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試作を繰り返すことで生まれる革新的新製品
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革新的な家電製品を世に送り続けている英国ダイソン社。同社の代名詞との呼び声も高い「サイクロン式掃除機」は、創業者であるジェームズ・ダイソン氏が、5127回にもわたって試作を繰り返し生み出された製品である。

今回は「失敗を恐れない社風」で多くの企業からも注目される、ダイソン社のものづくりについて探ってみる。

「成功は失敗からしか学べない」ダイソン流のものづくり

ジェームズ・ダイソン氏のものづくりに対する考えは、様々なメディアで紹介されている。例えば、WIREDに寄稿しているコラムでは失敗することの大切さについて訴えている。

【引用】

成功は失敗から学ぶことでしか得られないんですよ。そういう意味では、私自身は「失敗」という言葉が持つ定義そのものが間違っていると思いますね。発明の過程においては、失敗というのは、解決を待っている単なる問題点であり、課題に過ぎないんですよ。時にそれは終わりのないフラストレーションをもたらすエンドレスな過程に思えますが、最終的には大きな報いをもたらすものとなるのです。

ダイソン創業者が語る「失敗を恐れないことの大切さ」 ライフハッカー[日本版]より

このようなダイソン氏の考え方により、ダイソン社は「失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返す」ことに寛容な社風が生まれているという。そしてこれは、前回のコラムにて紹介した「ジェームズ・ダイソン アワード」などの活動にもつながっている。

ちなみにダイソン氏は偉大なる発明家トーマス・エジソンを心から尊敬していると語る。失敗という言葉の概念について思いめぐらす時、常にエジソンの語った、かの有名な1万回の失敗に関する定義を思い浮かべるのだそうだ。

「私は失敗したのではない。ただうまくいかない方法を1万通り発見しただけだ。」

3Dプリンターの活用でさらなる試行錯誤が可能に

昨年発表された新型のコードレス掃除機である「DC74」は、開発するにあたり実施した試作の回数はなんと40回以上。試作では様々なパーツの形状確認やテスト・検証に、SLA方式※1やSLS※2・SLM方式※3の3Dプリンターが用いられたという。

SLA方式は素材が限定されるものの、繊細でなめらかな造形が可能なため、商品開発の上流工程でデザインの確認や組立性の検証に適している。一方、SLS方式はチタンや銅などの金属からナイロンなどの樹脂素材まで幅広く対応しているため、下流工程で行う機能試験に利用できる

これらの3Dプリンターを目的に応じて使い分け、試作を作成、テストを実施し、その後、検証する。この繰り返しで生まれたのが「DC74」とのことだ。

しかし、SLA方式やSLS方式の3Dプリンターは大がかりな装置で、価格も1億円近くするものが多く、導入できる企業は限定されているのが現状である。 もし、ダイソンと同じように失敗を恐れずに試作をできる環境をつくるならば、組立検証ができる比較的安価な3Dプリンターを導入しておいて、高額な機種が必要になる機能評価用の試作品は外部に依頼するのも1つの考え方だ。

上流工程で試行錯誤を繰り返し品質の向上を図る「フロントローディング※4」の手法は、ものづくりの世界においても大きな注目を集めている。そして今後、その工程の中で3Dプリンターが担う役割は、間違いなく大きなものとなることだろう。

※ 1 SLA(Stereo Lithography)方式:樹脂に紫外線などを照射して硬化させることで造形する手法。

※ 2 SLS(Selective Laser Sintering)方式:粉末状の素材をレーザーで焼き固め造形する手法。ナイロンなど樹脂の造形ができる。

※ 3 SLM(Selective Laser Melting)方式:粉末状の素材をレーザーで溶かして造形する手法。金属の造形ができる。

※ 4 フロントローディング:製品開発の初期段階に人材や予算などのリソースを投入して、品質向上を図り、後工程で発生しそうな課題や不具合を抑える手法。

参考

ライフハッカー[日本版] プロトタイプは5127台! ダイソン創業者が語る「失敗を恐れないことの大切さ」

http://www.lifehacker.jp/2013/01/130123gizmodo_dyson.html

MONOist 「ダイソンの革新的製品は失敗の集大成から生まれた――「DC74」「AM09」を発表 」

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1409/25/news110.html

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