差圧式レベルセンサ
液体が入っているタンクで、液体の比重が一定であれば基準面(タンク底面)にかかる圧力は液面の高さに比例します。よって、この圧力を測定することでタンク内の液面の高さを測定することが可能になります。ただし、内圧のあるタンク内の液体のレベルを測る場合は内圧の影響をキャンセルする必要があるため、差圧測定が必要になります。この原理を利用したのが差圧式レベルセンサです。
ここでは差圧式レベルセンサの原理や構造などを紹介します。
原理
1. 開放タンクの場合
- タンクに入れられた液体(密度=p)の基準面に加わる圧力Pは、
- P = p・g・H
- p:液体の密度 g:重力加速度 H:液面高さ
- となり、液位に比例した出力を得られます。
2. 密閉タンクの場合(ドライレグ)
- 密閉タンクの場合、タンク内圧力を気体部分から差圧計の低圧側へ戻して内圧を補正したレベルが測定できます。この時、低圧側の圧力を引き込む導圧管内に気体をそのまま充満させる方法をドライレグ方式といいます。
- ⊿P = P1-P2
= {P0+P(H1+H2)}-P0
= p・g・(H1+H2) - p:液体の密度 g:重力加速度
P1:高圧側に加わる圧力 P2:低圧側に加わる圧力
P0:タンク内圧 - となり、差圧出力が液位に比例した出力となります。
3. 密閉タンクの場合(ウェットレグ)
- タンク内の温度が下がると凝縮する気体が充満するタンクや、液体が揮発性や腐食性のタンクの場合、差圧計の低圧側にシール液を入れて使用します。これをウェットレグ方式といいます。
- この場合の差圧と液位の関係は、高圧側に加わる圧力P1、低圧側に加わる圧力P2は、
- P1 = P0+ p・g・(H1+H2)
P2 = P0+ p0・g・H3 - p:測定液の密度 p0:シール液の密度
P0:タンク内圧 g:重力加速度 - 従って、差圧⊿Pは、
- ⊿P = P1-P2 = p・g・(H1+H2)-p0・g・H3
= p・g・H1-(p0・g・H3-p・g・H2) - となり、H3,H2は固定のため、⊿PはH1に比例した圧力を出力するため、液位に比例した出力が得られることになります。
構造
-
プロセス圧力を導圧管にて差圧伝送器まで伝え、圧力を測定します。そのプロセスセンサ用の圧力センサとして使用されているものは、静電容量型圧力センサ、半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサの2つに大別されます。
静電容量型圧力センサ
-
静電容量型圧力センサは、圧力によるダイヤフラムの変形を静電容量の変化として捉え、圧力を逆算します。
半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサ
-
半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサは、圧力によるダイヤフラムの変形をブリッジ抵抗(ひずみゲージ)の電気的変化から逆算します。
選定方法
液体密度
液体の密度が不均一だと正確なレベルを検出できません。泡をかむ場合や、汚れで密度が変化する場合には誤差が発生します。
タンク内圧
開放タンクと密閉タンクで、差圧の取り方が変わります。また、密閉タンクでも液体に腐食性があるかどうかで、ドライレグ・ウェットレグかを選択します。使用用途に応じて判断します。
測定範囲
タンクの大きさによって、センサにかかる圧力や温度範囲が変わります。使用する測定範囲に合ったセンサかどうか確認する必要があります。
注意点
圧力の伝送
差圧伝送器本体まで導圧管にてプロセス圧力を伝えますが、導圧管内の液中にガスが溜まる、あるいは導圧管内の気体中にドレンが溜まるなどすると正確な圧力伝達ができず、誤差を生じます。使用上の注意が必要です。
配線
大容量の変換器、モータ、あるいは動力用電源などのノイズ源を避けて配線する必要があります。
まとめ
このページでは、差圧式レベルセンサの原理や構造、選定方法・注意点について説明しました。
それらをまとめると、以下の通りです。
- タンク底面にかかる圧力で液面の高さを測定するレベルセンサ。
- 検出原理は、タンクが開放の場合と 密閉の場合(ドライレグ)、密閉の場合(ウェットレグ)によって異なる。
- 導圧管内の液体にガスがたまったり、気体にドレンがたまると誤差が生じる。
検出する液体によって、レベル検査の方法もさまざまです。最適なレベル検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
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