現場改善のヒント

意識しだいで効果が変わる!?
指さし確認でヒューマンエラーを軽減

意識しだいで効果が変わる!?指さし確認でヒューマンエラーを軽減

機械が動く方向を見て、指をさして誰もいないことを確認し、「ヨシ!」と声を出してから機械のスイッチを入れる。このような「指さし確認」による安全チェックは、製造業に限らず、多くの現場で行われています。安全チェックのほかにも、作業手順の確認や工具や部品の種類の確認など、さまざまな作業で指さし確認が実施されています。
この指さし確認を、決められたルールとして漫然と行っていないでしょうか。指さし確認は昔から行われているアナログな手法ですが、ヒューマンエラーの発生率を大幅に下げることが確認されています。ただし、期待する効果を得るためには、正しく指さし確認を行うことが重要です。指さし確認の効果や手順について解説していきます。

この記事でわかること

指さし確認の効果

「指さし確認」による安全チェックは、もともと蒸気機関車の運転士が信号確認で行っていたといわれています。現在でも、駅のホームで電車が発車する際に駅員が指さし確認を行っている姿を目にします。航空業では、客室乗務員によるドアの開閉確認や計器のチェックなどで指さし確認を行います。運送業ならば車両の運行前点検や交差点侵入などの際に、建設業ならば足場の確認や重機の移動時などに行われています。もちろん製造業でも、多くの場面で指さし確認が活用されています。

さまざまな業種で指さし確認が導入されているのは、エラー防止効果が高いことが明らかになっているからです。指さし確認が効果を持つ理由として、以下のことが挙げられます。

確認対象を正しく視認する

視野の広範囲に複数の確認箇所がある場合、目視のみでは見落としや見間違いが発生する可能性が高まります。指さし行為によって、見ているものに視線がとどまり、正確かつ鮮明に視認することができます。

焦りによる確認不足の防止

急いでいたり、焦っていたりすると、確認と判断を行う前に次の動作に移り、エラーが発生する可能性があります。指さし行為は、知覚と反応の間にタイムラグを作り、確認不足を抑制します。

意識を確認対象に集中する

対象の名称を思い出して発声するため、意識が対象に集中し、記憶の形成がより確かになります。意識の方向づけがしっかりと行われることによって、作業への集中力や緊張感が高まることも期待できます。

エラーに気づきやすくなる

指さし確認は、目視・指さし・発声を併用した多重確認です。確認の精度が高まることによって、手順の抜けや確認対象の位置のずれ、道具の不足など、異変にも気づきやすくなります。

意識レベルが向上する

指さし確認の一連の動作は、発声や手・腕の筋肉運動が刺激になり、脳の認知機能を活性化するといわれています。意識を覚醒させて正常でクリアな状態に導き、脳が的確に情報を処理できるようになると考えられています。

単純な動作のようでも、指さし確認で得られる効果は多大です。指さし確認の効果検定実験では、指さし確認の一連の動作を行った場合の作業ミスの発生率は、行わなかった場合と比べて約6分の1になるという結果を得ています。

指さし確認の手順

指さし確認の手順を4つに分けて解説します。

1:対象をしっかりと見る
最初に対象となるものに目を向けます。何が対象であるのか、何を確認するのかを意識しながら、しっかりと見ます。
2:呼称しながら対象を指をさす
対象を見ながら名称を言うとともに、腕をしっかり伸ばして対象を指さします。この動作により、指さしたものと声に出したものは同一であることが確認されます。同時に、対象自体の状態や、対象の周辺の状況にも意識を向けます。
3:指さした手を耳元にかざす
指さした手を耳元にかざし、対象が本当に問題ない状態なのか改めて確認します。周辺の状況も考えながら、すぐに工程を進めても良いかどうかを判断します。
4:手を振り下ろしながら声を出す
問題ないと判断できたら「ヨシ!」と声を出しながら、対象に向かって手を振り下ろします。これにより、確実に確認を行ったことが自分自身にも、周囲にも認識されます。
何も意識せずに指さしと声出しだけを行っても、指さし確認の効果は期待できません。ひとつひとつの動作を確実に行うこと、自らの意識に話しかけるつもりで声を出すことが効果を高めるポイントです。

指さし確認で意識を高めて危険を予測

指さし確認は、先を予測して危険を回避する効果も期待できます。たとえば、機械の移動方向を目視したところ、人や物がなければ問題がないと考えられます。しかし、きちんと指さし確認をすると、周辺の状況にも意識が及ぶので、異変に気づきやすくなります。すぐ横にいつもはない在庫の山があることに気づいたら、あの陰に人がいて突然飛び出すことはないか、万が一、あの在庫が崩れてきたら危険ではないか、といった危険が予測できます。

製造現場では、ミスや事故を起こさないように、常に「もしかして」「万が一」を考えて行動することが求められます。指さし確認を意識的に行えば、単に人がいないことを確認するだけではなく、危険になりうる周囲の状況にも注意が向けられ、危険発生の要因を予測することも可能になります。指さし確認は、実施する目的や重要性を意識しながら正しく取り組むことが大切です。

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