3Dプリンタの可能性企画・概念設計プロセスでの活用
企画~概念設計までの設計初期における開発プロセスは、開発コストの70%を決定付けるといわれる非常に重要なプロセスです。
このプロセスにおいて3Dプリンタを活用するポイントは、顧客・営業・マーケティングなどの、ブランドイメージを左右したり、売れ行きに影響を与えたりする関係者とのデザインのすり合わせです。また、技術的な課題が高い要件がある場合は、その技術課題の解決目途を立てておく必要があります。
3Dプリンタを活用する場面
- 意匠や外観のすり合わせ
- 握り心地、操作性の確認
- ネック技術の検証
活用事例ミニチュアモデルを使った風洞実験
ミニチュアなら早く安く試作できるから検証の機会を増やせて、設計精度を高められる。
この段階で3Dプリンタを活用するメリットは、「発生した変更に対する修正コストが非常に小さい」ことです。
例えば、詳細設計など設計プロセスの中盤以降の段階で、製品サイズを決めるデザインに大きな変更が入った場合、設計変更に対応する時間、関連ドキュメントの修正など、非常に多くの時間とコストが必要になります。
この問題を減らすためには、設計プロセスの初期の段階で、次の3点を行なうことが重要になります。
設計プロセスの初期段階ですべきこと
- 実際の造形物によりデザインレビューを行ない、社内の関係者とイメージを共有する
- マーケティングや商談に実物を活用し、顧客とのイメージのズレをなくす
- ネックとなる技術を抽出し、詳細な検証を早期に行なう
例えば、自動車や家電など頻繁にモデルチェンジが行なわれる業界では、市場の変化が早く、デザインの検討スピードが重要となります。3Dデータだけでは製品全体の大きさや感触、操作性が伝わりませんが、3Dプリンタであれば、実際に触って確かめられるので、イメージの共有が効果的に実施できます。
とくに、家電など手に取り触れられることが多い製品の場合は、実物モデルの重要性が非常に高いと言えるでしょう。切削による単発の試作ではなく、3Dプリンタにより何度も繰り返し、多種試せるような試作によって、問題解決が進み質の高い商品アイデアが生まれます。
活用事例握り心地や重量感のチェック
3Dプリンタで製作した洗剤のボトルで、持ったときの感触から洗剤を入れて重量感のチェックまで確認できる
活用事例デザインの妥当性・発注元とディスカッションで活用
デザインの妥当性を模型で確認したい時や、発注元とディスカッションしたい時に、納得いくまでデザインを検討できる。
活用事例ネックになりそうな課題の早期確認
基板からの発熱量アップなど、事前に予想される課題を、早いタイミングで確認をした上で詳細設計に進める。