CHAPTER 3測定機の種類と特徴

投影機

投影機とは

光学測定機の一種です。測定の原理は光学顕微鏡に似ています。対象物を台に乗せて、下から光を当てることで、対象物の輪郭がスクリーン上に投影される仕組みとなっています。大型のものではスクリーンが直径1mを超えるものもあります。

投影機の利点

この装置のメリットとしては次のような点を挙げることができます。

  • 対象物を非接触で測定できる。
  • 形状の小さなものや複雑なものの測定ができる。
  • 測定顕微鏡と異なり、接眼レンズを覗く必要がなく、複数の人が同時に観察することができる。

対象物の輪郭形状検査や図面との輪郭比較などに用いられます。金属製品・部品や樹脂成形品をはじめ、電子部品や精密部品などの検査・測定に幅広く用いられます。

投影機の原理とテレセントリック光学系

一般的な投影機は下から照明を照射し、ステージ上に置かれた測定対象物の影を、投影レンズを通して投影スクリーンに投影します。
この際、投影される像の大きさは測定対象物から正確な倍率で拡大された像であり、この像を測定することによって測定対象物の寸法を測ります。
ステージ上のどの位置であっても正確な倍率で投影できるよう、投影機においては「テレセントリック光学系」といわれる光学系が採用されています。一般的なレンズでは近くの物は大きく見え、遠くの物は小さく見え、これによって遠近感が判断できます。これに対して、テレセントリックレンズは近くのものでも遠くのものでも同じ大きさで投影されます。
このテレセントリックレンズにより、正確な倍率で物体の影を投影することができます。

投影機の構成

投影機の構成
A
投影スクリーン
B
投影レンズ
C
可動ステージ
D
ステージ移動ハンドル(XYハンドル)

投影機の周辺機器

固定具

投影機の固定具は、測定対象物を正しい向きで固定するために使用されます。丸い対象物を挟んで横向きに置いたり、底面が平らでない対象物を測定に適した向きで固定したりする目的で使われます。固定具には、クリップのような形で挟むもの、ネジで固定するものなどがあります。

線図(チャート)

オーバーレイチャートは、スクリーン上に投影された測定画像に合わせるために使用します。チャートにはさまざまな種類があり、たとえば格子状や同心円状の目盛りが付いているものが多く使われます。
また、測定対象物の設計値を同じ倍率で拡大した線図チャートは、投影された画像と重ね合わせることで、実際の測定対象物と設計値の輪郭がどの程度違っているかを見ることができます。

ワーク表面への照射

投影機は下から照明を当て、光を透過させて影を作る(透過照明)だけでなく、上(レンズ側)から照明を当てて輪郭を映し出すこと(落射照明)もできます。
透過画像だけでは測定が困難な対象物でも、落射照明を使用することで測定が可能になります。

遮光カーテン

遮光カーテンは、外から入る光を遮断するために用いられます。外乱光を遮断することで、より正確に形状を投影することの目的に使われます。

校正とキャリブレーション

継続的に高精度な測定を実施するために、一般的な投影機は定期的なメンテナンスが求められます。持ち運びをするのに適した大きさではないため、多くの場合メンテナンスは設置現場で実施されます。
また、仕様どおりの精度かを確認するため、定期的な校正を必要とします。投影機の校正周期は、6か月~3年です。校正もメンテナンスと同様、設置現場で実施されるのが一般的です。

使い方

対象物をステージに載せます。
スクリーン上に拡大投影された像にスケールを当てて寸法を測ります。もしくは、XYステージを併用し、その移動量から寸法を測ることもできます。
演算機能付きの投影機では、ステージを移動させながら測定点をとっていくことで幅や径、角度などさまざまな測定結果が得られます。

投影機による寸法測定

長さ/幅の測り方

測定対象物をスクリーン上に置き、ステージの高さを調整してピントを合わせます。
次に、投影された画像上の測定したい辺の向きとスクリーンの基準線の向きを合わせ、XYステージの値を0に調整します。
次にステージ移動ハンドルを用いてステージを移動させ、投影画像上の測定したいもう一方の辺とスクリーンの基準線を合わせます。
このとき、ステージの移動量がX方向とY方向それぞれで表示され、この値が測定値となります。単純な一方向のみの測定の場合は、X方向またはY方向のみの移動量で測定します。

円の直径/半径の測り方

測定対象物をステージ上に置き、ステージの高さを調整してピントを合わせます。
次に、スクリーンに投影された画像上の円の中心点と基準線が交差している点を合わせます。
半径を測定する場合はここで0点を取り、ステージを移動させて円のエッジがステージ中心に合ったポイントで移動量を確認します。直径を測定する場合は、ここから1度円のエッジまでステージを移動させて0点をとり、反対側のエッジまで移動させて移動量を確認します。いずれの場合も十字に4方向程度測定するのが一般的です。
また、「チャート」といわれる同心円状に細かく目盛りの付いたシートをスクリーンに当てて測定することもできます。
演算機能付きの投影機の場合、円のエッジで3点の測定点をとると自動で直径や半径が算出されます。

角度の測り方

角度の測定にはいくつかの方法があります。
1つは、投影された画像の直線とスクリーンの基準線を合わせ、ステージをθ方向に回転させ、ステージの回転量を確認する方法。また、分度器のような細かい目盛りの付いた「チャート」といわれるシートをスクリーンに当てて確認する方法などがあります。
演算機能付きの投影機では2本の直線を指定することで角度が算出されます。

線図(チャート)の使い方

チャートにはいくつかの種類があります。
直径や半径を測定するため、同心円状に目盛りが書かれたもの、角度測定に使うため放射状に目盛りが書かれたもの、そして、そのどちらにも使えるものなどです。また、XY座標値を見るため、格子状に目盛りが書かれたものもあります。いずれもスクリーンに当て、投影された画像と合わせることによって測定します。

投影機の問題点

投影機は、さまざまな測定ができる便利な測定機である一方で、下記のような欠点があります。

測定の安定性

  • 人によってピントを合わす位置が異なり、測定誤差が生じる。
  • 人のスキルによって作業効率や測定値が異なる。

対応力

  • 形状比較をするとき、10倍に拡大した図面を投影像に重ね合わせ、差異を目視で確認する必要がある。
  • 寸法や図面との相違箇所の数値を取得できない。
  • 輪郭形状はトレース紙に転写するなど、データの保存や比較が困難。

工数・コスト

  • 手動でXYステージを動かして対象物の位置・向きを調整し、測定点の座標を1 点ずつ取得して測定するため時間がかかる。
  • 段差がある対象物の場合、測定点の高さが変わるたびにピントを合わせる必要がある。
  • 各種書類や輪郭形状の書き出しは、手作業となるため工数がかかる。

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