補助金・助成金「ものづくり補助金(2020年度)」申請と採択の極意(1)
製造業における「ものづくり補助金」公募要領の理解と申請のコツ

補助金に関する当ページの情報について
当サイトに記載されている情報・見解は、制作時点(2020年9月下旬)のもので、予告なしに変更することがあります。公募期間中にも公募要領などが幾度も変更されることがあります。当ページの記載内容のみならず、全国中小企業団体中央会が「ものづくり補助金総合サイト」で発表する最新の情報も必ずご確認ください。万一、当社ページの情報に従って不採択となった場合、当社では責任を負いかねます。
「ものづくり補助金(2020年度)」申請と採択の極意

2020年(令和2年)度からは例年(年二回)と異なり、通年で数か月おきに公募が行われ、5次締切(2021年〔令和3年〕2月頃)まで公募されるようになった「ものづくり補助金」。以降のスケジュールは発表されていませんが、今後も継続が期待されています。たとえば、2次公募までの採択率は約5~6割と高く(従来は3割前後)、事業とタイミングを合わせやすくなりました。また、新型コロナウイルス感染症対策に関する補助金額の上乗せなど、時勢にマッチさせながら公募を重ねていることも大きな特徴です。今回は、本コラムの読者の大多数を占める製造業の皆さまを対象に、ものづくり補助金の基礎的な情報やこれまでの変更点、公募要領の解釈、申請・採択を目指すにあたってのポイントやコツ、注意点などをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

「ものづくり補助金」とは

ものづくり補助金とは、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のことで、「もの補助」という俗称で呼ばれることもあります。対象者や対象事業別に、大きく下記の「型」に分かれます。

・一般型
実際に事業を行う人が対象です。製造業で補助を受ける場合は、この一般型が該当します。一般型には、「通常枠」のほかに、新型コロナウイルスの影響を背景とした「特別枠・事業再開枠」が設けられました。補助金額の上乗せなどについては後ほど説明します。
・ビジネスモデル構築型
事業を支援する側の人が対象です。実際に事業をする方は対象ではないため、製造業の皆さんは混同しないよう注意しましょう。
・グローバル展開型
4次公募から開示されました。①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致する必要があり、それぞれに詳細な条件があります。なお、特別枠(および事業再開枠)の適用はありません

ものづくり補助金は、さまざまな業種・業界が補助の対象となりますが、このページでは、多くの製造業の事業者が対象となる「一般型」について説明していきます。

一般型は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などに「通常枠」で下限100万~最大1000万円を支援するという制度です。また、2次公募以降は、新型コロナウイルスの影響を背景に補助金を上乗せする「特別枠・事業再開枠」が新たに設けられました。次項からは、一般型の補助対象や補助率、補助金額、補助対象経費について説明していきます。

「ものづくり補助金」の補助対象者

「ものづくり補助金」の補助対象者(一般型)とは

日本国内に本社および実施場所を有する中小企業者および特定非営利活動法人を対象としており、
製造業の場合は、資本金3億円以下・従業員数(常勤)300人以下
であることが対象の条件です。
製造業であっても一部業界によって規定が異なる場合があります(たとえば、ゴム製品製造業は、資本金上限が同じでも常勤従業員数900人以下など)。
また、付加価値額が年率3%以上向上、かつ、事業計画期間(補助金交付後3~5年間)において、給与支給総額を年率平均1.5%以上向上かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とするなどの条件があります(通常枠)。

一般型の補助対象外の例

【みなし大企業】
小規模であっても発行済株式の総数または出資価格の総額のうち規定する割合を大企業が持っているなど、大企業の実質支配下にあるとみなされる企業のことです。細かい規定があるため、公募要領で詳細を確認しましょう。
【その他の補助対象外事業者】
  • 補助事業の企画のみを行い、事業の実施を他社に丸投げする企業。
  • 申請締め切り日前10ケ月以内に同一事業(令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)の採択決定および交付決定を受けた事業者
他にも対象外の条件には細かい規定があります。「ものづくり補助金総合サイト」で最新の公募要項を確認してください。
POINT 「ものづくり補助金」は、不採択者のリベンジも可能!
これまでの公募で不採択となった事業者・事業であっても、再度申請することができます。多数の企業が申請するため、審査はスピーディに行われます。審査員は、判断材料がないと加点できません。そのため、たとえ補助対象の条件を満たしていても、具体的な実現性や効果が伝わらなければ、加点・採択されません。専門のコンサルタントに相談して、専門的・客観的な観点から申請内容を見直し、再申請することも有効な手段の1つでしょう。

「ものづくり補助金」の補助率や補助金額

製造業の事業者が該当する「一般型」の通常枠・特別枠・事業再開枠の補助率や補助金額と条件について以下にまとめます。

【通常枠】
設備投資の条件:単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要
補助金額:下限100万~上限1,000万円
企業規模による補助率の違い(製造業の場合)
  • 中小企業者:1/2
  • 小規模企業者・小規模事業者(常勤従業員数20人以下):2/3
【特別枠】
「特別枠」の条件:新型コロナウイルスの影響を乗り越えるため、経費の1/6以上を下記に投資すること
投資内容による補助率:A類型:2/3、 B・C類型:3/4
  • サプライチェーンの毀損への対応(A類型)
  • 非対面型ビジネスモデルへの転換(B類型)
  • テレワーク環境の整備(C類型)
【事業再開枠】
事業再開枠を上乗せできる条件:「特別枠」で採択された事業者のみ
事業再開枠の補助金額:+上限50万円(補助率10/10)を上乗せ
事業再開枠は、緊急事態宣言の解除を踏まえ、中小・小規模事業者の事業再開を後押しするために「業種別ガイドライン(※内閣官房のパンフレット・PDF参照)」に沿った感染拡大予防の投資に対する定額補助を別枠で上乗せするものです。
POINT 特別枠は採択されにくい⁉通常枠が安全?
「特別枠」として申請し不採択になっても、自動的に「通常枠」で再審査されます。また、特別枠に関する内容で加点となる場合もあります。特別枠の採択率は通常枠とべて若干低い傾向ですが、通常枠で採択されるケースがあることを含めると一般型全体での採択率は必ずしも低いとも限りません。
もちろん、特別枠で申請するには、それに見合った事業内容を計画し、申請する必要があります。

「ものづくり補助金」の補助対象経費

製造業の事業者が該当する「一般型」の補助対象となる経費には、下記の区分が設けられています。

【通常枠】
機械装置・システム構築費/技術導入費/専門家経費/運搬費/クラウドサービス利用費/原材料費/外注費/知的財産権等関連経費

上記のなかでも製造業の場合、「機械装置・システム構築費」を補助対象経費とする場合がほとんどでしょう。その内容は下記のように定義されています。

専ら補助事業のために使用する機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費

専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費

①もしくは②と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費

これは、もちろん補助対象事業の要件である、「中小企業者などが行う『革新的な製品・サービス開発』または『生産プロセス・サービス提供方法の改善』に必要な設備・システム投資」である必要があります。
「革新的な製品」や「生産プロセスの改善」には、後に説明する審査項目において、加点の条件があります。たとえば、「革新的」は、必ずしも「世界初」や「日本初」を意味するものではありません。同業他社と比較して優位性を構築できるかがポイントとなります。
各補助対象経費には細かい条件があるため、必ず最新の公募概要の記載を確認してください。

POINT 補助事業と補助対象経費(設備投資)
補助対象としたい機械・装置や測定器などがいかに高性能であるかは、製造業の現場にとっては非常に重要です。ただし、古い設備を最新の高性能な設備に更新するために補助を受けたいという場合、導入したい設備のスペックがいかに凄いかだけをアピールしても、審査員にとっては判断材料になりません
「ものづくり補助金」の審査基準は、補助対象事業の革新性や生産性改善、実現性や収益への効果、具体的に各種の加点項目を満たしているかどうかなどです。補助事業としての妥当性とそれを実現するうえで欠かせない経費であることを誰が見てもわかる数字など、具体的な裏付けとともに効果を明示できているかどうかが、採択を目指すうえで重要です。

「ものづくり補助金」のスケジュール

まずは把握!「ものづくり補助金」のスケジュール

「ものづくり補助金」は、申請から審査、採択の後、交付申請・交付決定、補助事業実施期間(最大10ケ月)を経てはじめて、給付請求と補助金給付が実現します。

現時点で開示されている第3次以降のスケジュールをチャートで示します。

「ものづくり補助金」のスケジュール

申請前にチェック必須!補助事業スケジュールとのマッチング

「ものづくり補助金」のスケジュールを遵守しないと、たとえ採択されて交付決定していても、補助金を受け取ることができなくなります。そのため、実行可能なスケジュールで補助事業を計画し、申請することが大前提となります。
とはいえ、2020(令和2)年度からは、公募回数が増えたため、従来に比べて補助を受けたい事業とのタイミングは格段に合わせやすくなったといえます。

POINT 自社の努力だけでは、スケジュール遵守が難しいことも
製造業では、業務用機器を補助対象経費とすることがほとんどですが、設備の納品遅れのため補助事業のスケジュールに間に合わない場合、採択され交付決定されていても、補助金を受け取ることができません。
新型コロナウイルス感染症が製品・部品の製造や国際流通にも影響している昨今、なるべく国内で在庫と納期をしっかり管理し、安定供給可能なメーカーを利用することをおすすめします。
また、補助金での設備投資における納品を数多く経験しているメーカーであれば、申請前の相談や経験豊富な専門家の紹介までカバー可能な場合があります。当社キーエンスは、これらを実践している国内メーカーの1つです。

「ものづくり補助金」申請にあたって、知るべきこと・すべきこと

「ものづくり補助金」は電子申請のみ。アカウントID必須!

「ものづくり補助金」は2次公募以降、原則として電子申請のみでの申請になりました。電子申請には、「GビズIDプライムアカウント」(以降、GビズID)の取得が必要です。まだアカウントを持っていない方は、まず取得しましょう。

GビズID

GビズIDは、申請後も使用することになります。採択後の交付手続きも電子化されており、GビズIDによって必要情報の入力が省略できるなど、手続きが簡易化されています。

POINT 「GビズIDプライムアカウント」取得は、お早目に!
新型コロナウイルス感染症対策として、「ものづくり補助金」以外にもさまざまな行政サービスや補助金の申請がGビズIDを使った電子申請に切り替わっています。
それに伴い、時期によってはアカウントID発行依頼が集中し、従来よりも発行までに長期間かかる場合があります。発行にかかる期間は、時期や状況によって変化するため、経済産業省が運営する「GビズID」のWebサイトなどで状況を確認してください。
このIDがなければ申請ができないため、未取得の方はできるだけ早くID発行申請を行いましょう。

「ものづくり補助金」の審査とそのポイントを知る

「ものづくり補助金」の公募要領には、大前提として「『ものづくり補助金』の補助対象者」に適合しているかということがありますが、その次に補助を受けたい事業に関するこの3つの審査項目が、採択に関わる大きな柱となります。

その他にも後に解説する各種の「加点項目」がありますが、まずが軸となる下記3つの審査項目が、「ものづくり補助金」の性質をよく表しているため、申請内容を計画する前にも把握しておきたいポイントが数多く含まれています。

(1)技術面
(2)事業化面
(3)政策面
この3つの審査項目は、具体性が欠けている、または、妥当とみなされない場合、補助対象事業として認められず、採択に至ることが困難となります。

POINT 審査項目は、試験問題。回答がなければ加点なし。
「ものづくり補助金」の公募要領・申請・審査・採択を試験にたとえると、出題・回答・採点・合格に相当します。出題内容をしっかり読み解き、うまく回答できなければ点数を得ることができず、合格(採択)に至ることができません。
客観性やエビデンスが求められる審査項目もあるため、申請者が独自の見解や価値観をもとに自分自身で判断し、時間をかけて資料を揃えて申請しても、採択されない場合があります。

次項では、それぞれ公募要領における審査項目の読み解き方や、申請のポイント、注意点などについて解説していきます。

(1)技術面 ー「ものづくり補助金」採択の基本、3大審査項目を読み解くー

2020(令和2)年度の「ものづくり補助金」の4次公募要領には、「技術面」として下記のように記されています。

新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘〔設計・デザイン、アイデアの活用等を含む〕)の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか。*

試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

*グローバル展開型の場合は、別途要件が提示されています

なかでも特に注目したいのが
①「新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘…)」「革新的な開発…」です。
さまざまな解釈ができそうな表現ですが、中小規模の製造業における解釈の例としては、下記のようなものとなります。

  • 必ずしも世界初や日本初である必要はなく、地域や顧客、また、各審査項目を満たしていれば、自社において革新的な生産工程の改善となることでも構いません
  • 「『ものづくり補助金』の補助対象経費」でも少し触れましたが、製造業の場合、設備投資と技術面が密接に関わる場合がほとんどです。
    たとえば、新しい設備を導入することにより、従来よりも製造工程や検査工程などの効率化やコスト削減、生産性の向上、品質改善などを達成するという内容であっても、補助対象としての妥当性を示すことができていれば、採択されることは珍しくありません。
POINT 「技術面」の申請ポイント:審査員は、技術者ではありません
「技術面」での加点と採択につながるかどうかは、審査員が判断するための材料が提示できるかどうかです。審査員は製造技術のエキスパートではない可能性が高く、高度な技術の専門用語をいくら並べても、加点すべきかどうかの判断がつきません。先にピックアップした①「新商品・新サービス…革新的な開発」のほかにも、下記項目に関するポイントを解説します。
②課題・目標達成の明確化
課題や目標がきちんと整理されていて、事業終了後にそれらの目標が達成できているかどうかを判断するための基準が明確かが求められます。
③課題の解決方法の明確さ、妥当性・優位性
導入した設備によって課題を解決できることの明確さ。つまり、解決方法が「できるかもしれない」というような曖昧なものではなく蓋然性が高いか、また他社と比較して優位性が確保できるかが求められます。
④補助事業実施のための技術的能力
従来から取り組んでいることの延長であれば、それをしっかりとアピールします。しかし、たとえば、未経験の事業にチャレンジするという内容の場合は、本当に事業を遂行することができるのか疑われます。未経験の事業であれば、外部の企業や人間を巻き込むことを明示して、実行できることをアピールしましょう。
これらを数字や裏付けで表現するなど、設備投資の効果を具体的に明示できるかどうかが「技術面」においては重要です。

(2)事業化面 ー「ものづくり補助金」採択の基本、3大審査項目を読み解くー

「事業化面」は、4次公募要領にて下記のように説明されています。

補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。*

事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。*

補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

*グローバル展開型の場合は、別途要件が提示されています

申請者は「期待できるか」や「見込まれるか」、「検証できているか」、「妥当か」などの表現に戸惑うかもしれません。この「事業化面」では、審査員がそう判断できるかどうかが問われているためです。
自社だけでなく地域や業界などを考慮した客観的な視点が求められる審査項目であるため、申請者が独自に判断し記載することが最も難しい審査項目といえます。どのような情報をどう記載すべきかわからない場合は、専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。

POINT 「事業化面」の申請ポイント:投資先として妥当か、客観性を重視
申請者が補助事業を実行し成功させられるかどうかを判断するために重要なのが、「事業化面」です。申請において重要なポイントを下記に記します。
①補助事業実施のための体制・財務状況
特に書類整理等の事務手続きに対応できる体制があるか、また一時的に全額負担できるだけの財務状況はあるか、融資であれば相当金額を借入可能な財務状況かを記述します。
②補助事業の市場ニーズの考慮・市場規模の明確さ
外部の統計資料などを用いて、市場ニーズが実際に存在すること、ビジネスとして成立しうる市場規模であることを説明します。
③補助事業の優位性や収益性・事業化スケジュールの妥当性
補助事業により獲得できる能力(品質・価格・納期など)が、他社よりも優位性のあるものかどうか、また、しっかりとした収益性があるのかを説明します。さらに、設備導入から事業化(利益を得る)段階までにどのようなステップがあるかを具体的に説明します。
④補助事業としての費用対効果の高さ
設備投資額とそこから得られる便益を比較して占めます。投資よりも便益のほうが十分に大きいことを説明します。

(3)政策面 ー「ものづくり補助金」採択の基本、3大審査項目を読み解くー

「政策面」は4次公募要領において、下記のように説明されています。

地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を力強く牽引する事業を積極的に展開することが期待できるか。*

ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

バイオマス素材を用いた資源循環型プラスチック製品の開発等、環境に配慮した持続可能な事業計画となっているか。

新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。[特別枠のみ]

*グローバル展開型の場合は、別途要件が提示されています

「政策面」は、主に補助事業をどのように社会にアウトプットし、どんな影響を与えることができるかについて問われていることが公募要領からわかります。
④の特別枠は、2020年から新型コロナウイルスの影響で新たに課題になっていることですが、それ以外はいずれも現代のビジネスに求められている課題解決などが記載されています。

しかし、中小規模の製造業の場合、昔からビジネスのスタイルを変えていない(その必要がない)、また直接的にこのようなビジネスモデルを考えて実践できる立場ではないという中小企業も少なくありません。これらが実現可能なのか、読み解き方や申請のポイントを以下に示します。

POINT 「政策面」の申請ポイント:大風呂敷は不要、実現性が重要
経済誌やビジネスニュースで見かけるような単語が並んでいますが、申請する事業にマッチしていなければ意味がありません。大風呂敷を広げて申請し、採択・交付されても実行できなければ、補助金は給付されません。中小企業に求められていること、実現できることは何かを把握し、申請しましょう。
①地域の特性による付加価値・地域に対する経済的波及効果
たとえば、産業集積であったり、地域の事業者との連携であったり、また雇用増による地域経済への貢献などがあれば記載します。
②独自性の高い製品・サービス開発、適切なマーケティング、厳格な品質管理など
新商品開発をする事業であれば、記載しやすい項目です。そうでない場合は、厳格な品質管理、他を圧倒する短納期、低コストでの製造など自社が申請する内容に沿ったことを記載しましょう。
③環境に配慮した持続可能な事業計画か
補助事業の内容と一致していなければ、最先端の環境配慮技術について書く必要はありません。申請する事業における、材料の再利用や設備投資による省エネルギー化、CO²排気量の削減、不良品および廃棄量の削減など、実現可能なことを記載します。なお、この項目は必須事項で、Webフォームに入力欄があります。
④(※特別枠のみ)新型コロナウイルスの影響を乗り越えてV字回復できる計画か
設備投資による内製化や生産性向上によるコスト競争力の獲得、差別化、業務のテレワーク化など、新型コロナウイルスの負の影響を跳ね返すために必要な設備投資であることをアピールします。

「ものづくり補助金」の採択に有効な「加点項目」とは

補助対象者の条件への適合、技術面・事業化面・政策面という3つの核となる審査項目のほか、条件を満たすことによってさらに加点を積み上げることができる審査項目が「加点項目」です。つまり、各加点項目を満たすことで、より採択される可能性が高くなります。下記の項目が加点対象とされています。

成長性加点

「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」
これに当てはまる場合、加点されます。
「経営革新計画」とは、中小企業等経営強化法に基づく経営革新の支援策のことで、経営革新計画を申請し、都道府県の承認を得る必要があります(詳細は、中小企業庁のサイトなどをご覧ください)。
革新性などが厳しく問われ、申請・審査・承認に長い時間を要するため、すでに承認を得ている、または、承認取得予定である企業が加点対象となると考えてもいいでしょう

政策加点

「小規模事業者」または「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
上記のうちいずれかを満たしていれば加点されます。仮に両方の条件を満たしていても加点は1つとなります。なお、小規模事業者とは、製造業の場合、常勤従業員数が20人以下と定義されています。

災害等加点

  • 「特別枠の申請者(新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために設備投資等に取り組む事業者)」が特別枠で不採択となり、通常枠で再審査される場合に加点されます。
  • 「令和2年(2020年)梅雨前線豪雨などによる被災事業者(激甚災害指定地域に本社・もしくは補助事業実施場所が所在する者に限る)」に該当する場合、加点されます。対象となる災害はタイムリーに変化するため、必ず最新の情報を確認しましょう。
  • 「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」「事業継続力強化計画」とは、中小企業庁による中小企業向けの防災・減災対策計画の認定制度です。申請から認定まで通常で1ケ月半程度かかりますが、申請中であれば加点対象となるため、締切1〜2週間前でも間に合います(後日、認定取得後に証拠資料を提出するが必要あり、提出できない場合採択取消となります)。

賃上げ加点

  • 「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、または、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
  • 「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者などが制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」
POINT 「加点項目」の申請ポイント:エビデンスを正確に示せるかが重要
上記から最大7項目の加点が可能ですが、添付書類は最大5点とされています。それぞれエビデンスとなる書類を提出し、要件と合致すると認められてはじめて加点されます。
「加点項目」に該当するかどうか、また、エビデンスとなる書類は、どのようなものを用意するかは、「事業化面」と同様に申請者が独自で判断するには難易度が高いものです。
たとえば、加点項目の「賃上げ加点」で誤った内容を申請した場合、現実との乖離が生じ、支給された補助金を返納しなければならい事態も招きかねません。
特に公募締切りまであまり時間的な余裕がなく、日々の業務だけでも多忙で、公募要領を正確に読み解き、複雑なルールを理解する時間の余裕もないという方は、専門家の協力を得ることが有効でしょう。

「ものづくり補助金」には減点項目も

「ものづくり補助金」の審査には、加点項目だけでなく、減点項目も存在します。
「減点項目」とは、過去3年間に「類似の補助金」の交付決定を受けていた場合、交付決定の回数に応じて減点されるというものです。
「類似の補助金」として定義されているものは下記の通りです。

  • 平成28年度補正革新的ものづくり・商業・サービス開発支援事業
  • 平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業
  • 平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業

ここで注意点すべき点は、過去3年間の採択者が採択されないという意味はなく、あくまで減点であり、減点幅を上回る加点を得て採択された実例もあります。

まとめ:「ものづくり補助金」申請と採択の極意

ここまで説明したように、補助金の申請、採択を狙うにあたっての主要なポイント以下にまとめます。

  • 公募要領・審査項目を解釈して、自社と申請する事業、設備投資が補助対象となるか、スケジュール通り実行できるか確認
  • 各審査項目に対して、数字などともに客観的かつ具体的な裏付けを示せるか
  • 審査員が加点を判断できるエビデンスとして適切な資料を用意できるか
    (審査員は製造業の専門家でないことと同様に、中小製造業の申請者も補助金申請の専門家ではない)

補助金を使った設備投資、それによる増益と賃金アップは、企業にとっては大きなステップアップとなります。しかし、中小の製造業では、限られた人数で業務を遂行しているため、日々多忙です。製造・加工などのプロである皆さんであっても、補助金申請に関しては、申請する情報・資料の用意に戸惑ったり、多くの時間を要したりしてしまいます。

多忙な業務の合間を縫いながら独自の判断で申請しても、採択されなければ折角の努力も水の泡。申請にかかる労働力(コスト)に換算すると、無謀なギャンブルとも言えます。
特に、「事業化面」や「加点項目」など、適切な申請内容や提出書類の判断が難しい審査項目も含まれます。そこで、経験に長けたプロの専門家による協力を依頼することで、申請における時間や負担を減少させると同時に、採択される確率を向上させることができます。

次ページ以降では、製造業における「ものづくり補助金」の採択事例や、よくある質問と回答(FAQ)を紹介します。

この記事の監修者
株式会社フロウシンク
代表取締役/中小企業診断士
米倉 博彦
https://flowthink.jp/
  • 経済産業省認定 経営革新等支援機関(認定支援機関)
  • 中小企業庁ミラサポ 登録専門家
  • 公益社団法人 福岡県産業・科学技術振興財団 IoT推進コーディネータ

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