スピンコータ
半導体ウェハなどへのコーティングや表面処理は、装置の回転遠心力を利用して塗布します。
ここでは、その際に使用する代表的な装置スピンコータについて説明します。
スピンコータの概要
「スピンコータ」は、回転遠心力を利用した塗布装置で、「スピナー」とも呼ばれます。平滑な被塗物(ワーク)に対して薄く均等な塗膜を得ることができます。代表的な用途としては、半導体ウェハの表面処理やレジスト塗布をはじめとしたプロセスから、光学式メディアのコーティング、レンズへのプライマや調光液の塗布など幅広く利用されています。
- スピンコータを用いた塗布
被塗物(ワーク)の中心に塗液を落とし、高速回転させます。加速回転により塗液に遠心力がかかり、塗液が表面全体に拡散塗布され成膜します。塗布膜厚は塗液の粘度、被塗物の回転数、回転立ち上がり加速度、乾燥速度に関わる排気によって決定されます。
スピンコートのデメリットは、回転遠心力により余分な塗液を被塗物の外に飛ばす仕組みであるため、実際に膜になる液量は滴下した液量より少なく、材料ロスが生じることが挙げられます。
排気による乾燥速度のコントロール、装置外への飛散防止、異物の混入を避けるために、回転体・滴下の機構がケースに収まっている、もしくは、塗工時に上蓋を閉じるタイプのものが一般的です。
装置の基本原理はここ数十年変わっていませんが、被塗物のサイズや重量・材質に対応する装置、回転数(速度)制御・自動滴下の機能など、さまざまな仕様・機能があります。