基本情報3Dプリンタ誕生の背景
3Dプリンタの歴史
近年に脚光を浴びることになった3Dプリンタは、実は40年以上も前から研究されていた技術です。
光造形機として商品化されたのも実は30年も前のことで、RP装置として少しづつ進化して現在に至ります。
1970年代 | 日本やアメリカなどの先進国が「Rapid Prototyping」の研究を開始。 |
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1980年 | 名古屋市工業試験所の研究者が光硬化性樹脂を使った光造形法の特許※1を出願(後に審査請求権を失効)。これが現在の3Dプリンタの元祖です。 ※1 : 特開昭56-144478:立体図形作成装置 |
1984年 | アメリカの企業が光造形に関する特許をアメリカと日本で出願※2※3。 ※2 : 米国特許4,575,330:“Apparatus for production of three-dimensional objects by stereolithography” ※3 : 日本特許1827066/特開昭62-35966 |
1986年 | アメリカで世界初の3Dプリンタメーカーが誕生。 |
1986年 | アメリカで「粉末焼結造形法(SLS)」に関する特許出願※4。 ※4 : 米国特許4,863,538“Method and apparatus for producing parts by sele ctive sintering” |
1987年 | アメリカの企業が光造形機の実用化に世界で初めて成功。 この当時の3Dプリンタは、光硬化性樹脂を紫外線で硬化させるタイプが主流でした。 |
1989年 | アメリカで「熱溶解積層法(FDM法)」に関する特許出願※5。 ※5 : 米国特許5,121,329 "Apparatus and method for creating three-dime nsional objects" (日本特許2088100/特開平03-158228「三次元物体を創作する装置及び方法」) |
2006年 | イギリスの研究者が中心になって、オープンソースの3Dプリンタ開発プロジェクト「RepRap」を起ち上げ。現在の3Dプリンタの多くは、この「RepRap」から派生しています。 |
2009年 | 「熱溶解積層法(FDM法)」に関する権利期間が満了となり、特許権が失効。 いくつものメーカーやベンチャー企業が格安で3Dプリンタをリリース。 アメリカでは10万円台の製品も発売されました。 |
2012年 | クリス・アンダーソン著「MAKERS~ 21世紀の産業革命が始まる~」出版。 3Dプリンタの名前が一気に浸透しました。 |
2013年 | オバマ大統領が一般教書演説で3Dプリンタの可能性に言及。 世界的に大きな注目を集めました。 |
2014年 | 「粉末焼結造形法(SLS)」に関する権利期間が満了となり、特許権が失効。 各社がSLS方式の3Dプリンタを商品化しました。 |
なぜRapid Prototypingなのか?
ものづくりの基本はQCDと言われています。そのQCDの観点から3Dプリンタの実力を確認すると試作品を製作する機器として誕生した理由が見えてきます。

さらに、3Dプリンタは使えるのが専用材料に限られるのも、用途を限定する一因です。RP装置としてであれば、これらの課題も許容できる範囲だったと考えられます。現時点では、試作品を作るために使用する機器と考えるのが妥当と言えます。