現場改善のヒント

3分でおさらい。「OEM」や「ODM」など、製造現場も知っておきたい受託形態

3分でおさらい。「OEM」や「ODM」など、製造現場も知っておきたい受託形態

日本のものづくり企業の多くが受託生産に携わっていますが、中小規模以上の製造現場では多くの人が仕事の受託形態に直接関与しません。しかし、「OEM」や「ODM」などのワードは少なからず耳にすることでしょう。
そこで今回は、受託者の立場から見た、これらのワードの意味や特徴、メリット/デメリットなどについて、3分程度でおさらいします。

この記事でわかること

OEMとは

OEM(オー・イー・エム)とは、Original Equipment Manufacturingの略で、受託者が生産業務のみを受託することを指します。
委託者が製品を設計して図面を用意し、生産を請け負う企業の試作品の品質を確認したうえで正式に生産を依頼します。

OEMを受託するメリット

生産の経験やノウハウが社内に蓄積されます。新しい製品や製法を用いる場合、自社の技術力向上にも繋がります。
また、工程の改善や工夫を重ねて生産効率や歩留まり率をアップできれば、利益を向上させたり、コスト面で競争力を増強したりできます。さらに、安定的に受託できれば、一定の稼働と売上を確保できます。

OEMを受託するデメリット

製品の販売状況や需要の変化を正確に把握できるのは委託者のみであるため、受託者は今後の生産量の先読みが困難な場合があります。増員や設備投資などは慎重に行わないと、費用回収が困難となり経営を圧迫するリスクが生じます。

また、守秘義務契約の内容によっては、自社の実績としてプロモーションに活用できない場合があります。両者に強い信頼関係があっても、企業間の契約から逸れると法的な問題に発展するリスクがあるため注意が必要です。

ODMとは

ODM(オー・ディー・エム)とは、Original Design Manufacturingの略で、受託者が、製品の生産だけでなく、設計やデザイン(意匠)なども請け負う形態を指します。また、マーケティング・流通・販売も含む幅広い業務を受託するケースもあります。

ODMを受託するメリット

製品に関係する幅広い業務を請け負うため、プロジェクトにおいてある程度の主導権を持つことができます。同時に、委託者の意向に沿うための努力は、自社の技術力向上に役立ちます。また、自社で包括的に業務をまかなうため、たとえば社内で多能工のリソースを調整するなど、工夫次第で利益の増加が可能です。

ODMを受託するデメリット

受託する業務範囲が広いほど、責任が大きくなります。製品の設計や生産などの業務に不備があり、契約通りの品質・性能・数量・納期などを満たさない場合、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任[かしたんぽせきにん])を問われることがあります。また、受託者側でも市場動向や需要を把握し、仕様やロット、予算などを適切に見積もらないと、委託者がプロジェクトから降りてしまうリスクもあります。

OEMとODMの違い・メリット・デメリットのまとめ

OEMとODMで受託する業務の違いやメリット/デメリットを以下の表にまとめます。

  OEM ODM
設計・製図 委託者 受託者
製品の生産 受託者 受託者
その他の業務 委託者 企画・マーケティング・販売なども包括的に受託する場合がある
受託者のメリット
  • 生産の技術やノウハウを蓄積できる
  • 人員や設備の稼働を確保できる
  • ある程度の主導権を持てる
  • 社内のリソースを有効活用できる
受託者のデメリット
  • 受託実績を自社のPRに活かせるとは限らない
  • 生産のみを行うため、需要が読みにくい
  • 受託する範囲に比例してリスクが大きくなる
  • 市場動向から外れるとプロジェクト自体が中止となるリスクがある

たとえば、生産において独自技術を持つ企業であれば、OEMの受託実績に注力し、安定した稼働を得ながら、生産規模を拡大するといった事業展開が考えられます。
一方、設計など広範囲の分野を得意とする企業であれば、ODMの受託実績を積むと同時に、生産部門の稼働も確保することができます。
また、設計部門を強化したい企業であれば、OEMに取り組みながらODMの受託も段階的に増やし、競争力を養いながら徐々に事業を拡大していくケースもあります。

「OBM」「PB」など知っておきたい、似て非なる用語

OEMやODMと似た意味を持ち、混同されやすい「OBM」や「PB」、「EMS」といった用語について解説します。

OBMとは

OBM(オー・ビー・エム)とは、Original Brand Manufacturingの略で、自社ブランドの製品を自社で生産することです。もともと自社工場を持つメーカーではなく、OEMやODM事業から発展した形態を指します。
インターネット通販の普及で販路が多様化し、国内外のOEM・ODM企業が培った技術力やノウハウを活かすことで、かつては委託者だった大手メーカーの競合となったり、大手とは異なる市場を獲得したりといったケースも珍しくなくなりました。

PBとは

PB(ピー・ビー)とは、Private Brandの略で、そのまま「プライベートブランド」とも呼ばれます。店舗を多く持つスーパーマーケットやコンビニ、ホームセンターなど小売業がOEMまたはODMを委託して製品を販売する場合に使われる表現です。PBの食品であれば、OEMまたはODMを受託した企業名や所在地が製品パッケージの製造者欄に記載されます。

EMSとは

EMS(イー・エム・エス)とは、Electronics Manufacturing Serviceの略で、電子機器に特化したOEMまたはODMを意味します。欧米のコンピュータや電子機器を販売するメーカーが、半導体製造に長けたアジアの企業にOEMやODMを委託することが代表的な例です。

複数の受託形態を並行したり、拡張したりすることも可能

OEMやODM、加えてOBMまでも並行している企業は数多く存在します。たとえ現在はOEMだけを受託している企業であっても、設計開発部門を強化すれば、ODMに取り組むことができます。
さらに、ブランディングやマーケティング、流通などについて学んだり外部の協力を得たりすることで、OBM事業を展開することも可能です。そのため、日頃からビジネスのさまざまな分野に興味を持って学んでおくことも大切です。会社が事業拡大に取り組むことになったとき、そうした好奇心や得た知識が役に立つかもしれません。

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