脳グループの研究における標本観察で役立つBZシリーズ

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カスタマーボイス

05. 先端研究を進めるためには周辺領域の技術向上も不可欠

研究のスピード化、効率化を図るためには、研究手法や組織体制ととともに実験に用いる機器も重要。森下氏の研究室では、研究スピードをアップさせる機器については、費用対効果を踏まえつつ、設備投資を積極的に進めている。

遺伝子治療の研究で難しいのは、体内に取り込まれた遺伝子がどのような働きをするのか、というメカニズムの解明。動物実験ではわかったとしても、実際に人体でどう作用するのかをトレースするのは困難がともなう。「遺伝子治療の研究を進めていくには遺伝子に関する基礎研究にとどまらず、細胞の働きを観察、分析する技術など広く周辺領域の技術を高めることが必要。また、臨床にしても薬の製造から診断、トレースまですべてにおいてイノベーションが求められています」と森下氏は強調する。

「これからの医療を考えた時、まずデバイスと薬の融合が重要なテー マです。それとともに高分子医薬品が重要になっていきます。こうした潮流を先取りするには従来の研究手法は通用しないのではないか、と考えます。特に臨床に持ち込むハードルは高いものがあります。例えば、核酸医薬の薬剤ステントにしても、これからの医療を担う一つといえますが、デコイオリゴが血管内部のどこまで入り込むのか、といった観察が重要です。できればin vivo(人体内)でしかもリアルタイムに観察する技術が求められています」

06. 脳グループの研究における標本観察で役立つBZシリーズ

森下氏の研究室では、蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡は生体内に投与した遺伝子をトレースする上で重要な観察機器。各種製品を用途に応じて使い分けている。

その中で、2008年2月の導入以来、研究員の間で利用頻度が高いのが、キーエンスのオールインワン蛍光顕微鏡BZシリーズだ。マウスの末梢血管から心臓、脳と、幅広い領域の細胞を観察する上で威力を発揮している。

イメージ:森下研究室で導入したBZシリーズシリーズ…
森下研究室で導入したBZシリーズシリーズ。利用頻度は非常に高いとのこと。
イメージ:BZシリーズで撮影した脳の血管…
BZシリーズで撮影した脳の血管。酸化ストレスが亢進すると赤く染まっているのがわかる。

「研究を手がけた当初から蛍光顕微鏡はBZシリーズだけを利用しています」と語るのが、臨床遺伝子治療学の脳グループに所属する武田朱公氏。森下教授の研究成果を踏まえて、アルツハイマー型認知症の治療や予防の方法を研究している。この病気は神経細胞が死滅していくものだが、武田氏は「実は血管との関連が深く、高血圧などの危険因子が分かっています。私たちはこうした因子をもとに介入の道を探っています」という。

BZシリーズの主な用途は、実験マウスの脳の血管を観察すること。アルツハイマーモデルマウスの脳の血管を抽出して、拡大観察するほか、写真撮影および計測を行っている。「蛍光でも明視野でも観察できる上、操作方法がわかりやすい点が便利」とのこと。一個体から数十個の標本を観察するが、写真撮影までを一時間程度でこなしている。

武田氏の研究によると、脳の血管内で酸化ストレスが亢進すると、血液の循環が悪くなる。その状態を観察する上でBZシリーズが役に立っているという。血管は組織切片よりも厚みがあるため、拡大観察では焦点を合わせるが難しい。その点、クイックフルフォーカスの機能により、複数焦点の画像をもとに全焦点画像として観察することができる。また、蛍光観察でありがちな蛍光ボケについてはヘイズリダクション機能によって簡単に除去できるという。

武田氏の実験では脳の全体を観察することも多い。そのため、低倍率で全体を見渡すとともに、計測機能を活用している。

イメージ:武田氏
アルツハイマー型認知症の治療や予防の研究で、BZシリーズを活用している武田朱公氏。2004年「第23回 高桑栄松賞」受賞。

「アルツハイマーの病理所見である老人斑は分布にムラがあるため、一画面で脳の全体を見られるメリットは大きいですね。また、老人斑の数や面積を計測する上でも役に立っています。現在、作成している論文に用いる写真もBZシリーズで撮影しています」

武田氏によると、同じ研究分野で過去の論文を見ていくと、血管はピントが合いにくいせいか、一部分しか鮮明に写っていない写真も多いという。これに対して、BZシリーズで撮影したものは太い血管も細い血管もはっきりと写すことができるそうだ。

実際、武田氏が撮影した写真は米国の学会で評判となった。アルツハイマー型認知症の研究で世界的な権威とされる研究者がクリアな写真に関心を持ち、「撮影のプロトコールをぜひ送ってほしい」と依頼したほどだという。今や実験写真の品質が論文の質を左右しかねない時代なのだ。

07. 血管の新生状況を観察する上で威力を発揮

イメージ:真田氏
HGFと老化の関係を研究している真田文博氏。血管の新生状況を観察するのにBZシリーズを利用。

一方、森下研究室の心・血管グループに所属する真田文博氏は、HGFと老化の関係を研究している。血管新生には骨髄細胞から分化した血管内皮前駆細胞(EPC)が関わっているとされるが、アンジオテンシン2というホルモンが働くことによって、EPCが老化して機能しなくなることを発見。これに対して、HGFは老化を抑制することをマウスの実験で立証した研究者だ。

真田氏は、グリーンマウスやトランスジェニックマウスを用いて、骨髄細胞から分化したEPCが血管になっていく様子を撮影するのにBZシリーズを利用している。「脚の筋肉を低倍率で観察し、HGFの投与によって血管がどの程度、新生しているかを調べるのに役立っている」とのこと。従来、共焦点顕微鏡を使用していたそうだが、BZシリーズを使い出してから「標本の観察から写真撮影までのスピードが倍の早さになり、作業の効率が大幅にアップしました」と語る。

イメージ:真田氏は、HGFの抗酸化が…
真田氏は、HGFの抗酸化が血管内皮前駆細胞のアンジオテンシン2による老化を抑制し、血管新生作用を維持することを証明した。
ヘイズリダクション機能によって、クリアになった写真。骨髄細胞や血管が鮮明に映し出されている。
真田氏は、HGFの抗酸化が血管内皮前駆細胞のアンジオテンシン2による老化を抑制し、血管新生作用を維持することを証明した。
ヘイズリダクション機能によって、クリアになった写真。骨髄細胞や血管が鮮明に映し出されている。
骨髄細胞から分化した血管内皮前駆細胞(EPC)が血管になっている写真。
蛍光ボケが出ている。

ソフトウエアで一番活用しているのは、ヘイズリダクション機能。「細胞は蛍光の当たるポイントによって鮮明さが異なるため、蛍光ボケを除くために必須の機能です。共焦点顕微鏡を使っていた時はピントをいちいち合わせるのに苦労していましたが、BZシリーズを使い出してからは楽になりました」

生きた細胞の観察では、できる限りコンタミなしの状態を維持することが欠かせない。その点、「BZシリーズは暗室が不要な上、コンパクトなので、研究室内に設置して標本を作製してすぐに観察できて便利です」と真田氏はメリットを述べている。

また、共焦点顕微鏡では細胞をクリアな状態で観察するために油浸が必要となるが、倍率を変えた際、逆に標本が油でゆがんで見えてしまうといった問題がある。「BZシリーズでは油浸がほとんど不要なので、これも大きなメリット」と真田氏は指摘している。

なお、真田氏はEPCに関する研究とともに、ペリオスチンという骨の再生に関係するたんぱく質が血管に及ぼす影響についても研究している。この中では、がんの増殖抑制について実験を行っていて、がんの浸潤エリアを計測する上でBZシリーズの計測機能が役立っているという。

森下氏の研究室では、武田氏の脳グループや真田氏の心・血管のグループのほかにも、分子治療や腎・動脈硬化・核酸医薬、骨・アンチエイジング、核酸医薬といった研究があり、遺伝子治療の実現に向けた研究を産学共同で積極的に行っている。森下氏は、遺伝子治療を体系的にとらえ、幅広い視点から研究を展開することで、医療の現場における貢献をいち早く進めていく考えだ。

そして、「研究を通じて一日も早く患者さんの役に立つ成果を出したい」という森下氏の理念は研究室内に徹底している。どのグループでも「新しいと思ったことは素早くとりかかる」という意識のもとで、研究のスピードアップ、効率化に向けた取り組みに余念がない。

BZシリーズはこうした研究員の間で重宝されていて、使用頻度が高いだけでなく、画期的な発見に欠かせない機器となっている。拡大観察におけるスピード化、効率化を通じて、遺伝子治療における最先端の研究をサポートしているのである。

(2008年10月現在)

<豆知識> 遺伝子治療

遺伝子の異常によって発症する先天的な病気などに対して、正常な遺伝子を体内に送り込むことで細胞の修復を図っていく治療。従来、ベクターウイルスを用いた研究が行われてきたが、より安全なプラスミドによる体内への導入が検討されている。近年は生活習慣病など後天的な病気への適応も盛んに研究されている。

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