3Dプリンタと機械加工機械加工と3Dプリンタの違い
商品開発の各プロセスにおいて、「機械加工によって製作する試作品」と「3Dプリンタによって製作する試作品」をどのように使い分けると高い効果が得られるのか解説していきます。
はじめに、機械加工と3Dプリンタの違いを確認します。
加工方法
機械加工 | 3Dプリンタ |
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加工できる形状の特長
機械加工 | 3Dプリンタ |
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3Dプリンタは、切削工具が入らない形状内部の中空やオーバーハング部の加工ができます。
機械加工で製作すると、コスト高となる下図のような形状を容易に加工できます。
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自由曲面を持つ形状
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放電など特殊加工を必要とする形状
(コーナー部が角になっている形状) -
加工の方向が複数となり、
段取り替えが必要となる形状 -
ボス、リブ、肉盗みなどが入る
複雑な形状
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加工に必要なデータ
機械加工 3Dプリンタ 2D図面、または3Dデータ
3Dデータ
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加工できる材料
機械加工 3Dプリンタ 金属、非鉄金属、プラスチック、石膏、ゴム、など
金属、非鉄金属、プラスチック、石膏、ゴムなど3Dプリンタ専用の材料
納期
機械加工 | 3Dプリンタ |
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サイズにより1週間以上外注する場合、社内の手続きの手間と時間が必要。 |
最短1日以内社内で造形すれば、設計者自らの判断で試作ができる。 大幅に工数を削減!! |
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製作コスト
機械加工 3Dプリンタ 外注加工費(材料費+加工費+人件費など)
サイズや形状によるが、1つあたり数万円から数十万円
自社で製作した場合、材料費のみ
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機械的性質および熱的性質など
機械加工 3Dプリンタ 素材が持つ機械的性質(強度など)および熱的性質が加工前と同じ状態で得られる
積層による造形であるため
強度は劣る
熱的性質については、
3Dプリンタで利用する
材料に依存する
寸法精度
機械加工 | 3Dプリンタ |
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精密加工で数ミクロンから数十ミクロン |
造形方式によって異なり、数十ミクロンから数百ミクロン |
以上のように、機械加工と3Dプリンタでは、加工できる形状、寸法精度などに相違があるため、試作品の要求レベルに応じた使い分けが必要となります。機械加工では、量産品と同等レベルの機械的性質、熱的性質、寸法精度を有する試作品製作ができるため、これらの要件を満たす必要のある試作品に有効です。
一方、3Dプリンタでは、試作品の要求レベルによって活用範囲が制限されますが、複雑な形状であっても手軽に製作できるメリットを活かし、デザイン性、組み付け性、操作性などを検証するために利用します。
次に、これらの特長を考慮して、これまで機械加工のみの試作品に頼っていた開発に3Dプリンタを取り入れると、どのような変化が起こるか解説します。
ポイント
- 機械加工:量産品と同等の性質、精度の製作ができる
- 3Dプリンタ:複雑な形状も手軽に製作できる