお伝えいただければ、容量の見込みをご案内します。
パソコンとサーバを用意して自分で組むのとどう違いますか?
自分で構築する場合、検査・圧縮・画像出力の処理が互いに影響しないか、機器どうしの相性はどうか、通信の混雑を受けないかを検証する必要があります。コントローラに専用のストレージを内蔵した構成であれば、これらの検証をせずに保存の仕組みをつくれます。
停電したときにデータは残りますか?
突然の電源断を想定した設計になっています。工場の停電や、オペレーションのミスで電源を落とした場合でも、故障やデータの損失を抑えられます。無停電電源装置を別途用意しなくても運用できます。
保存した画像はどうやって探しますか?
検査した日付やシリアル番号で絞り込んで探せます。検査の結果データと画像がひも付いているため、問い合わせを受けた製品に対応する画像を取り出せます。時間帯別や日別の不良発生状況も確認できます。
社内のサーバに保存する運用も続けられますか?
自社サーバへの保存にも対応しています。通信のトラブルで出力に失敗した場合はコントローラ側でバックアップとして保存するため、サーバ側で抜けが出ることを防げます。

記録の要件から、構成をご提案します

検査したい対象物、残したい期間、どの単位で探せる必要があるかをお伝えください。保存の仕組みを含めた構成をご提案します。カタログまたはお問い合わせフォームからご相談ください。