レーザー加工の種類

レーザー加工は、出力や照射時間を調整することで切断や穴あけ、溶接、焼き入れなどの様々な加工や処理に利用できます。こちらでは、レーザー加工の基本的な分類やそれぞれの違いについてご説明します。

レーザー加工の分類

レーザー加工は目的別に大きく「除去」「接合」「改質」に分類することができ、加工内容によってさらに細分化されます。レーザーの出力や照射時間、また出力波形などによって、幅広い加工や処理に活用できるのがレーザーの特徴です。

3つの分類
除去
接合
改質

除去

レーザー光の照射によって表面温度を沸点まで上昇させ、融解・蒸発が起きる状態にします。これを利用して穴あけや切断などを行う加工が「除去」です。

剥離

剥離

樹脂の表面塗装を除去する「塗装剥離」や、対象物表面の皮膜やメッキなどを除去する「表面層剥離」などの用途で活用されます。

穴あけ

穴あけ

レーザー光を一点に照射し、熱エネルギーによって対象物を融解・蒸発させて穴をあけます。硬度の高い材料に小さな穴をあけるなどの精密な加工に適しています。

切断

切断

レーザー加工は金属などの薄板材料(板金材料)の切断ツールとして広く活用されています。任意の場所にレーザー光を当てることで薄板材料をカットします。

スクライビング

スクライビング

対象物の表面に微細な亀裂または溝を作る加工をスクライビング(割断)といいます。硬くて脆いセラミックやガラスなどを切断する際に用いられる加工法です。

トリミング

トリミング

主に半導体分野で活用されている技術で、抵抗値変化を計測しながらチップ部品をカットする加工をトリミングと呼んでいます。

マーキング(除去)

マーキング(除去)

レーザー光によって各種材料の表面に文字や模様などを刻む加工です。表面を熱で融解させることで刻印などの処理を行います。

接合

レーザー光の照射によって表面温度を融点まで上昇させ、融解が起こる状態にします。この熱エネルギーを利用して行う加工が「接合」です。

溶接

溶接

レーザー光を熱源として金属を融解させ、接合を行う方法です。通常の溶接に比べて高速で、かつ歪みの少ない溶接が実現できます。

ろう付け・ハンダ付け

ろう付け・ハンダ付け

母材よりも融点の低い合金(ロウやハンダ)を溶かして金属同士を接着する方法で、溶接のように母材自体を溶かしません。ロウ付けは主に金属同士の接続、ハンダ付けは電子部品などの接着に使う方法です。

改質

レーザー光の照射によって融点に達さない程度に表面温度を上昇させ、温度変化によって対象物の性質改善処理を行う加工が「改質」です。

焼き入れ

焼き入れ

対象物にレーザー光を照射して加熱し、冷却することで焼き入れを行う処理方法です。一般的な高周波焼き入れに比べて歪みが少なく、精密な処理が可能です。

アニーリング

長時間高温で加熱し、徐々に冷却する熱処理です。一般的に残留応力の低下や結晶成長などに活用される処理方法です。

マーキング(改質)

レーザー光を照射することで、対象物の表面を変質させて印字する方法です。インクを使わないので文字のかすれ・消えの心配がありません。

クラッディング

クラッディング

母材の上に各種材料の粉末やワイヤを供給し、レーザー光で溶かしながら表面に肉盛りする処理です。主に耐摩耗性・耐腐食性などの性質改善に利用されます。

グレージング

対象物の表面を溶解させた後、急速に冷却することで表面の耐腐食性や疲労特性を向上させる処理です。

レーザー蒸着

レーザー蒸着

レーザー光を照射して瞬間的に対象物を蒸発させ、対向に置いた基板上に皮膜を形成する処理方法です。PLD法とも呼ばれ、耐摩耗性や耐腐食性の向上に有効です。

メッキ加速処理

メッキ処理中にレーザーを照射することで析出を促進し、メッキ処理の時間を短縮する方法です。

そのほかのレーザー加工について

プレス加工などの前にあらかじめ材料に熱を加えることで加工性を高める「局所加熱」、熱応力を利用して曲げ加工などを行う「熱ひずみ変形」、レーザーの熱エネルギーを利用して瞬間的に乾燥させる「表面乾燥」などにもレーザー光は活用されています。

また、穴あけや溶接のような熱量が必要な加工を「高温プロセス」、表面処理などの低い熱量で行う加工を「低温プロセス」と呼ぶこともあります。

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