電荷量と電界

電界内に電荷を置いたとき、その電荷に力が働くことで起こる移動を電流と呼びます。これは、電子の多い(電位の大きい)場所から電子の少ない(電位が小さい)場所へと移動する流れを示すことになります。
物質に電流が流れる場合には、そこに必ず電界が存在します。すべての物質には電荷を運ぶものが含まれています。

電気には、プラスとマイナスがありますが、物質はこのプラスとマイナスに帯電した小さな粒子で構成されています。この物質を構成しているものが原子であり、プラスやマイナス帯電した粒子はこの原子の中にあります。

通常、これらの粒子は原子の中では電気的に中性であり、バランスがとれた状態です。しかし、物質同士の接触などの影響により、下図のように、電子の移動が起こります、電子を受け取った方がマイナスに、放出した方がプラスに帯電します。この電子交換が多くの静電気トラブルの主な原因なのです。

原子の世界の電子の移動

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クーロンの法則

このようにして、帯電した物体同士が近づくと、同じ極性の静電気は反発し合い、違う極性の静電気は引き付け合うというような力が働きます。
この時に発生する電気的な力を「クーロン力」(単位は[N])といい、その電荷量と力の関係が「クーロンの法則」により示されています。

数式

大きさが測定できないような極めて小さな物体に帯電している電荷を点電荷といい、真空中に電荷量Q[C]の点電荷Aに電荷量Q’[C]の点電荷Bが接近し、その距離をr[m]としたときに、クーロンの法則で静電気力Fを計算すると、BとAの距離r[m]の2乗に反比例し、Aの電荷量とBの電荷量の積に比例することになります。

比例定数で、ε0は真空の誘電率(8.85×10-12[F/m]:ファラッドパーメートル)とよばれる定数です。
このクーロン力は、2つの電荷が同極性の場合は反発力、違う極性は吸引力となり、これを重力の加速度9.8[m/s2]で割ると[kg]になります。

【例】

数式

2つの点電荷1[C]とー1[C]、その距離が1[m]のときの静電気力(F)は、右の通りになります。

これによると、約100万トン重の作用力となり、つまり、100万トンの重量物を持ち上げる力に相当します。この1クーロン[C]という単位はあまりに大きすぎるもので、現実的には、1[m]4方の高分子フィルムを摩擦帯電させたときの帯電量、約10-5[C]程度が用いられることになります。

【クーロンの法則】

クーロンの法則の発見は、ギリシャ時代の哲学者タレス(Thales BC.640-546年)だといわれているが、この説を正式に法則化したのが、クーロン(1739-1806年)であり、1785年に発表されている。

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電界

電界

電界(電場)とは、帯電した物体の回りに存在し、その電荷に働く力の存在する領域と考えます。例えば、ある空間に点電荷が存在することで、その回りの空間が特別な性質を持つことになり、そこに別の点電荷を持って来ると、その空間の作用により持ち込んだ点電荷に力を作用させる、いわば「電荷の勢力範囲」と考えます。そして、その勢力は図あのように、中心から遠ざかるにつれて小さくなります。この電界の強さを「電界強度」といい、図のように、中心から外側に拡がり、遠ざかるほど電界強度は弱くなります。

その性質上方向性を持つことになるので、表示にはベクトルを使用します。電界を表すには、その強さだけでなく方向も関係します。

空間に点電荷Q[C]が存在し、その電荷上に働く力をF[N]とした場合の電界強度は、

E=F/Q[V/m]

電界の単位[V/m]は単位距離あたりの電位差を表します。逆にすると、

F=QE[N]

となり、これが電界中に置かれた電荷に作用する力、つまり「クーロン力」です。
以上の数式より、点電荷の作り出す電界強度は、

数式

電荷量Q[C]の点電荷があると、その回りの空間は電界強度は点電荷からの距離r[m]の2乗に反比例します。

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電気力線

電界の方向は、プラスの電荷から出てマイナス電荷へと向かう方向になります。
電気力線とは、下図のように、電界の方向を描いた仮想の線です。電気力線の方向が電界を示し、プラス側からマイナス側に向かっています。下図のように帯電体(導体)の場合は、電気力線は表面から垂直に出ています。このとき、帯電体の表面電荷が同じ密度で帯電していると、電気力線も同じ間隔になります。密度は電位の高さを示しており、電気力線の数が多く間隔が狭いところは電界が強く、逆に本数が少なく間隔が広いところでは電界が弱いことがわかります。

電気力線の図

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ガウスの定理

電界にある電荷が存在するとき、その量や形状により電界を計算する方法があります。これを「ガウスの定理」といい、接近した帯電体が電界に作用する電気力を計算することで、静電気障害への対策に役立ちます。
下表は、「ガウスの定理」による計算式です。
下表の「ガウスの定理」で、電荷分布の状態に対しての点や線の回りにある電界を計算すると、帯電物の誘導率と電界強度は反比例し、電気力線の密度と電界強度は比例することが示されています。つまり、先端が尖った形状である場合、その部分の電気力密度が大きくなり、電界が高くなることになります。

ガウスの定理による電界の計算

電荷の形態 電荷量 電界[V/m]
点電荷 Q[C] E=Q/4πε0r2
線電荷 λ[C/m] E=λ/2πε0r
面電荷 δ[C/m2] E=σ/ε0 導体
E=σ/2ε0 絶縁体
円筒 ρ[C/m2] E=ρr/2ε0 円筒内
E=a2/2rε0 円筒外
ρ[C/m2] E=ρr/3ε0 球内
E=ρa3/3ε0r2 球外

帯電体の中心からの距離:r、帯電体半径:a、真空の誘電率:ε0

【例】

1[C]の点電荷を作る電界
点電荷から電界の距離が1[m]の場合、

数式

これは、空気中の絶縁破壊強度3×106[V/m]と比較すると、おおよそ1000倍にもなり、これは雷による放電に相当するもので、実用的ではありません。
例えば、プラスチック表面を布で摩擦したときの帯電量は単位面積あたり10-5[C/m2]程度ですので、表面に帯電している電界は以下のようになります。

数式

静電容量

帯電体の電位と帯電量は、以下の比例関係となります。

Q=CV[C]

この比例定数Cを静電容量と呼び、単位は[F:ファラッド]で表します。
電荷量が1Cで電位差が1Vの場合、1Fとなります。ただし、この単位はやはり大きすぎて実用的な単位としては、右の単位を使用するのが一般的です。

1F=106μF=1012pF

静電容量を容器に入れた水量に例えた場合

図は、静電容量を容器に入れた水に例えて説明した図です。
容器に入れた水の量が電荷量、水の高さが電位、容器の底の面積が静電容量と考えます。
同じ量の水を底面積の小さな容器に入れると水位はすぐに上昇するが、底面積の大きな容器に入れても水位の上昇は少ないということです。つまり、静電容量は、帯電体を電荷をためる容器と考えたとき、その大きさ(容量)を表すものと考えられます。
この例での水と電子の違いは、水は水位の高い方から低い方へ流れて、結果的に水位は等しくなりますが、電子の場合は、電子を放出した方の電位が上昇し、入ってきた方の電位が下降することです。これは、前者がプラスに、後者がマイナスに帯電することを意味します。

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静電容量の計算

静電容量の計算をする場合、その帯電体の大きさと形状、周りの状況により、以下の数式により算出できます。

【球形導体の場合】

球状の導体で半径a[m]の場合に、電荷[Q]を与えたときの表面電位は

V=Q/4πε0a[V]

になり、静電容量は、

C=Q/V=4πε0a[F]

になります。

【平行導体板の場合】

平行導体板の静電容量

図のように、2枚の導体板が平行にあり、面積S[m2]、間隔d[m]のとき、それぞれに+Q、-Qの電荷を加えた場合に、その電極間に作用する電界強度は、

数式

(電荷密度σ=Q/S)
となり、電極間の電位差[V]は、

V=Ed=dQ/Sε0

したがって、静電容量は、以下になります。

数式

また、導体板の間に絶縁体がある場合、(絶縁体の比誘電率)静電容量は、以下の数式で示します。

数式

【例1】帯電体の静電容量

)帯電体の静電容量

図のように、1つの導体に接近する導体が複数あり接地されている場合は、それらの静電容量の和がその物体への静電容量となります。

【例2】絶縁体の場合

絶縁体フィルムの裏面に導体板が密着して接地されている場合。
例えば、厚さd[m]の絶縁体フィルム(比誘電率)が接地された導体板に密着していて、フィルムの表面にQ[C/m2]の電荷がある場合。

フィルム裏面は密着する導体板と逆極性で同じ値の電荷が表れます。
このとき電荷の配置は、下図のように、電荷密度σで2枚の平行板が帯電した場合と同じになっています。その状態の絶縁体表面電荷Vsは、以下になります。

絶縁体フィルムの裏面に導体板が密着して接地されている場合

数式

【例3】厚さの違う絶縁体フィルムの場合

例えば、ポリイミドフィルム(厚さ100[μm]、比誘電率=3.3)が接地導体板に、下図のように、密着しているとき、表面電荷密度をσ=1×10-5[C/m2]とすると、表面の電位は、

数式

同じ条件で、フィルムの厚さが1[mm]の場合は、

数式

厚さの違う絶縁体フィルムの場合

厚さが違うフィルムの場合、比誘電率や電荷密度が同じでも、表面電位に大きな違いがでることになります。

これまで述べてきたように静電気対策は、その帯電電荷量だけに注意するのではなく、状況を改善することでその影響を少なくすることを考えることが必要となります。

例えば、帯電体をできるだけ接地導体に近い位置に配置することや、接地を複数施すことで、表面電位は低くなり、つまり電界が弱くなるので静電気が起きにくくなります。また、帯電した絶縁体フィルムなどの表面で起こる静電気放電は、多くの電荷が急峻に放電すると大きな静電気障害となるので、帯電過程では帯電部分の静電容量を小さく、帯電過程が終わると静電容量が大きくなるよう調整することが理想的です。

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