IC部品が静電破壊している

トラブル内容

電子回路基板にフラックスのスプレー塗布、スプレー洗浄、防湿コーティングなどスプレーで液体を噴きつけることがある。液体を噴射すると基板が帯電する。基板の電位が放電するレベルに達すると放電し、静電気に弱い半導体素子が静電破壊することがある。防湿コーティングではすべての部品を基板に実装したあとに行うので、素子が静電破壊するとダメージが大きい。

電子回路基板へのスプレー噴射の様子

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静電気の発生と帯電

ノズルから液体を噴射するとき液体とノズルとの間で流動帯電が起きる。帯電した液体は電荷を持った液滴になりノズルから飛び出す。帯電した液体の電荷が電子回路基板に蓄積し電位が上昇する。図5-114 に液体が帯電して噴射されるモデルを示す。

図 5-114 液体が帯電して噴射するモデル( 噴出帯電)

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スプレー塗布の静電気現象

ノズルと液体で流動帯電が発生し電荷を持った液体が電子回路基板へ噴射される。電子回路基板はこの電荷を受け取り帯電する。この様子を示したのが図5-115 である。スプレー噴射によって電子回路基板は6kV 以上に達している。
電子回路基板の電位が上昇すると、電子回路基板を支えているジグと電子回路基板の間で放電が起きて静電気に弱い素子が破壊する。ノズルが金属などの導電性で接地に接続されている場合は、ノズルから液体への電荷の移動が制限されないので、電子回路基板への電荷供給が多くなる。液体が水溶性液体などの導電性であった場合でも、容器や配管がプラスチックなどの非導電性であれば帯電した液体が噴射される。

図 5-115 スプレー塗布で帯電する電子回路基板

図5-116 は、PP 製の水差しに入れた水をステンレス製のカップに注いでいる実験である。使用している水は水道水であり超純水ではない。ステンレス製のカップは机とは絶縁し表面電位計で、その電位を測定している。これは簡易なファラデーケージである。PP 製水差しの内壁と水差しに入れた水が流動帯電し、電荷を持った水がステンレス製カップに注がれるのでステンレス製カップは電荷を受け取り電位が上昇する。水差し内の水が一部でも接地された金属に触れていると、帯電した電荷は金属を通じてアースに拡散されるのでこの現象は起きない。

図 5-116 水を注ぐと帯電するステンレス製カップ

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除電方法

除電方法は、電子回路基板の除電と液体の除電の2 つを考えなければならない。液体の帯電を防ぐことができれば、電子回路基板の帯電は、スプレーが要因ではなくなるので、静電気対策は電子回路基板の搬送や作業者などへの対策となる。電子回路基板の除電は、接地への接続を基本とする。
電子回路基板を接地に接続すれば、受け取った電荷を接地へと流すことができるので、電位上昇を防ぐことができる。すべての入出力端子を接続したり、接続にジグを用いると使っているうちにジグが汚れて接触不良が起きたりする。作業効率と確実性を考えると、接地に接続することは現実的ではないことが多い。したがって除電器を導入することになる。
液体が導電性であれば、液体の帯電は接地することで防ぐことができる。帯電した電荷を接地へと拡散させるために、ノズルを金属製にして接地へ接続する。ノズルがプラスチック製であれば、液体に常時、触れている部分を金属製にして接地する。

導電性液体の対策方法

液体が絶縁体の場合は接地するという手段では帯電を完全に防ぐことはできない。したがって除電器で電荷を持った液滴を除電するか、電子回路基板の電位が放電電圧に達する前に除電することになる。
スプレーは電荷を持った液滴を連続して供給している。除電器はスプレーで供給される電荷以上のイオンを供給しなければならない。またスプレーしている場所は、液滴が空中を舞っているので、液滴が除電器に付着しないよう、離れた場所に除電器を設置しなければならない。したがって、長距離のイオン搬送ができる気流搬送する除電器を用いる。バータイプまたは、ブロアタイプの除電器を使用し、スプレーに影響を与えない程度にエアの流量および風量を調節する。除電器のイオンバランスが悪いと電子回路基板を帯電させてしまうので、除電器のイオンバランスが良いものが必要である。

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対策例

除電器は、イオンを気流搬送する除電器を用いる。バータイプまたはブロアタイプをスプレーの液滴が付着しない場所に設置する。

防湿コート処理をした後に除電器を設置する例 部品の接着固定作業での除電器設置例

粘度の高い接着剤を塗布する場合は液滴が飛び散りにくいので、除電器を除電対象の近くに設置できる。したがってイオンを電界搬送するタイプの除電器がよい。エアを使用しないのでノズルから出た接着剤が風で乱されることはない。

アンダーフィル塗布 液晶パネルのシール剤塗布

対象としている電子回路基板が静電気に対して敏感であるとき、除電器が出す電界に注意が必要である。市販のプレートモニタでは、応答速度に制限があるため検出できない場合がある。LED を使用した簡易モニタで除電器が出す電界のチェックが簡単にできる。
DC タイプで電界搬送する除電器を使用するときは注意が必要である。
イオンバランスの空間分布が大きいため、電子回路基板からできるだけ遠ざける必要がある。遠ざけると電界では十分にイオンを搬送できなくなるので、気流搬送を行わなければならない。

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