3Dプリンタの可能性基本設計・詳細設計プロセスでの活用
基本設計および詳細設計は、製品の性能を実現させるための重要なプロセスです。このプロセスにおいて3Dプリンタを活用するポイントは、3点あります。
ポイント1 設計と同時並行に機能検証を進める
設計が完全に終わって試作するのではなく、機能単位で検証を行なえれば、より早い段階で設計の不具合を抽出できます。
したがって、この段階では、形状確認というよりむしろ、実際に製品を使用する段階で問題となる動作、性能、耐久性など各種性能検証で活用すると効果的でしょう。
活用事例動作の検証
3Dプリンタで造形したロボットハンドで、対象物が正確に掴めるのか動作を確認
活用事例熱の検証
発熱性のある部品と3Dプリンタで造形した部品を組み付けた検証
活用事例流れの検証
オイルタンクの傾きによる液面の挙動を可視化して、タンク形状を最適化
ポイント2 早期金型打ち合わせによる金型修正回数の削減
金型起型の打ち合わせは、設計や試作実験終了間際になってから、図面ベースや実験で用いた試作品などを使って行なわれますが、タイトなスケジュールの中で、十分な検討期間が持てず、成形不良による金型修正が度々発生してしまいます。
困難な成形が予測される部品は、3Dプリンタを使ってモデルを作り、金型構造上の成形不良を早い段階で予測し、設計に反映させることで、金型修正回数を少なくできます。
活用事例成形不良のチェック
3Dデータでは見にくい肉厚の変化まで確認できるため、成形時に問題となる形状を見つけやすい。
ポイント3 生産部門とのコミュニケーション強化
この段階で作図される図面の品質が悪いと、生産段階で不良率が高くなったり、使用時に破損や事故に繋がったりします。一般的には、これらの問題は製造時の問題というより、設計図面に起因するとされています。
したがって、より品質の高い図面を作成するためには、生産技術部門をはじめとする専門家の意見を図面に反映させなければなりません。
図面や3Dモデルなどの紙やパソコンの画面によるデザインレビューでは、伝わる情報に制限があるため、出される意見も少なくなってしまいます。ですがここで3Dプリンタを活用し、情報を最大限に伝えることができれば、さまざまな部署の専門家や設計者の貴重な意見が多数得られる筈です。そうなれば、信頼性、安全性、生産性、保全性、コストなども確実に向上することでしょう。