静電気力による付着のメカニズム

これまで述べてきたように、帯電している物体同士が近づくと、ちょうど磁石のN極とS極のように、同じ極性の静電気は反発し、違う静電気は引き付けあうような力が働きます。このような力を「クーロン力」といい、この帯電体に作用する吸引・反発力が多くの静電気障害を引き起こします。実際には、ホコリの付着や製品同士の付着・反発などさまざまな現象におよびます。ここでは、その静電気力のメカニズムを種類別に説明します。

表面積/質量の比が大きい物体に作用する静電気力

表面積/質量の比が大きい物体に作用する静電気力

微細な粒子や繊維、薄いフィルムなど表面積/質量の比が大きい物体の場合、クーロン力はその物体に作用する重力よりはるかに大きくなります。
図は、フィルム面に帯電した粒子が引き寄せられ付着する静電気のメカニズムです。絶縁体のフィルム面が帯電している場合、その表面の電荷密度をσ[C/m2]とすると、電界はE=σ/2ε0[V/m]になり、帯電粒子の電荷量をQ[C]とすると、接近した帯電粒子は、帯電面にF=Qσ/2ε0[N]の力で吸引されることになります。

数式

例えば、絶縁体のシート表面を摩擦したときの電荷量は単位面積当たり10-5[C/m2]程度になるので、数式に当てはめると、そのときの帯電体表面の電界強度は、F=5.65×105[V/m]程になります。
このとき、直径が1[μm]程度で表面電荷10-5[C/m2]に帯電している(現実的な値)微粒子が接近したとします。この微粒子の持つ電荷量はQ=3.14×10-17[C]なので、微粒子は(F=QE)F=1.8×10-11[N]程の静電気力で引き寄せられることになります。この粒子を比重2~3の砂粒とすると作用する重力のおよそ1200~1700倍にもなります。
フィルム表面にゴミなどが付着した場合に、容易に離れないのはこのようなメカニズムなのです。

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平面同士に作用する静電気力

図は、プラスとマイナスに帯電しているフィルムやシート等の平面同士が付着する例を表したものです。

帯電面の電荷密度をσ[C/m2]、表面の電界がEであるとき、この表面の単位面積あたりに作用する静電気力をFで示しています。
プラスの表面電荷から出る電気力線は面から垂直に出て、マイナスの表面電荷に入ります。この空間での電界は均一であることがわかります。
プラスまたはマイナスに帯電した平面が接近すると、表面間だけに電界が集中して、その強さはE=σ/ε[V/m]になります。この電界による吸着力はF=ε0E2/2で示されます。
例えば、フィルム表面の電荷密度を、σ=±1×10-5[C/m2]とすると、

数式

平面同士に作用する静電気力

F=0.58[kg/m2]程度の吸着力が単位面積あたりに働くことになります。
電荷密度が倍になれば電界も倍になり、付着力は4倍になります。それが1桁大きくなると電気力は100倍にもなります。フィルムなどの接触帯電同士が離れるとき、電荷密度は約10-3になることもあり、そうなると表面にはかなり大きな静電気力が作用することになります。

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導体と絶縁体間に作用する静電気力

導体と絶縁体間に作用する静電気力

金属などの導体にホコリなどの帯電物質が近づいた場合、金属の中で誘導帯電が起こり、その表面が帯電したようになります。この静電誘導による電位とホコリの静電気がクーロン力で引き寄せあいます。
図は、金属壁に電荷量Q[C]の点電荷がd[m]に近づいたときの吸引力を表しています。
金属壁の静電誘導により、表面の帯電粒子には金属壁への吸引力が働いています。

このとき、金属壁の内側には外側に点電荷と同じ静電気力を持った点電荷-Q[C]が発生しています。これを、「鏡像電荷」といい、その電気力を「鏡像力」といい、以下の式で示されます。

数式

導体と絶縁体間に作用する静電気力

金属板に帯電した導体粒子が接触すると、その瞬間に電荷を金属板に与え吸引力がなくなります。
このとき、別の帯電体があったり、金属板が接地されていない場合は、導体表面に電界が存在し、粒子は金属板と同じ極性が与えられ、反発し飛び離れる現象が見られます。
図は、帯電粒子の付着と反発を表しています。

導体と絶縁体間に作用する静電気力

また、絶縁体の壁表面に点電荷がある場合はどうでしょうか。
この場合にも、鏡像力と同じ吸引力が作用しますが、このとき、絶縁体の誘電率が点電荷の存在する空間または物質の誘電率に比べ、大きいときは吸引力となり、小さいときは反発力となります。(図)。

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