コラムものづくり現場における3DプリンタとCAEの今後

2015年11月17日、矢野経済研究所が「CAD/CAM/CAEシステム市場に関する調査結果 2015」を発表した。

この報告の中には、将来のCAD/CAM/CAEシステム市場における3Dプリンタの動向についても予測がされている。

今回は、この報告書の内容に基づき、今後の「ものづくり業界」におけるCAE解析と3Dプリンタの関係について考えてみる。

景気回復にともないCAD/CAM/CAEの市場規模は増加傾向に

CAD/CAM/CAEシステム市場規模推移

2015年におけるCAD/CAM/CAE国内市場規模は、前年比4.7%増の3384億円(事業者売上高ベース)が見込まれる。これは円安によって、主に自動車をはじめとする輸出型の国内製造業が業績を伸ばし、設備投資が進んだためとされている。

分野別では、機械系CAD/CAM/CAE(前年比7.5%増)と土木・建築系CAD(前年比4.7%増)は好調を維持することが見込まれる一方、EDA(半導体)市場(前年比3.1%減)については厳しい国際競争にさらされる状況にあり、今後も減少傾向が続くものと予測されている。

注目される3Dプリンタの動向

今回の報告には「注目される動向」として3Dプリンタについての言及がある。内容は「3DプリンタがCAEを凌駕する可能性」についてだ。昨今のものづくり業界では「納期短縮」が至上命題となっており、そのためのテスト回数の削減も重要なテーマとなっている。

これまではCADで設計を行い、CAEで十分な解析を行うことで試作回数の削減を図ってきた。しかし、3Dプリンタの性能が向上し、より精巧な試作が可能となったため、一部からはCAEによる解析を減らし3Dプリンタによる試作で代替する流れが生じている。特に液体や流体など解析の難易度が高い内容には、3Dプリンタによる試作でテストを行った方が、迅速に解析結果が得られるケースも多い。

また透明樹脂を用いて造形を行えば内部構造についての評価も可能となるなど、3Dプリンタを用いた試作利用のメリットは数多く存在する。もちろん、CAEで行っていた解析のすべてを3Dプリンタで代替できるわけではない。むしろ双方をバランスよく利用することで、より精度の高い解析結果が素早く得られるようになるだろう。

参考
株式会社矢野経済研究所 2015年11月17日「CAD/CAM/CAE システム市場に関する調査結果 2015」

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