シール剤の塗布で蛇行する

トラブル内容

接着剤やシール剤を塗布する工程は、液晶パネルの貼り合せ、半導体素子を基板に半田付した後のICチップ保護用アンダーフィル、自動車用エンジンのシリンダヘッドの液状ガスケット、段ボール箱のホットメルト封函、紙おむつのホットメルトなど多岐にわたる。接着剤は非導電性のものが多くノズルから出るときに帯電する。静電気によって接着剤やシール剤が意図しない場所についてしまうことがある。

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ノズルとシール剤での静電気現象

接着剤やシール剤などの被導電性の液体はノズル内壁と摩擦して帯電する。図5-57にノズルでの帯電のモデルを示す。

ノズルとシール剤での静電気現象

ノズルが金属製だと電荷をいくらでも供給できるため帯電量が多くなる。被着物(段ボールなど)は塗布工程まで搬送されているときに、ローラー等で摩擦帯電したり定盤で剥離帯電したりする。液滴と被着物が帯電しているとクーロン力によって、滴下した液滴は意図しない場所に付いてしまう。

ノズルとシール剤での静電気現象

液滴と被着物が帯電しているとクーロン力が働く、ふたつが同極性であれば反発力となり逆極性であれば吸引力となる。被着物を無限に広がる平面とし、電荷密度σ[C/m2]で帯電しているとする。そのときの電界強度E[V/m]は、式(5-11)で表される。

ノズルとシール剤での静電気現象

電界強度E は平面からの距離dに無関係に一定である。液滴を球体として電荷Q[C]を持っているとすると液滴と被着物に働くクーロン力f[N]は式(5-12)で表される。

ノズルとシール剤での静電気現象

式(5-11)、(5-12)から、液滴に働くクーロン力fは、式(5-13)で表される。

ノズルとシール剤での静電気現象

液滴と被着物に働くクーロン力は、液滴の大きさr も被着物と液滴の距離dに依存せず、液滴が持つ電荷Qと帯電した被着物の電荷密度σで決まる。

<例>
液滴の大きさを直径3mm、比重1.0 の球体とする。被着物が電荷密度σ=10-6C/m2で帯電し、液滴が電荷Q=10-9Cで帯電しているとする。

▼クーロン力の計算
液滴が受けるクーロン力は、式(5-13) から5.6×10-5Nとなる。
▼重力の計算
液滴の質量はおよそ1.4×10-6kg なので液滴に働く重力による力は、1.4×10-4Nである。

液滴に働くクーロン力は重力による力の約40% と無視できない。被着物が均一に帯電することはないので、図5-59、図5-60 に示したように液滴はクーロン力によって曲がってしまう。

ノズルとシール剤での静電気現象

ノズルと液体が導体であって液滴が帯電していなくても、被着物が帯電すると図5-61のように液体の中に誘導電荷があらわれ液体は意図しない場所に滴下してしまう。

ノズルとシール剤での静電気現象

コラム

簡単な実験でこの現象を再現できる。図5-62のように、水道の蛇口を調整して糸を引くように水を出す。帯電した樹脂の棒や板を水に近づけると、まっすぐ落ちていた水が帯電しているフッ素樹脂棒に引き寄せられ曲がるのが観測できる。

ノズルとシール剤での静電気現象

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除電方法

ノズルと液体が導電性であれば液体は帯電しないので被着物を塗布工程前に除電すればよい。被着物(紙やシートなど)の除電方法は「ロール搬送でシートを巻き込む」の項を参照していただきたい。
液体が非導電性の場合は塗布する工程で被着物と液滴の両方を除電する。塗布する液滴がエアで乱れないようにイオンの搬送は電界搬送を用いる。
DC タイプ除電器でイオン搬送を電界搬送で行っているものは、除電器の電界により液滴が曲がる可能性がある。図5-63のように、電気的な中央の位置ならば液滴は曲がらないが、中央の位置からずれると液滴は曲がる。

除電方法

AC タイプの除電器を使用する場合は、その動作周波数に注意する必要がある。ACタイプ除電器はプラスイオンを生成している期間とマイナスイオンを生成している期間で交互にイオン発生を行う。ACタイプ除電器は液体が帯電と除電を繰り返し除電を行う。10Hz以下の低い動作周波数では帯電と除電が顕著に現れ、液滴が振動するのが見える場合がある。高い動作周波数を選択することでこの問題を解決できる。周波数が高すぎると、電界搬送の効果が低減するので、適切な周波数を調整して選ぶ必要がある。除電器と液滴の距離にもよるが、20~100Hzで選ぶのが良い。

除電方法

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対策例

除電器はAC タイプ除電器でイオンを電界搬送しているものを選ぶ。設置距離により最適な周波数があるので動作周波数を変更できる機能があったほうが良い。図5-65に示したのはスポットタイプ除電器の例であるがバータイプ除電器を用いても良い。

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