印刷したインクがにじむ、はねる、飛ぶ

トラブル内容

スクリーン印刷は版に画像や文字に合わせて穴が開いたスクリーンと言われる孔版を使用する印刷方法である。その印刷手順は、まず被印刷物の上にスクリーンを重ね、スクリーンの上にインクをのせる。スキージ( ゴム製のワイパーのようなもの)でインクをならすことでインクを版の穴から押し出し、被印刷物にインクを付着させる。スクリーン印刷の手順概要を図5-66 に示す。また図5-67にスクリーン印刷機のイメージ図を示す。

図 5-67 スクリーン印刷機のイメージ図

スクリーン印刷では静電気が原因で図5-68に示したような印刷不良が発生することがある。インク(印刷する塗料)がにじむ、はねる、飛ぶなどのトラブルは、印刷物の外観不良というだけのトラブルではない。半田のクリーム印刷や電子部品の微細配線などもスクリーン印刷で形成する技術が普及しており、このような用途では配線の短絡などのトラブルになる可能性がある。

図 5-68 印刷不良の例

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静電気の発生と帯電

スクリーン印刷では、スキージでスクリーンをこするので摩擦帯電が発生する。スキージはウレタンゴム製であることが多い。スクリーンはポリエステルなどの化学繊維が基材であったり、半田のクリーム印刷ではステンレス製であったりする。スキージは非導電性であることが多いが、スクリーンは導電性も非導電性も両方ある。異なる材質のものをこすり合わせるので摩擦帯電が発生する。図5-69にスクリーン印刷での摩擦帯電のモデルを示す。それぞれ印刷の開始、静電気の発生、帯電の状態を表わしている。

図 5-69 スクリーン印刷での摩擦帯電のモデル

摩擦帯電だけではなくスクリーンを被印刷物にスキージで密着させるため、スクリーンと被印刷物を分離するときに剥離帯電が発生する。図5-70にスクリーン印刷での剥離帯電のモデルを示す。それぞれスクリーンと被印刷物の接触、電荷の移動、帯電、スクリーンの剥離の状態を表わしている。

図 5-70 スクリーン印刷での剥離帯電のモデル

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スクリーン印刷の静電気現象

インクが飛び散る現象は、被印刷物からスクリーンを分離するときに起きる。クーロン力によってインクがスクリーンに引き寄せられインクが飛ぶ。飛んだインクが被印刷物に付着すると文字がにじんだり、文字とは別のところにインクが付着したりする。また飛んだインクがスクリーンに付着すると、スクリーンが汚染され印刷物に汚れが発生する。図5-71に印刷不良のしくみを示す。

図 5-71 印刷不良のしくみ

スクリーンが金属製で接地されて帯電していなくてもインクおよび被印刷物が帯電していると金属であるスクリーンに誘導電荷があらわれる。その誘導電荷にインクが引きつけられインクは飛ぶ。
接地した金属にインクが引き寄せられる実験をした例を図5-72に示す。電圧をかけた金属板にインクを滴下し帯電させ、接地した金属棒を近づけたときの写真である。金属板が帯電した被印刷物、金属棒がスクリーンに相当する。インクが金属棒に向かって飛ぶ様子が見られる。

図 5-72 帯電したインクが金属棒に引き寄せられる実験の例

液体を静電気で飛ばすしくみを利用したものに、静電霧化という技術がある。静電霧化は液体を微粒子のように細かくできる。また電界を利用して液体の粒子の運動を制御することができる。このような特徴から静電霧化はインクジェットプリンタや生活家電などに利用されている。

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除電方法

スクリーンと被印刷物は全面が接触しているのではなく、わずかに隙間がありスキージを押し付けている周辺が密着する。スキージを押し付けている場所で摩擦帯電や剥離帯電をしている。したがって除電が必要な場所はスキージに合わせて移動する。スキージの移動範囲( 印刷範囲)全体を除電するために除電器は広範囲を除電できることが要求される。またスクリーンと被印刷物との接触と分離は短時間で行われるため除電時間が短いことが要求される。スキージが高速に移動するものほど除電時間が短い除電器を選ぶ必要がある。広範囲を短時間に除電するためにはイオン搬送方法は電界搬送よりも気流搬送が適している。
インクは揮発性の溶剤を使用していることが多い。揮発性の有機ガスは除電器のコロナ放電によって分解し粒子化して電極に付着する。有機ガスの分解生成物が電極に付着すると、良好なコロナ放電が維持できなくなり除電器の性能は低下する。したがって電極の針先が汚れるのを防止する構造を搭載した除電器を選定する。汚れを防止する構造が無い除電器は電極が早く汚れるため電極メンテナンスの頻度が増加する。

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対策例

針先の汚れを防止する構造を持ったバータイプ除電器を用いる。広範囲を除電するためにエアを使用して印刷面全体が除電できるようにする。図5-74に示したようにスキージが除電器から近くても遠くても除電時間が短くなければならない。選定ポイントは距離が離れたときの除電時間である。ただし除電器に供給したエアがインクの乾燥時間に影響するのを防ぐため消費エア流量はなるべく少なく除電時間が短い除電器がよい。

対策例

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