部品が貼り付いて動きが悪い

トラブル内容

パーツフィーダはボウルと呼ばれるレールのついた円筒状の容器を振動させることで部品を搬送する。部品はボウルのレール上を、向き(姿勢) を整えられながら移動し、シュートと呼ばれる搬送部に送り出される。帯電した部品はクーロン力によってボウルやシュートに引き付けられて移動速度が低下する。引き付ける力が強ければ停止してしまう。また静電気を帯びた部品同士はお互いの反発力や吸引力で姿勢が変わり、ボウルやシュートに引っかかり停止することもある。

パーツフィーダのイメージ図

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静電気の発生と帯電

パーツフィーダでは部品搬送をするための振動によって、部品はボウルやシュートとの間で摩擦や剥離を繰り返し静電気が発生している。ボウルやシュートの材料には部品と同じような帯電列(図1-3)の材料を選ぶことができれば静電気の発生量を少なくできる。しかし実際には部品とボウルやシュートを同じ材質にすることは不可能である。部品とボウルやシュートが導体(金属など)であれば、摩擦や剥離で発生した静電気は接触するたびに放電するので静電気によるトラブルは発生しない。ただし金属部品であっても塗装やアルマイトなどの絶縁皮膜でコーティングすると静電気トラブルが発生する。

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部品とボウルやシュートとの静電気現象

ボウルやシュートは金属であることが多い。帯電した部品に誘導されて金属であるボウルやシュートには部品に帯電した電荷と逆極性の電荷が誘導される。この電荷を影像電荷といい部品とボウルやシュートとの間には式(5-7)で示す影像力(図5-35)が働く。接触していると距離dが小さいので少ない帯電量でも非常に大きな力が発生する。部品はこの影像力によってボウルやシュートに引き付けられて移動速度が低下する。

(5-7)

図 5-35 影像力

部品と接触するボウルやシュートにコーティングや塗装を施すことがある。コーティングは部品との潤滑を良くしたり、その材質を部品と帯電傾向が近いものにして静電気発生量を抑制したりできるので搬送トラブル防止に役立つ。コーティングが絶縁コーティングで帯電していない場合を考える。コーティング膜厚は部品の接触面の大きさに対して十分に薄いとする。この場合の影像力は導電性のコーティングと変わらない。これを図5-36に示して説明する。部品に帯電した電荷が形成する電界によって絶縁膜であるコーティングは分極し、コーティング表面には分極電荷が現れる。コーティング膜厚が部品との接触面の大きさに対して十分に薄いとしたので分極電荷の大きさは部品が持っている電荷の大きさにほぼ等しい。これは絶縁体のコーティングがない金属の場合とほぼ等しいクーロン力が部品に働くことになる。
コーティングが厚い場合は絶縁コーティングの誘電率によって分極する電荷が異なる。誘電率が小さければ分極電荷が小さく働くクーロン力も小さい。

図 5-36 絶縁コーティングが帯電していない場合( コーティングが薄い)

コーティングが絶縁コーティングで帯電している場合を考える。膜厚が十分に薄ければ図5-37に示したように、帯電による真電荷はボウルやシュートに表れる誘導電荷で打ち消しあう。この場合はコーティングの帯電は部品に対して大きな影響を示さない。絶縁コーティングが帯電していない場合(コーティングが薄い)と同じである。

図 5-37 絶縁コーティングが帯電している場合( コーティングが薄い)

帯電した絶縁コーティングで膜厚が厚い場合を考える。この場合はコーティングの帯電を考慮しなければならない。部品とコーティングがともに帯電している場合は、お互いが持つ電荷の極性によって反発したり吸着したりするのは言うまでもない。図5-38に示したように部品が帯電していなくてもコーティングが帯電していれば部品は分極し、コーティングの帯電電荷と部品の分極電荷との間に引き合う力が働く。引き合う力は部品の分極度合いに依存する。部品が分極しやすい物質、すなわち比誘電率の大きい物質では分極度合いが大きく引き合う力も強くなる。部品が導体(金属など)であれば比誘電率が無限大であるのと同等である。金属部品を扱う場合に、パーツフィーダに潤滑性を持たせるためフッ素樹脂コートを施すことは金属部品のすべりは良くなるが静電気トラブルを発生させる要因になりうる。

図 5-38 絶縁コーティングが帯電した場合( コーティングが厚い)

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除電器の選定と除電方法

パーツフィーダは振動で絶え間なく静電気を発生しているため、除電器には静電気の発生量に勝るだけのイオンを供給する能力が求められる。除電器を選定する場合はできるだけイオン供給量が多い、すなわち除電時間が短い除電器を選定する。場合によっては複数台の除電器を用いることも検討する。パーツフィーダで扱う部品は小さいものが多い。したがってイオンを気流搬送している除電器では部品を吹き飛ばすことがあり、せっかく静電気対策を行っても除電器からの風で別の搬送トラブルを引き起こす場合がある。気流搬送タイプの除電器では部品が吹き飛ばないように供給エア量や風速を制限したり、距離を離して設置したりする必要がある。イオンを電界搬送している除電器では部品が吹き飛ばされることはないがイオンの供給量は少ない。部品の大きさや重量によってイオンの搬送タイプを選定する。
除電器は高電圧電源の種類によって分類するとDCタイプ除電器とACタイプ除電器がある。DCタイプ除電器で電界搬送をするのはこの事例では望ましくない。DCタイプ除電器はSSDCタイプ除電器とパルスDCタイプ除電器のことを表わす(「3.4 高電圧電源による分類」の項を参照)。図5-39にDCタイプ除電器の概念図を示す。

図 5-39 DC タイプ除電器の概念図

DCタイプ除電器はプラスとマイナスの電圧を印加するそれぞれの電極があり、プラスイオンとマイナスイオンを生成する場所が異なる。金属板の上に置いた部品と、その部品の上に除電器を配置し部品が分極する様子を図5-40の(a)(b)(c)に示す。
図5-17のような配置ができないようであれば、図5-18のように反対面から行うことも可能である。

(a)
プラスイオンを出す電極の近傍では部品が分極し、金属板には部品の分極電荷によって誘導された誘導電荷が現れる。部品には金属板と引き付けあう方向にクーロン力が働く。
(b)
マイナスイオンを出す電極の近傍では部品が分極し、(a)と同様に部品と金属板が引き付けあう方向にクーロン力が働く。
(c)
プラスの電極とマイナスの電極の中央に部品を置く。この場合においても部品と金属板は引き付けあう方向にクーロン力が働く。

図 5-40 DC タイプ除電器の配置と部品の分極

DCタイプの除電器では部品がどの場所に置かれても、部品と金属板が引き付けあう方向にクーロン力が働く。DCタイプの除電器を選定せざるを得ないときは、イオンを電界搬送するタイプではなくエアパージやファンなどを利用した気流搬送するタイプを用いる。
電界搬送で除電するならばDCタイプの除電器ではなくACタイプの除電器が良い。ACタイプ除電器はひとつの電極からプラスとマイナスの両極性のイオンを発生する。プラスマイナスのイオン発生が周期的に切り替わるので部品の分極は絶えず変化する。図5-41にACタイプ除電器の概念図を示す。

図 5-41 AC タイプ除電器の概念図

金属板の上に部品を置き、その部品の上に除電器を設置する。図5-42にACタイプ除電器の配置と部品の分極の様子を示す。

(a)
プラスイオンを生成しているとき。
(b)
マイナスイオンを生成しているとき。
(c)
電極に印加している電圧の極性が切り替わるとき。

図 5-42 AC タイプ除電器の配置と部品の分極

(a)と(b)の差はイオン及び分極電荷の極性が異なるだけである。(a)および(b)の状況では部品と金属板には引き付けあう方向にクーロン力が働いている。極性の異なる(a)と(b)は交互に繰り返して、切り替わり時には(c)のような部品が分極していない状況が存在する。このときは部品と金属板にはクーロン力が働いていないのでパーツフィーダの振動により部品が搬送される。これはDCタイプ除電器と異なる特徴である。

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対策例

小さく軽い部品を搬送する場合、除電器はACタイプ除電器でイオンを電界搬送しているものを使用する。形状はスポットタイプで部品が停止してしまう場所を狙う。エアを使用する場合は部品が吹き飛ぶようなエアの使用は控える。

スポットタイプ除電器の使用例

ボウルやシュートに絶縁コーティングや塗装をしているときは、ブロアタイプ除電器を併用して絶縁面を広範囲に除電すると効果が高くなる。選定するブロアタイプ除電器はイオン噴出し口に接地電極が配置されているものが良い。電極の電界が除電対象に影響しないようにするためである。

ブロアタイプ除電器の使用例

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