除電器の使い方

設置距離とイオン発生周期

プラスイオンとマイナスイオンの両方を発生する除電器を設置する場合、設置距離に応じてイオンの発生周期(周波数)を設定する必要があります。
イオン発生周期の設定が、除電速度とイオンバランスに密接に関わってきます。

設置距離とイオン周波数の相関

周波数低い 周波数高い
近距離 イオンバランス ×
除電速度 ×
遠距離 イオンバランス
除電速度 ×

『近距離設置の場合』

『近距離設置の場合』

設置距離が100mm以下程度の場合、イオンの発生周期を短くしておかないと、イオンバランスが悪くなります。(図)

『距離を離して設置する場合』

『距離を離して設置する場合』

設置距離が100mm以上の場合は、イオンの発生周期を長く設定しておかないと、イオンの再結合が起こり、遠くまでイオンが到達しません。(図)

以上のように、除電器は設置する距離に応じてイオンの発生周波数を設定する必要がありますが、例えば距離を離して設置していて、「多少のイオンバランスの悪さは気にせず、除電速度を優先したい」といったケースがあるかと思います。
このような場合、イオン発生周波数を変更することで実現できる場合があります。
具体的には、除電速度を優先したい場合は、本来設定すべき周波数よりも、遅めの周波数に設定します。また、イオンバランスを優先したい場合は、本来設定すべき周波数よりも、早めの周波数に設定することで、効果が得られることになります。

【具体例】

設置距離600mmの場合(SJ-Hシリーズの場合)
通常の設置周波数→10Hz
除電速度を優先する場合→10Hz未満(8/5/3Hz等)
イオンバランスを優先する場合→10Hz以上(22/33Hz)

コラム

プラスイオンとマイナスイオンの両方を発生する除電器の場合、設置距離に適したイオン発生周期の設定が必要です。
設置距離に対してイオン発生周期が不適切な場合の影響を調べるため、次のような実験を行います。

《実験方法》イオン発生周期を固定し、設置距離を徐々に遠くします。
《結果》
第一段階:イオンバランスがマイナスにずれます。マイナス帯電の除電速度が遅くなります。
第二段階:プラス帯電、マイナス帯電両方とも除電速度が遅くなります。
第三段階:全く除電しなくなります。

距離が遠くなるにつれて、イオン同士の再結合により除電対象物に届くイオン量が少なくなります。そのため、除電時間が長くなります。
ここで注目したいのは、第一段階の現象です。イオンバランスが崩れる理由としては、除電に使われるプラス電荷とマイナス電荷の移動速度違いと考えられています。
電極針にプラス電圧を印加すると、空気中のN2やH2Oから電子を奪いとり、プラスイオンになります。除電に使われるプラス電荷はこれらのプラスイオンです。
電極針にマイナス電圧を印加しすると、電極針から放出された電子がCO2やO2に付着し、それらがマイナスイオンになります。この際、電子が次々と分子・原子間を移動していく現象が見られます。結果として、電子が単体で移動していくとみなすことができます。除電に使われるマイナス電荷は、マイナスイオンの他に電子単体も相当します。
この違いにより、プラス電荷とマイナス電荷の到達距離が異なり、設置距離が遠くなるにつれて、イオンバランスが崩れていく、と考えられています。
さらに設置距離が離れていくと、対象物への到達電荷量が減少しつづけ、除電速度が遅くなります。ついには全く除電できなくなります。

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ダウンフローとエアパージ

設置距離を離して設置すると、通常、除電速度は遅くなります。
設置距離に応じたイオンの発生周期(周波数)の設定を変更することで除電速度向上が可能ですが、若干イオンバランスが悪くなる傾向になります。
設置距離を離した状態で、除電速度、イオンバランスともに能力を向上する方法として、「空気の流れ」を利用する方法があり、「ダウンフロー」と「エアパージ」の2つの方法があります。

『ダウンフロー』

『ダウンフロー』

クリーンルームなどで利用されている、天井から床下、あるいは装置の上部から下部への流れる空気の流れ(ダウンフロー)を利用することで、除電速度、イオンバランスともに能力が向上します。

●ダウンフローを有効活用するための構造

●ダウンフローを有効活用するための構造

層流構造のクリーン空間で除電器を使用する際、除電器の構造によっては層流を乱すことになり、クリーン度を低下させてしまう場合があります。また、乱流を引き起こすような構造の場合、除電能力の向上も思ったようにいかない場合があります。
それに対して、エアロボディー(層流構造)の除電器であれば、層流を乱さずに除電ができるため、クリーン度を保ったまま、ダウンフローを十分活用した除電が可能になります。

『エアパージ』

『エアパージ』

一般的によく使用されている、「エアパージ」と併用することで、エアの物理的な力を利用し、イオンを早く遠くまで飛ばすことができます。
それにより除電速度が速くなり、また、周波数設定を早い周波数に設定できますので、イオンバランスも良くなります。電極針先端へのパーティクルの付着防止にも効果があります。

エアパージを併用することによるメリットとして、ホコリを飛ばすことと除電を同時に行うことができるので、ゴミ除去対策にも効果を発揮します。
(除電を行うことで、エアパージだけの時に比べて、再付着防止にも効果を発揮します。)
図(2-3)は、エアパージの使用例、下表は、その効果を示します。

エアパージ 除電速度 除電速度 除電速度
無し 10Hz 約8秒 ±30V以下
有り 33Hz 約3秒 ±30V以下

・設置距離:600mm
・除電速度:±3000V→±300Vまでの時間
      エアパージ無しの時のデータはダウンフロー有り

●エアパージ機能使用時の注意点

エアパージ機能を使用する場合は、必ず、クリーンドライエア(メッシュサイズ:0.01μm、露点:-20℃以下)をご使用ください。結露やパーティクルの付着により除電能力を発揮できないだけでなく、除電器の破損につながる恐れがあります。

コラム

イオンが進行する速度は、電極針先端で生成された瞬間から静電気に到達する場所までにおいて、4つの因子に影響を受けます。

●電極針─イオン間クーロン力
●電界
●イオン─静電気電荷間クーロン力
●気流

静電気電荷間クーロン力

電極針にプラスの電圧を印加するとプラスのイオンが生成され、マイナスの電圧を印加するとマイナスのイオンが生成されます。
電極針とイオンの極性が同じであるため、電極針-イオン間のクーロン力は反発力として働きます。

この反発力でイオンは電極針から遠ざかります。運動方向は、電極針先端から放射する電気力線に沿っています。電極針からイオンが遠ざかるにつれ、電極針-イオン間のクーロン力は弱まります。
周囲に何もなければイオンは拡散し、イオン同士の再結合やアースへ電荷が逃げるなどして、イオンは次々と中性に戻ります。

イオンが帯電物に近づくにつれ、イオン-静電気電荷間のクーロン力が強くなります。クーロン力により、イオンは静電気方向へ加速されます。
また、これらのイオンは、空気分子をイオン化したものであるため、気流の影響を受けます。
電極針近傍からエアパージを行うと、イオンが高速に搬送されます。パージエアの流速分布により、イオンの平均速度が変わります。
生成イオンを包むエア雰囲気の流速が速いほど、イオンの平均速度が速くなります。

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