RFIDシステム選定のポイント
RFIDの基礎や全体構成を把握したところで、RFIDシステム選定のポイントを紹介します。無線通信を利用したRFIDを導入すれば、大幅な業務効率化が可能です。ただし、事前に検討し、最適な場所に導入しなければ効果が得られないばかりか、コストが膨れ上がってしまう危険性もあります。そこでこちらでは、RFIDシステム選定で注意すべきポイントをまとめています。
使用目的を明確にする
RFIDを導入するにあたり、まずは課題を抽出し、導入目的を明確にする必要があります。そのためには業務プロセスの分析を行い、RFIDを組み込むことによる効果を判断する必要があります。
- RFIDシステムを使用する目的
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- 棚卸し作業を効率化したい
- 入出庫作業を効率化したい
- レジ業務を効率化したい
- 材料や部品の管理体制を整えたい
- 工具や機器の管理体制を強化したい
- 賞味期限の管理を自動化したい
- 商品の貸し出し管理を行いたい
- など
- RFIDシステム導入で得られる効果
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- 作業精度の向上
- 作業時間の短縮
- トータルコストの削減
- セキュリティレベルの向上
- 情報集約による業務改善
- など
RFIDを導入することで、上記のような効果が得られますが、一方で既存のバーコードや2次元コードに比べて導入およびランニングコストが高くなります。また、導入はもちろん運用について専門的な知識や経験が必要不可欠です。そこで「何をRFIDに置き換えるのか?」「何を従来のバーコード管理のままにするのか?」「RFIDシステム導入による人件費や工数の削減効果はどれくらいあるのか?」「初期構築費用やシステムメンテナンス費用、追加RFタグの費用などのコストは大丈夫か?」「システムを導入した場合に何年で回収できるのか?」なども検討します。管理すべてをRFIDに置き換えるというより、最初は既存のバーコードによる管理と併用して導入するとよいでしょう。
運用環境を確認する
RFIDは、ICチップやアンテナなどの電子機器を用い、電波や電磁波を利用して通信を行うので、運用環境の確認が必要です。以下は、あくまで一例ですが、選定のポイントをまとめていました。詳しくは以下のページも参考にご覧ください。
RFタグやRFIDリーダライタの使用環境
屋外や高温・低温になる工場や倉庫内などで使用する場合は、事前にRFIDの仕様を確認しましょう。また、RFIDラベルを付与する場合は、対象物の素材や大きさなど、貼りつけることが可能なのかも事前確認が必要です。そのほか、RFタグは電波や電磁波を用いて通信する仕様上、金属面に張り付ける場合は読み書きができなかったり、通信距離が短くなったりする場合もあります。その場合は、金属面から浮かしてRFタグを取り付けたり、金属対応のRFタグを検討したりする必要もあります。
RFIDシステムの干渉
RFタグが重なっていると、通信が干渉して読み書きができなくなる場合があります。また、複数のアンテナを設置する場合は、その距離が近いと相互干渉してトラブルが発生する可能性もあります。そのほかにもアンテナとRFタグの位置関係、金属などの障害物が周辺にある場合に性能低下が起こることがあるので、RFIDのシステム条件に注意が必要です。
利用する国や地域
RFIDは、LF帯やHF帯、UHF帯、マイクロ波など、システムによって使用する周波数帯が異なります。その中でもUHF帯を用いるRFIDは、国や地域によって利用可能な周波数帯が異なります。そこで、それぞれの国や地域、そのほか電波法などに適合した機器を選ぶ必要があります。日本国内で使用する場合でも法律で規定された周波数帯域および企画に適合した機器を選定しましょう。
周辺機器への影響
RFIDは、電波や電磁波を利用して通信を行うので、ほかの精密機器や測定器に影響を及ぼす可能性があります。そこで周辺機器にノイズなどが発生しないか、事前に検証する必要があります。また、その際にRFIDリーダライタの送信電力レベルを調整したり、アンテナの向きに注意したり、影響を受ける可能性がある機器は導体版や電磁シールド布で保護するなどの対策を検討しましょう。
運用環境を確認する
RFIDは、他の機器と連携しやすいというメリットがあります。たとえば、RFタグのデータは、RFIDリーダライタを通じて、コンピュータやPLCに送信できます。また、既存のバーコードや2次元コードと連携することも可能です。ちなみにキーエンスのハンディターミナル「DXシリーズ」は、RFIDはもちろん、バーコードや文字認識(品番や日付データなど)に対応。通信についても無線/有線問わず、幅広く対応しています。たとえば、RFタグから取得したデータをWi-FiやBluetoothを利用して無線で上位システムに送信することも可能です。
ハンディターミナル「DXシリーズ」については、以下の商品パンフレットでご確認ください。