基本情報インクジェット方式の特長
3Dプリンタの用途の1つに、建築模型やフィギュアやアクセサリーの製作があります。粉末接着方式や面露光方式の使い道は、試作や治具よりもそちらの方が多くなります。一方で、組み付けして確認する試作品には、高精度な造形ができるインクジェット方式のニーズが高まっています。
各方式の特性
各方式のターゲット用途
インクジェット方式による精度向上
3Dプリンタの登場によって積層造形機はより身近な存在になりました。それまでは試作を依頼する側だった設計部門で自ら3Dプリンタを導入して評価することが当たり前になりつつあります。当初は造形品質の問題から形状の評価がメインでしたが、すぐに評価できるメリットはとても大きく、より多くの検証をするために造形品質の向上が望まれました。そこで、3Dプリンタの簡便性を持ったまま造形精度の向上を目的に開発されたのが、インクジェット方式の3Dプリンタです。
造形の仕組み
インクジェット方式はヘッドから少量の液体UV樹脂を吐出させられるため積層ピッチを細かくすることができます。また、ヘッド幅方向に複数のノズルがあって面で造形できるため、積層ピッチは細かく造形スピードもそれほど変わりません。3Dプリンタで比較したときには、もっとも高精度で高性能な方式と言えます。
高精度化への歩み
1980 |
大企業の一部が光造形機を利用し始める 光造形機は導入費用が高額なためにほんの一部の大企業か試作を仕事とする会社が業務用で使用するに留まりました。費用面以外にも設備がとても大型であることも導入が一部にとどまる要因でした。 |
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1990 |
3Dプリンタの登場 費用が手軽な3Dプリンタの登場によりこれまで導入できなかった会社にも浸透することになりました。ただ、形状を確認レベルの精度だったので、より高性能な企業用の3Dプリンタの登場が期待されました。 |
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2000 |
インクジェット方式による精度アップ 積層ピッチが小さくなることで造形物の精度が大きく向上しました。それにより組付け確認や簡易機能検証ができることになり、それまでは外部に依頼しなくてはならなかった試作が内製化されました。 |
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インクジェット方式の精度とスピードについて
組み付けができる十分な精度
一般的なデスクトップ3Dプリンタは、積層ピッチが0.1 ~ 0.2mmです。アジリスタはインクジェット方式を採用して、積層ピッチ15μmを実現。組み付けしてもカチッとはまる精度で、細部までしっかり検討できます。
細かい穴を造形するとき
大型造形でもスピードが速い
一般的な3Dプリンタは積層ピッチを細かくすると、そのぶん造形に時間がかかります。しかし、アジリスタは一度に256個のノズルから、面になって材料を吐出するので、15μmの積層ピッチを維持しながら素早く造形できます。
インクジェット方式の強度と反りについて
縦横で強度差が少ない
3Dプリンタは、積層方向と水平方向で強度が異なります。アジリスタは半透明の樹脂にUV光を透過させて内部まで固めるため、しっかりと硬化した仕上がりで、縦横で強度差が少ない造形モデルをつくることができます。
反りが少ない
一般的な3Dプリンタは、積層時に高熱を加えて造形します。そのため積層面付近が高温になり、モデル内で温度差が生じて反りの原因になります。アジリスタは光を透過させて徐々に反応熱を冷やすため、反りを低減できます。