コラム普及が進む安価な3Dプリンタその浸透度合いの実態に迫る

近年では、3Dプリンタの普及具合や利用状況についての調査報告も数多く発表されている。本記事では、それらに報告されている数値から、3Dプリンタが現場に、そして社会に、どれだけ浸透しているのかについて考察する。

2015年に出荷された3Dプリンタの70%はデスクトップタイプ

2015年10月、米国の大手コンサルティングファームであるデロイト(Deloitte)が発表した報告によると、2015年における3Dプリンタの販売台数は全世界で22万台、市場規模は16億ドル(約1,920億円)に達したとのことだ。
ここで注目すべきは出荷された3Dプリンタの70%が安価なデスクトップタイプである点。これは、急速に進む3Dプリンタの小型化と低価格化が大きく影響した結果と言えるだろう。
その一方で、出力された造形物の95%は工業用のハイエンド3Dプリンタによるもので、生み出された経済価値の99%を占めている。
残念ながら、現時点においてはデスクトップタイプの3Dプリンタが市場に与える影響は小さく、当面は製造業向けなどのハイエンド3Dプリンタが牽引役となるだろう。

製造業における3Dプリンタの利用状況

3Dプリンタが生み出す経済効果の大半を占める製造業。ただ、その活用状況については企業によってばらつきがある。
米国の大手調査会社であるガートナーが、2014年12月に発表した「企業の3Dプリンタ利用状況」の調査結果によると、3Dプリンタを導入している企業の平均保有台数は5.4台。全体の37%が1台のみの保有である一方、10台以上保有しているケースも18%あった。
これは、3Dプリンタをものづくりのプロセスの一部に組み込み十分に活用できているケースがある反面、限られた一部のスタッフしか利用できず活用が進まないケースもあり、企業によって3Dプリンタの使いこなしに差があることを示している。

3Dプリンタの活用には、そのための環境づくりが重要

3Dプリンタの活用によって業績を上げた代表的な存在に、掃除機などで有名な英国ダイソン社がある。同社は、創立者であるジェームズ・ダイソン氏自身が、5127台もの試作を繰り返して「サイクロン式掃除機」を生み出した。そのため同社は失敗に対して寛容であり、試作を作りテストを繰り返す企業風土が根づいている。
ダイソン社のように、誰もが自由に利用できる環境作りが進めば、3Dプリンタを十分に使いこなせるケースも増えてくるはずだ。

参考:世界の3Dプリンタニュース
「デロイト、2015年の3Dプリンタの全世界販売台数が22万台と発表」(世界の3Dプリンタニュース)

「ガートナー、企業の3Dプリンタ利用状況についての調査結果を公表」(世界の3Dプリンタニュース)

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